オバマ米大統領の被爆地・広島訪問について:人類は愚かな過ちから学ぶことが出来ないのか?

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 2016年5月27日、アメリカのオバマ大統領が被爆地・広島を訪問する予定です。現職の米大統領としては初めてのことであり、安倍総理も同行します。

 1945年、アメリカは原子爆弾を広島と長崎に投下しましたが、これは、核兵器を虐殺目的で故意に使用した人類初のケースです。人道に対する罪であり、巨大犯罪です。健康被害も含め、被爆地の情報はアメリカへ持ち帰られ、貴重な「実験」データが得られたのです。

 日本人は被害者側なので、被爆の事実が歴史の教科書にしっかりと書かれています。日本人であれば皆、様々な機会を利用して原爆被害について学ぶことができます。しかし、アメリカ社会の主流派は、「原爆投下は戦争終結を早めた」などと正当化し、謝罪をしません。爆心地でどのような惨劇が起こったのか、ほとんどのアメリカ人は無知であり無関心です。

 オバマさんは原爆投下に関して当事者ではありませんが、大統領である以上、アメリカを代表して謝罪すべきです。また、アメリカの歴史教科書にも具体的詳細な事実を記載し、アメリカ人の多くが日本人被害者と同じ視点を持てるように努力すべきです。しかし現実には、多くのアメリカ人は過去の犯罪を知ることもなく、大量の核兵器を保有し、世界中の国を威嚇しています。愚かだと言わざるを得ません。

 被害者側である日本人の中にも愚か者がいます。

写真(核兵器使用は違憲でないと発言する安倍総理) 出典:みんなが知るべき情報/今日の物語
写真(核兵器使用は違憲でないと発言する安倍総理) 出典:みんなが知るべき情報/今日の物語

 広島と長崎では毎年、原爆犠牲者の霊を慰め、惨禍を再び繰り返さないことを誓うために平和祈念式典が行われます。総理大臣をはじめ、政界で要職に就いている人も参加しています。しかし安倍総理は、同じ過ちを繰り返さないという気持ちが乏しいようです。

 上記ビデオ内で、興味深いやり取りがありましたので、以下に引用いたします。

引用始め
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山本議員
「2004年の最初のファルージャ攻撃では、700人以上が殺害され、2回目の11月、ファルージャ総攻撃では、行方不明者は3000人に及び、6000人もの住民が殺されたと言われます。中には、白旗を握りしめたままで発見された少年の遺体もあったそうです。
 次のパネルをお願いします。
 このような一般市民に対する虐殺、イラクのあちこちで起こっていた現実、このパネル、子供専用の墓地だそうです。戦争前から存在するものでしたけれど、戦争が始まってからは、埋葬する場所もないくらいになっているのが、見て、御覧いただけると思います。安倍総理、これ、米軍が行ったまぎれもない国際法違反、戦争犯罪ですよね」

安倍総理
「ま、例えばですね、えー、山本議員がお話をされたわけでございますが、えー、私が今、それがですね、えー、中身について検証する材料をもっていないわけでございますので、えー、コメントは差し控えたいと思います」

山本議員
「じゃあ何が戦争犯罪かっていうもっとわかりやすいたとえ、総理には必要だな、ということを、今感じたので、お聞きしたいと思います。
 米軍による爆撃、我が国も受けております。広島、長崎、それだけじゃない、東京大空襲、そして、日本中が空爆、爆撃をされた。それによって、50万人以上の方がなくなっていますよ。この50万人の中に、そのほとんどを占めるのが、一般市民じゃないですか?
 子供、女性、民間人への無差別攻撃、アメリカによる、広島、長崎への原爆投下、それだけじゃなく、東京大空襲を含む、日本全国の空襲、民間人の大虐殺、これは、戦争犯罪ですよね?国際法違反ですよね?いかがですか?」

岸田外相
「広島、長崎への原爆投下等が、国際法違反かどうかというご質問でありました。これは、こうした行為は、その、この、絶大な破壊力、あるいは、殺傷力故に、この国際法の思想的基盤にあります、人道主義の精神に合致しない、このように、我が国は理解をしております。国際司法裁判所等においても、そうした議論が行われていると承知をしております」

山本議員
「ま、本当に、奥歯に何かが挟まったようなものの言い方なんですね。はっきりしてるんですよ、当時、ジュネーブ条約なんかなかったけど、ハーグ陸戦条約があったじゃないですか。民間人の攻撃、無差別攻撃は禁止されてましたよ。これ、完全なる国際法違反であり、戦争犯罪じゃないですか?これに対して、どうしてはっきり言えないんですか?総理、このこと知ってるじゃないですか?
 それでも、答えようとしないんですか?代わりに外務大臣に答えてもらって、おかしな話ですね。言えないんですね、宗主国様のことははっきりとは。過去の米軍の過ちを認められないものが、どうやって戦争犯罪、常習国である米国の行動をこの先、ジャッジできるんですか?この先、米軍が戦争犯罪を行った場合、総理が我が国の最高責任者として、米軍の行動を止めるんですよね。自衛隊、撤退させられるんですよね。
 大丈夫ですか、総理?」
************************
引用終わり

 アメリカ様のご機嫌取りに忙しく、広島への原爆投下を戦争犯罪だと認めることができない安倍総理。こんな卑屈な人物がオバマさんの広島訪問に同行して何をするつもりなのでしょうか。まさか、「原爆を投下してくれたおかげで、戦争終結を早めることができました。ありがとうございます」なんて言いませんよね?

