【権力者としての正統性を失った安倍総理】行動や発言に一貫性が無い政治家を許してはならない。

 安倍内閣総理大臣が2016年6月1日に記者会見を開き、7月の参議院選挙を前にして、政策に対する理解を有権者に求めました。全文は下記リンク先で確認できます。

2016年6月1日:安倍内閣総理大臣記者会見

 今までのハチャメチャな行動・言動を考えると、どこまで信じたらいいのか分かりません。国会も終わっているので、国会審議の場で、安倍総理記者会見内容の真意や信ぴょう性を追求・検証することもできません。美辞麗句を安易に信じて自民党へ投票すると、再びダマされる結果を招きそうです。

 前回の衆議院選挙前、2014年11月18日にも、安倍総理は記者会見を開き、有権者に対して政策への理解を求めました。その時の発言内容や実際の結果などを検証したいと思います。全文は下記リンク先で確認できます。

2014年11月18日:安倍内閣総理大臣記者会見

 以下に、安倍総理の発言内容を引用し、それに対する私の考えを述べていきます。

安倍総理:
「本年4月より8%の消費税を国民の皆様に御負担いただいております。5%から8%へ3%の引き上げを決断したあの時から、10%へのさらなる引き上げを来年予定どおり10月に行うべきかどうか、私はずっと考えてまいりました。消費税の引き上げは、我が国の世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡し、そして、子育て支援を充実させていくために必要です。」

→消費税を導入し税率を上げても、社会保障は悪化するばかりです。社会保障を軽視していることは明らかです。

出典:消費税廃止各界連絡会

出典:消費税廃止各界連絡会

安倍総理:
「だからこそ、民主党政権時代、私たちは野党ではありましたが、税制改革法案に賛成いたしました。しかし、消費税を引き上げることによって景気が腰折れてしまえば、国民生活に大きな負担をかけることになります。そして、その結果、税率を上げても税収が増えないということになっては元も子もありません。経済は生き物です。
 昨日、7月、8月、9月のGDP速報が発表されました。残念ながら成長軌道には戻っていません。消費税を引き上げるべきかどうか、40名を超える有識者の皆さんから御意見を伺いました。そして、私の経済政策のブレーンの皆さんから御意見を伺い、何度も議論を重ねてまいりました。そうしたことを総合的に勘案し、デフレから脱却し、経済を成長させる、アベノミクスの成功を確かなものとするため、本日、私は、消費税10%への引き上げを法定どおり来年10月には行わず、18カ月延期すべきであるとの結論に至りました。」

→所得が低い者ほど負担が重くなる消費税は、貧富の格差を助長し社会の活力を奪い、結果として景気を悪くする欠陥税制です。内部留保が溜まり過ぎて困っている大企業や富裕層など、お金をもっているところが応分の負担をするのが原則です。お金持ちを減税するための財源として、庶民からの搾取(消費税)を推進するなど、愚の骨頂です。

消費税収と法人税減収 出典:赤旗

消費税収と法人税減収 出典:赤旗

図(企業の内部留保と従業員給与の推移) 出典:東京新聞

図(企業の内部留保と従業員給与の推移) 出典:東京新聞

安倍総理:
「しかし、ここで皆様に申し上げておきたいことは、3本の矢の経済政策は確実に成果を上げつつあります。経済政策において最も重要な指標、それはいかなる国においても雇用であり、賃金であります。政権発足以来、雇用は100万人以上増えました。今や有効求人倍率は22年ぶりの高水準です。この春、平均2%以上給料がアップしました。過去15年間で最高です。企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく、そして景気が回復していくという経済の好循環がまさに生まれようとしています。」

→雇用や賃金は改善していません。都合の悪い現実から目を背けてはいけません。

出典(赤旗)

出典(赤旗)

安倍総理:
「ですから、私は何よりも個人消費の動向を注視してまいりました。昨日発表された7月から9月のGDP速報によれば、個人消費は4月から6月に続き、1年前と比べ2%以上減少しました。現時点では、3%分の消費税率引き上げが個人消費を押し下げる大きな重石となっています。本年4月の消費税率3%引き上げに続き、来年10月から2%引き上げることは、個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断いたしました。」