 IPPNW(=International Physicians for the Prevention of Nuclear War:核戦争防止国際医師会議)が広島原爆被害に関連して記事を書いています。以下にリンクを貼ります。

http://www.nuclear-risks.org/en/hibakusha-worldwide/hiroshima.html

 上記リンク英文記事の一部を私が邦訳し、以下に引用します。参考にしてください。

引用始め
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第二次世界大戦中、アメリカは原爆を3個製造した。1945年7月16日にトリニティ原爆実験に成功した後、残りの二つは日本の都市上空で爆発させた。リトルボーイと名付けられたウラン型原爆は1945年8月6日に広島へ投下、ファットマンと呼ばれるプルトニウム型原爆は8月9日に長崎へ投下された。

広島市内にあるT字型の相生橋が原爆投下の目標地点として選ばれた。そこは人口が密集した商業地区・住宅街であった。原爆は高度580mで炸裂し、その威力はTNT火薬に換算して約15000トン分に匹敵した。

核爆発により膨大なエネルギーが放出されたが、その内の約半分は運動エネルギーだ。爆心地から半径2km以内にある殆どの建物は圧力波でなぎ倒された。その中には主要な病院も含まれる。爆風は巨大ハリケーンに匹敵する速度に達し、数キロ離れたところに居ても鼓膜や肺が破裂してしまった。建物の一部・車・死体などが道中で飛ばされ凶器と化した。

放出されたエネルギーのうち約35%は熱であり、巨大な火嵐により市内のほとんどが即座に炎に包まれた。爆心地から半径2km以内の建物は殆ど焼失した。爆心地近くの温度は最大で3000〜4000℃にもなったため、全ての生き物は灰と化し、歩道に残ったのは蒸発時に出来た影だけであった。半径3.5km以内では露出した皮膚は火傷を負った。防空壕や地下室に隠れていた人たちは、一酸化炭素中毒や窒息により死亡した。原爆で放出された総エネルギーのうち、残り15%が放射線だ。

広島市内には全部で298人の医者がいたが、生き残ったのは28名のみであった。他に看護師約130名と薬剤師28名が生き残った。けが人に応急手当てを施せるのは彼らだけであった。

最初の2週間で亡くなった人達のほとんどは、火傷・外傷・急性放射線被爆が原因であった。第3週から8週にかけては、3シーベルト以上被爆した人達が死亡した。症状は、臓器不全・出血性下痢・嘔吐・貧血性骨髄抑制・免疫不全・出血である。

控えめな推定によると、少なくとも45000人が原爆当日に死んだ。1945年末までに、死者数は約14万人まで増えた。しかしながら、正確な死者数を知ることはできない。終戦時の広島市内の居住者数が判らないからだ。資料類も消失してしまった。親族が全滅して行方不明者を確認する者がいない。原爆により社会システム全体が崩壊し、それが死亡者の確認をより困難にした。

外部被爆による長期的症状として最初に見られたのは、ケロイドと白内障だ。1947年以降、白血病の増加傾向は直線的ではなかった。白血病発生数は1950年代の前半にピークとなり、その後は漸減した。2〜3シーベルトの放射線を浴びると白血病のリスクが16倍以上になると思われる。今日に至るまで、広島県の白血病発生率は他県と比べてわずかに高い。

その一方で、被爆者たちが年を重ねるに連れて、固形腫瘍の発生率は持続的に増加している。骨髄異形成症候群もしかりだ。最初に急激な増加を見せたのは主に甲状腺癌だったが、乳癌・胃癌・大腸癌・皮膚癌・肝臓癌・胆嚢癌・卵巣癌・膀胱癌が後に発生するようになった。疫学的な寿命調査が1950年に始まったが、それによると、癌の発生率は被ばく線量に比例することが判っている。また、若年時に被爆した人の方が癌の発生率が高くなっている。

被爆者の間で発生率が高い病気は癌以外では、良性腫瘍・内分泌障害・高血圧と脳卒中、そして心臓と肝臓の疾患だ。染色体異常の発生率は被爆量が多いほど増えるため、生物学的線量計としての役割を果たす。子宮内が被爆した場合、生まれて来る子供に小頭症と精神遅滞が増えることが判った。

原爆の被害者のことを日本語では被爆者という。今日生存している被爆者のほとんどは幼少期に放射線を浴びたため、長期的な悪影響や疾病率増加が予想される。(中略) 被爆が将来世代にどういう影響を与えるか、政府は政治的な理由により隠ぺいしていると弾叫している被爆者グループも存在する。
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引用終わり

以上

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【自爆テロ?】日本語の「神風」から外国語「kamikaze」が生まれたという話。

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 第二次世界大戦中に敵の艦隊に飛行機ごと突っ込んでいった神風特攻隊を称賛する人たちは安倍総理をはじめ、保守系政治家の中にたくさんいます。何千人という人たちが亡くなりましたが、その遺書を読んで、「素晴らしい!尊敬する。国家の英雄だ!」という感想を抱く若者がたくさんいるそうです。

 しかし、実際に神風特攻隊に所属し生き残った元隊員の人たちに訊くと、事実は異なるようです。2014年4月30日付の朝日新聞に「特攻、伝わらぬ実像」というタイトルの記事がありますが、要点を以下に記します。

「志願ではなく強制だ。特攻隊員に選ばれて失神する者もいた。逃げ出して憲兵につかまり自殺する者もいた。逃げても地獄だし、言われたとおり突っ込んでも地獄。これが特攻の現実だ。お国への忠誠心などは後世の人間によるでっち上げだ。暗黒の戦前・戦中を美化しないで欲しい。」

 「お国のために尽くしたいという気持ちから、喜んで命を差し出した勇敢なパイロットたち」という設定にはかなり無理があると私も思います。感情に支配されて、歪んだ目で物事を見てはいけません。

 では、海外の人たちは神風特攻隊をどのように見ているのでしょうか?「神風」はかなり有名な言葉になってしまったので英語化されています。

 手元にあるOxford Advanced Learner’s Dictionary 第8版(オックスフォード大学出版局)によると、「kamikaze」は次のように説明されています。( )内は私の邦訳です。

「(from Japanese) used to describe the way soldiers attack the enemy ,knowing that they too will be killed.」
(語源は日本語:自身が死ぬと分かっていながら敵に突っ込んでいく兵士を表現するために用いる)

「ka-mi-ka-ze」ではなく、「ka-mi-ka-zi」と発音しています。アクセントは二つの「ka」に置かれています。

「kamikaze」という単語は良い意味では使われていません。「suicidal」と同義語で使われています。同じ辞書の例文には「He made a kamikaze run across three lanes of traffic.」(3車線の道路を横切るという自殺行為を彼は行った)、と書かれています。普通ならば絶対に行わない異常な行動、ということです。

研究者の新英和中辞典にも、「kamikaze」→「向こう見ずな,自殺的な,無謀な」という意味が書かれています。

 フランスの同時多発テロでは複数の犯人が自爆しており、多くの欧米メディアが「kamikaze」と表現しました。「kamikaze」は英語圏以外でも通用するみたいです。

写真(フランスの同時多発テロを非難するオランド大統領) 出典:ANN
写真(フランスの同時多発テロを非難するオランド大統領) 出典:ANN

 「神風・・・」という言葉を聞いて良いイメージを抱くのは日本人の一部だけでしょう。戦中の過ちを直視せず自画自賛する姿はとても見苦しいです。一般的に、自分自身の評価を自分で正確に行うことは極めて難しく、客観的な正しい評価は他人様にして頂くのが正解です。自国の歴史解釈についても、他国の視点を取り入れないと、反動権力者にとって都合が良いものになってしまいます。

 少なくとも海外の人たちは「神風特攻隊」を尊敬していませんし、見習いたいとも思っていません。その逆で、反面教師にしているのですね。『自爆テロを「kamikaze」と表現するのは間違っている。英霊に対して無礼であるぞ!』、なんて文句を言ってもダメです。国際的な評価は冷徹です。感情に左右されることなく、冷静に物事の本質を見通しています。我々日本人は謙虚に受け止めねばなりません。

 同じく英語になってしまった「karoshi」(過労死)と共に、「kamikaze」(神風)についても我々日本人は真剣に反省し、原因を究明し、再発防止策を実行しなければならないと思います。

以上

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ネトウヨ的言説が日本で支持・共感を得やすいのはナゼか?国際的に尊敬される国になるにはどうしたらいいか?