→消費税率アップを延期しても、景気は回復しません。消費税を撤廃し、富裕層から徴収するのが一番確実な景気対策です。

安倍総理:
「9月から政労使会議を再開しました。昨年この会議を初めて開催し、政府が成長戦略を力強く実施する中にあって、経済界も賃上げへと踏み込んでくれました。ものづくりを復活させ、中小企業を元気にし、女性が働きやすい環境をつくる、成長戦略をさらに力強く実施することで、来年の春、再来年の春、そして、そのまた翌年の春、所得が着実に上がっていく状況をつくり上げてまいります。国民全体の所得をしっかりと押し上げ、地方経済にも景気回復の効果を十分に波及させていく、そうすれば消費税率引き上げに向けた環境を整えることができると考えます。
 そのためにも、個人消費のてこ入れと、地方経済を底上げする力強い経済対策を実施します。次期通常国会に必要となる補正予算を提出してまいります。」

→安倍さんは、モノづくりにも中小企業にも興味が無いし、女性の活躍も望んでいません。国民受けが良い言葉を選挙前に強調しているのです。成長戦略ではなく、貧富の格差を広げる衰退戦略を進めてきたので、所得も個人消費も低迷したままです。

安倍総理:
「財政再建についてお話しいたします。社会保障・税一体改革法では、経済状況を見て消費税引き上げの是非を判断するとされています。今回はこの景気判断条項に基づいて、延期の判断をいたしました。
 しかし、財政再建の旗を降ろすことは決してありません。国際社会において、我が国への信頼を確保しなければなりません。そして、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たしてまいります。安倍内閣のこうした立場は一切揺らぐことはありません。」

→社会保障や財政再建を消費税でまかなうのは無理ですね。無いところから無理に徴収しちゃいけません。あるところから徴収し、暮らしやすい社会を実現しなければ、国際社会からも信頼されることはありません。消費税導入以後、社会保障は大いに悪化しています。社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たそうという安倍内閣の立場は大いに揺らいでいます。

安倍総理:
「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています。
 2020年度の財政健全化目標についてもしっかりと堅持してまいります。来年の夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定いたします。
 経済再生と財政再建、この2つを同時に実現していく。そのための結論が本日の決断であります。」

→2016年6月現在、消費税率引き上げに向けた経済社会環境を整えることはできていません。世帯の貯蓄率は減り、非正規雇用者の割合が増え、子供の貧困率は世界最悪レベルです。そして再び安倍さんは、消費増税延期、しかも30か月延期するとか言っています。

写真(消費増税の再延期を表明する安倍総理) 出典:日本テレビ

写真(消費増税の再延期を表明する安倍総理) 出典:日本テレビ

 2014年11月に、「今後再び増税時期を変更することはない」と国民に約束して信を問い、安倍さんは総理大臣に選ばれました。総理大臣に選ばれた時点で、消費増税の再延期という選択肢は消えたのです。残された選択肢は、予定通りの消費増税だけです。現在の安倍総理には、消費増税を再び延期するという決断を下す資格はありません。予定通りに増税できないならば公約違反ですから、選択肢は辞職だけです。消費税率を今後どうすべきかは、安倍政権に代わって選ばれた政権が改めて判断すればいいのです。

まとめ:
 辞職をしようともせずに、2016年6月1日、安倍総理は再び記者会見を開き、消費税率引き上げの30か月延期を宣言しました。そして再び、参議院選挙で信を問うのだそうです。厚顔無恥とは正にこのことです。信を問いたいならば、内閣総辞職して衆議院も解散して総選挙をすべきです。下記リンク先の質疑応答を見ると、記者クラブの御用マスコミは相変わらず、厳しい質問を何もしていません。

2016年6月1日:安倍内閣総理大臣記者会見

 安倍晋三さんは、自分の言葉に責任を持てる人ではありません。発言内容に一貫性が欠けています。そんなことを気にする素振りもありません。目先の選挙での議席確保、そして、その後の憲法改正にしか興味が無いようです。
 人からの信頼を簡単に失って当たり前の人物なのですが、大手マスコミをすべて味方に付けているので怖いものなしです。マスコミから発表される内閣支持率の数値も高いままです。
 今後は、「腐敗した権力者のブラックプロパガンダ」と、「有権者が持つ知性・教養」との戦いになります。戦いに勝つのは簡単ではないと思います。相手は執念と行動力に長けています。しかし、戦いに敗れれば戦前回帰への歩みが早まることになるでしょう。

以上

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