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写真(在日韓国人に対して抗議する人々) 出典:ウォールストリートジャーナル
写真(在日韓国人に対して抗議する人々) 出典:ウォールストリートジャーナル

 ネトウヨ(=ネット右翼)とは何でしょうか?ウィキペディアなどで調べると、下記3条件すべてを満たす人が該当すると思います。

a)韓国・中国いずれにも親しみを感じない
b)「政府関係者の靖国神社公式参拝」「憲法9条第1項改正」「憲法9条第2項改正」「小中学校の式典での国旗掲揚・国歌斉唱」「小中学校での愛国心教育」の5項目すべてに賛成
c)政治・社会問題についてネット上で書き込みや議論をした

 2015年12月29日に、安倍晋三総理のフェイスブックタイムラインを見てみました。50万人以上がフォローしています。なかなかの人気者ですね。別に安倍総理のフォロワー全員がネトウヨではありませんが、たくさんおられることは事実ですので、彼らの本音を知るには便利な場所です。

 発言内容の詳細を調べてみると、ネトウヨだからといって、何でもかんでも安倍総理に盲従する訳ではないことが判りました。

 「従軍慰安婦」問題で韓国と合意をした直後にタイムラインへ書き込まれた人気コメントを調べました。主張の要点を以下に箇条書きします。

・性奴隷説は捏造だ。韓国人は嘘つきだ。売春婦に対して税金を一円も使うな!
・日本には何の責任もなく、解決済みの案件だ。韓国の要求は突っぱねるべきだった。
・責任を認めたら、韓国は何度でも蒸し返してタカってくるぞ!日本外交の敗北だ!
・安倍さんには毅然とした態度を期待していたのに、失望した。もう支持しない!
・日本人の誇りと尊厳を日本政府は守る義務がある!
・靖国の英霊に泥を塗り、将来に深刻な禍根を残す行為だ!
・日本大使館前の売春婦像を韓国が撤去することはない。安倍総理が自分で行って引っこ抜いてください!

 とてもたくさんの投稿がされているのですが、上記の内容に集約されます。村山談話を苦々しく思い、安保法制(=戦争法)に拍手喝采した熱心な安倍サポーターたちの素直な気持ちです。老若男女関係なく様々な立場の人が自主的に参加して、熱心に自分の意見を述べているのが確認できました。

 「韓国は敵国に違いない。少しでも譲歩したら日本はおしまいだ・・・」という余裕の無さがネトウヨ発言の特徴です。誠に残念ですが、ネトウヨの浅薄な言動は日本国民の多くから共感・支持を得ています。共感・支持とは、積極的・意識的なものだけでなく、消極的・無意識なものも入ります。陰湿な劣情を内包させ、ニュースを見た時に「憎たらしい韓国人め!」と思ったり、つぶやいたりする人は私の周りにもたくさんいます。これが現実です。このような現実はどのような背景から生まれているのでしょうか?私が考えているのは以下の3つです。

1)
 他国に対する加害者としての歴史をまともに学校で教えられていないので、知識を持っていない。自主的に書籍を購入し学び直す例は稀である。マスコミの報道の仕方にも原因がある。加害事実・侵略事実という知識がないので問題意識も生まれない。議論した経験も考える習慣も身に付かなかった。欠陥教育の被害者ともいえる。
2)
 自分が反省して謝罪するよりも、相手を悪者にして非難しているほうが楽である。
3)
 欧米へのコンプレックスの代償行為として、アジア諸国を見下していたいという気持ちが無意識下にある。

 ネトウヨさん達の思考や発言の最大の欠点は、進歩性がない、ということです。感情や本能の赴くまま安易な方向に流されていれば精神的には楽なのですが、進歩はありません。そればかりか、思考力を失った国民は悪徳権力者の格好の餌食となります。ダマすのが簡単だからです。歴史を少し紐解けばわかることです。

 歴史問題に取り組むとき、本来とるべき姿勢とは何でしょうか?

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 上の本は1971年、元朝日新聞記者の本多勝一氏が約40日かけて中国を取材した内容を記したものです。朝日新聞、朝日ジャーナル、週刊朝日で連載され大反響を起こしました。中国を取材した目的を本多氏は同書で次のように述べています。

「戦争中の中国における日本軍の行動を、中国側の視点から明らかにすることだった。それは、侵略された側としての中国人の「軍国主義日本」像を、具体的に知ることでもある。とくに日本軍による残虐行為に重点をおき、虐殺事件のあった現場を直接たずね歩いて、生き残った被害者たちの声を直接ききたいと考えた。」

 戦後26年経ったときに、このような中国取材をした理由を、本多氏は同書の中で5個挙げています。以下私の要約です。

①中国への侵略行為に関して日本側が誠意ある言動・行動をとらなければ、日中国交を進展させることはできない。日本政府はもちろんだが、マスコミも侵略戦争の調査報道をしておらず、日本国民に知らせる努力を怠ってきた。

②日本の侵略戦争によって中国人が千何百万人も殺された事実を一般の日本人は知らない。知っていたとしても、噂レベルの曖昧なイメージだ。この無知が、反動右翼勢力の跋扈を許す結果につながっていく。

➂ベトナム戦争での米軍の虐殺行為をアメリカ人ジャーナリストが報道していることに対して、日本人は立派だとほめている。他国のジャーナリストの行動に感嘆してばかりではなく、日本人も実践した方がよい。

④広島・長崎への原爆投下、東京大空襲などの告発・記録運動が盛んだが、これは被害者視点のものであり、加害者視点の記録が欠落している。ナチス・ドイツによる加害記録は日本国内にたくさん出回っているにも関わらず、旧日本軍の加害記録が存在しないのはおかしい。

⑤自分の家族が殺されたり家が焼かれた事実を中国人たちは記憶している。その生々しい具体的風景を日本人が知れば、日本の軍国主義復活を警戒する中国側の気持ちを理解し易くなるだろう。虐殺した側の国民がその事実を知らないのは犯罪の上塗りだ。

 本書「中国の旅」の目次を、以下に引用します。

・中国人の「軍国日本」像
・旧「住友」の工場にて
・矯正院
・人間の細菌実験と生体解剖
・撫順
・平頂山
・防疫惨殺事件
・鞍山と旧「久保田鋳造」
・万人坑
・蘆溝橋の周辺
・強制連行による日本への旅
・上海
・港
・「討伐」と「爆撃」の実態
・南京
・三光政策の村(注)

注)殺し尽くす、焼き尽くす、奪い尽くすことを「三光」という。

 最後の「三光政策の村」での記述を一部引用します。

引用初め
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「石段を登っていたとき、ただならぬ気配にふりむいた。老人が三人、息をきらせて石段を登ってくる。私のところまでくると、その一人がいきなり両手を出して広げた。なにかを訴えようとするまなざしに、涙があふれている。広げた両手の指は、親指以外がみんな短く切れていた。『あの現場から脱出した一人です。猛火の中を逃げるとき、火傷をして指先を失いました』と、潘広林さんがいった。単用有さんは、そう通訳してから老人たちに事情をきいていたが、何もいわずに、私に背を向けて歩き出した。歩きながらハンカチを出して顔にあてた。単さんは泣いているのであった。」

「涙のおさまった単さんが、さっきの事情を説明した。あの老人たちは、日本から新聞記者が取材にきたことを知って、ここまでかけつけたのだった。31年前の、あのときのすべてを、どうかくわしく知ってほしい。自分たちも、なにか訴えたい。日本の人民に知らせてほしい。そんな、やむにやまれない思いで彼らはかけつけたのだと、単さんはいった。話す人が泣きながら語るときも、単さんは感情をけんめいに押さえて正確な通訳に努めるのが常だったが、この老人たちの心情には強く打たれて、どうしても涙をこらえきれなかったという。」
****************************
引用終り

本書の最後に、高史明氏が解説文を書いています。一部を引用します。

引用初め
****************************
「銃殺された死者、刺殺された死者、焼き殺され、あるいは生き埋めにされた死者、強姦されたうえ腹を切り裂かれた死者、銃剣で串刺され空中へ放り捨てられた赤ん坊の死者、そのほとんどが平和な村人であり、おとなしい労工であった。これらおびただしい数の死者こそが、生者をして、ありし日の出来事を語らしめているのである。(中略)その死者の前では、他のいかなる言葉も重みを失う。本書においては、その死者の眼ざしこそが、他のすべての言葉を超えて重く存在するのである。私たちもまた、この死者からのメッセージを、いかに受け止めようとしているかを、死者の側からまっすぐ見つめられていると言ってよい。」

「死者は怨みを言わない。ただ、無限の深みから、私たちを見つめる。見つめられている私たちが、生者として何を願い、何をなすべきかは、すでに明らかである。死者の無言の願いに応えていく方向にこそ、私たちの未来へ通じる道がある。」
****************************
引用終り

 政治家が歴史問題に取り組むときは、面倒事から逃げ出さず、素直で真摯な態度をとることが不可欠です。韓国との「従軍慰安婦」問題では形式上の合意をしたとはいえ、口先だけでの反省であり、終始、高圧的で傲慢な態度を取り続けました。親分であるアメリカ様からの命令で仕方なく・・・、というのが良く伝わってきます。日本のネトウヨだけでなく、韓国側の国民感情も逆撫でしてしまいました。多大の時間・労力・税金をかけて交渉をしてきたみたいですが、残念ながら日韓友好にはつながりません。国際的に尊敬されるなど、夢のまた夢です。

 戦後70年経っているにもかかわらず、政治家・庶民の多くがネトウヨ的言説に踊らされている状態です。安易な方向に流されず、歴史から素直に学ぶという進歩的態度を身に付ける必要があります。ネトウヨが重要視する「日本人の誇りと尊厳」を取り戻すにはそれしかありません。

以上

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【自分には関係ないですか?】「従軍慰安婦」問題における日本側の傲慢な態度について考える。

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写真(安倍総理は、いわゆる「従軍慰安婦問題」の早期妥結を目指すため、岸田外相に対して、年内に韓国を訪問するよう指示した。) 出典:FNNニュース
写真(安倍総理は、いわゆる「従軍慰安婦問題」の早期妥結を目指すため、岸田外相に対して、年内に韓国を訪問するよう指示した。) 出典:FNNニュース

 岸田文雄外相が2015年末に韓国を訪問し、尹炳世外相との会談で慰安婦問題を妥結させようと目論んでいます。日本を代表する安倍政権応援新聞である産経は、「「慰安婦」協議 原則外れた妥結許されぬ」と題して、主張を述べています。詳しくは下記リンク先でご確認ください。

「慰安婦」協議 原則外れた妥結許されぬ

 この記事に限らず、産経新聞社の主張は一貫しています。日本会議と同じで、ブレることがありません。簡単に言うと次の通りです。

「日本は韓国を侵略したことはなく、法的責任も、賠償義務もない。従軍慰安婦という名の娼婦が居たらしいが、これは韓国の国内問題として処理すべき事柄である。韓国国民の反日感情を煽る報道・教育はまことにケシカラン。根拠もなく、日本側へ繰り返し文句を言うのはやめよ。情に厚く寛大な日本政府が、アジア女性基金を通じて、困窮している元慰安婦を援助しているではないか。韓国は礼を述べるべきであり、日本側を非難する資格はない。」

 極右と称され、販売部数も低下の一途を辿っている産経新聞ですが、傲慢で事実に基づかない彼らの主張は、多くの日本国民に積極的・消極的・意識的・無意識的に支持されています。なぜでしょうか?理由を考えてみました。

1)
 他国に対する加害者としての歴史をまともに学校で教えられていないので、知識を持っていない。欠陥教育を補うために、自主的に書籍を購入し学び直す例は稀である。知識がないので問題意識も生まれない。

2)
 反省し謝罪するよりも、相手を悪者にして非難しているほうが楽である。

3)
 欧米へのコンプレックスの代償行為として、アジア諸国を見下していたいという気持ちがある。

 上記の愚劣な国民心情をうまいこと利用しているのが安倍政権です。安保法制を成立させて法治国家としての土台を破壊したにもかかわらず高い支持率を維持しているのは、愚劣だがブレない主張によるところが大きいのです。「日本は侵略などしたことがない美しい国である。」と強気の姿勢を崩さなければ、多くの国民が拍手喝采してくれるのです。実際私の周りには、「反韓」「反中」の感情を増幅させている人がたくさんいます。

 事実から目を背け、刹那的で易きに流されていたほうが楽なのは確かです。しかし、進歩することはありません。諸外国からの信頼を失い、国際的に孤立する道を歩むことになります。貿易立国日本の土台を崩すことにつながります。安倍政権や御用メディアの主張に流されていても、生活が安定することはありません。

 歴史上の不都合な事実と向き合わない姿勢、視野の狭さや思慮の浅さ、薄っぺらな愛国心といったものは、反動思考の成せる技です。進歩とは真反対ですから取り返しのつかないミスを無反省のまま何回でも繰り返す可能性が高いです。福島原発事故という人災は、チェルノブイリ事故などの歴史から学ばない反動的な思考・態度から生まれたのです。

 戦時中の性的搾取犯罪を誤魔化すため、「従軍慰安婦」問題と言い換える悪知恵にはうんざりしますが、自分には関係ないことだと思わない方がいいですよ。自分が直接の加害者でなくても、歴史的事実から教訓を謙虚に学ぶ姿勢を国民全員が身に付けるべきです。さもないと、取り返しのつかない害悪が思いもよらない形でもたらされることになるでしょう。

以上

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【南京だけじゃない!】侵略戦争の具体的事実を知ろう!

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写真(南京大虐殺を世界記憶遺産に登録したユネスコを批判する菅官房長官)
写真(南京大虐殺を世界記憶遺産に登録したユネスコを批判する菅官房長官)

 歴代内閣が踏襲している村山談話は、外務省ホームページの下記リンクに掲載されています。

「戦後50周年の終戦記念日にあたって」(いわゆる村山談話)

 上記の村山談話から日本の侵略戦争に関する部分を抜き出します。

「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」

 上記の抽象的な表現から、具体的な事実をイメージすることができる日本人は少数派だと思います。この程度の談話ですら受け入れることが出来ない人間が、安倍政権や自民党を牛耳っています。安倍政権をコントロールする日本会議は反動的・独善的な団体ですが、次のような偏狭な歴史観しか持つことができません。

「天皇の軍隊が行ったのは自衛のための戦争であり、侵略戦争では断じてない。日本軍の行動を邪魔する者は皆テロリストだ。我々は何も悪いことはしていないので謝罪する必要はない。」

 この主張は多くの日本人にとって受け入れられ易いものです。自己批判・反省・思考といった労力が不要だからです。精神的に楽な方向に流されていたい多くの人にとって耳触りが良い主張を、現在の政権与党政治家は発信しているのです。意識が低い国民はダマすのが簡単なので、権力者にとって誠にありがたい存在です。

 いつまでも現在の堕落した状況を続けて良い訳がありません。そこで今回は、近隣諸国で侵略被害に遭った人たちの視点を提供してくれる不朽の名著を以下に紹介します。

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 この本は1971年、元朝日新聞記者の本多勝一氏が約40日かけて中国を取材した内容が記されています。朝日新聞、朝日ジャーナル、週刊朝日で連載され大反響を起こしました。中国を取材した目的を本多氏は同書で次のように述べています。

「戦争中の中国における日本軍の行動を、中国側の視点から明らかにすることだった。それは、侵略された側としての中国人の「軍国主義日本」像を、具体的に知ることでもある。とくに日本軍による残虐行為に重点をおき、虐殺事件のあった現場を直接たずね歩いて、生き残った被害者たちの声を直接ききたいと考えた。」

 戦後26年経ったときに、このような中国取材をした理由を、本多氏は同書の中で5個挙げています。以下私の要約です。


 中国への侵略行為に関して日本側が誠意ある言動・行動をとらなければ、日中国交を進展させることはできない。日本政府はもちろんだが、マスコミも侵略戦争の調査報道をしておらず、日本国民に知らせる努力を怠ってきた。


 日本の侵略戦争によって中国人が千何百万人も殺された事実を一般の日本人は知らない。知っていたとしても、噂レベルの曖昧なイメージだ。この無知が、反動右翼勢力の跋扈を許す結果につながっていく。


 ベトナム戦争での米軍の虐殺行為をアメリカ人ジャーナリストが報道していることに対して、日本人は立派だとほめている。他国のジャーナリストの行動に感嘆してばかりではなく、日本人も実践した方がよい。


 広島・長崎への原爆投下、東京大空襲などの告発・記録運動が盛んだが、これは被害者視点のものであり、加害者視点の記録が欠落している。ナチス・ドイツによる加害記録は日本国内にたくさん出回っているにも関わらず、旧日本軍の加害記録が存在しないのはおかしい。


 自分の家族が殺されたり家が焼かれた事実を中国人たちは記憶している。その生々しい具体的風景を日本人が知れば、日本の軍国主義復活を警戒する中国側の気持ちを理解し易くなるだろう。虐殺した側の国民がその事実を知らないのは犯罪の上塗りだ。

 本書「中国の旅」の目次を、以下に引用します。

・中国人の「軍国日本」像
・旧「住友」の工場にて
・矯正院
・人間の細菌実験と生体解剖
・撫順
・平頂山
・防疫惨殺事件
・鞍山と旧「久保田鋳造」
・万人坑
・蘆溝橋の周辺
・強制連行による日本への旅
・上海
・港
・「討伐」と「爆撃」の実態
・南京
・三光政策の村(注)

注)殺し尽くす、焼き尽くす、奪い尽くすことを「三光」という。

 最後の「三光政策の村」での記述を一部引用します。

「石段を登っていたとき、ただならぬ気配にふりむいた。老人が三人、息をきらせて石段を登ってくる。私のところまでくると、その一人がいきなり両手を出して広げた。なにかを訴えようとするまなざしに、涙があふれている。広げた両手の指は、親指以外がみんな短く切れていた。『あの現場から脱出した一人です。猛火の中を逃げるとき、火傷をして指先を失いました』と、潘広林さんがいった。単用有さんは、そう通訳してから老人たちに事情をきいていたが、何もいわずに、私に背を向けて歩き出した。歩きながらハンカチを出して顔にあてた。単さんは泣いているのであった。」

「涙のおさまった単さんが、さっきの事情を説明した。あの老人たちは、日本から新聞記者が取材にきたことを知って、ここまでかけつけたのだった。31年前の、あのときのすべてを、どうかくわしく知ってほしい。自分たちも、なにか訴えたい。日本の人民に知らせてほしい。そんな、やむにやまれない思いで彼らはかけつけたのだと、単さんはいった。話す人が泣きながら語るときも、単さんは感情をけんめいに押さえて正確な通訳に努めるのが常だったが、この老人たちの心情には強く打たれて、どうしても涙をこらえきれなかったという。」

 本書の最後に、高史明氏が解説文を書いています。一部を引用します。

「銃殺された死者、刺殺された死者、焼き殺され、あるいは生き埋めにされた死者、強姦されたうえ腹を切り裂かれた死者、銃剣で串刺され空中へ放り捨てられた赤ん坊の死者、そのほとんどが平和な村人であり、おとなしい労工であった。これらおびただしい数の死者こそが、生者をして、ありし日の出来事を語らしめているのである。(中略)その死者の前では、他のいかなる言葉も重みを失う。本書においては、その死者の眼ざしこそが、他のすべての言葉を超えて重く存在するのである。私たちもまた、この死者からのメッセージを、いかに受け止めようとしているかを、死者の側からまっすぐ見つめられていると言ってよい。」

「死者は怨みを言わない。ただ、無限の深みから、私たちを見つめる。見つめられている私たちが、生者として何を願い、何をなすべきかは、すでに明らかである。死者の無言の願いに応えていく方向にこそ、私たちの未来へ通じる道がある。」

 歴史的なルポルタージュを残してくださった本多勝一氏に対しては感謝するばかりですが、ネット上では事実に基づかない非論理的な誹謗中傷が溢れています。ネトウヨと呼ばれている人達は精神的に余裕が無く、自分のことだけに手一杯で他者への想像力・共感力が欠落しているようです。

参考リンク:アマゾンに記載されているカスタマーレビュー

最後に:
 今回紹介している「中国の旅」は、空き時間に気楽に読める本ではありませんが、私自身の人生に多大な影響を与えてくれました。

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 南京大虐自体が存在しないと主張する愚かな人たちには、是非とも読んで欲しいと思います。視野が広がりますよ。

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以上

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【口先だけ?ゴマカシ?言行不一致?】戦後70年の安倍総理談話をどのように解釈したらいいか考えてみました

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出典:ANN
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 2015年8月14日に、戦後70年の総理大臣談話が安倍晋三氏より発表されました。首相官邸のホームページから全文を以下に引用し、私の解説を追加しました。(「 」内が引用です。)

「終戦七十年を迎えるにあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、二十世紀という時代を、私たちは、心静かに振り返り、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならないと考えます。」
→加害者としての歴史的事実を自虐史観と言い、歴史を改竄してはばからない人は、未来につながる教訓を学ぶことは出来ません。

「百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。」
→日露戦争でアジア・アフリカ諸国が勇気づけられた?これは、個人的な妄想でしょうね。靖国神社の匂いがプンプンします。

「世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、それまでの植民地化にブレーキがかかりました。この戦争は、一千万人もの戦死者を出す、悲惨な戦争でありました。人々は「平和」を強く願い、国際連盟を創設し、不戦条約を生み出しました。戦争自体を違法化する、新たな国際社会の潮流が生まれました。」

「当初は、日本も足並みを揃えました。しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。」
→「力の行使」ではなく、武力を用いた侵略戦争とはっきり表現した方が解り易いです。

「満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。」
→「新しい国際秩序」への「挑戦者」?「挑戦者」と聞くと、困難を乗り越えようと努力した立派な人をイメージしてしまいます。誤解を与えないように「破壊者」と表現した方がいいでしょう。進むべき針路を誤ったと本当に思っているんであれば、靖国神社に参拝してはいけません。

「そして七十年前。日本は、敗戦しました。
 戦後七十年にあたり、国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の、哀悼の誠を捧げます。」

「先の大戦では、三百万余の同胞の命が失われました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々。終戦後、酷寒の、あるいは灼熱の、遠い異郷の地にあって、飢えや病に苦しみ、亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などによって、たくさんの市井の人々が、無残にも犠牲となりました。」
→「祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々」は、特攻隊員を個人的にイメージしているんですかね?愛国心をもって国のために喜んで命をささげたと妄想しているようです。殺された本人たちは、実際には嫌で嫌でたまらなかったんですよ。

「戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が、数知れず失われました。」
→日本が侵略した国々では、老若男女関係なく無差別の虐殺が行われていた、と述べましょう。

「中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜の民が苦しみ、犠牲となりました。戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません。」
→「深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たち」とはいわゆる従軍慰安婦のことですね。正確に、「日本軍により性的奴隷にさせられた女性たちが無数にいた」と表現しましょう。肝心なことを、あいまいで判り難い表現にしてはいけません。

「何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。」
→日本国民の死者を三百万余と表現するならば、侵略して殺してしまった他国民の数にも言及した方がいいです。日本の侵略戦争によって中国人が千何百万人も殺された事実を、多くの日本人は知らないのですから教えてあげましょう。また、「断腸の念」では相手に対するお詫びになっていません。

「これほどまでの尊い犠牲の上に、現在の平和がある。これが、戦後日本の原点であります。二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。」

「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。」
→日本国憲法の第九条を遵守する決意ですか?安保法案を撤回するという宣言ですか?

「植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。」
→日本は戦後ずっと、アメリカの植民地状態が続いてきました。今後は、アメリカに対して毅然とした態度で交渉してくれるのでしょうか?

「先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました。自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してまいりました。七十年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります。」
→安倍さんは「法の支配」を重んじているようです。「法的安定性は関係ない」と言い放った側近はクビにしてくださいね。

「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。」
→アジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻むというのであれば、日本の侵略戦争の具体的事実を歴史教科書から消し去る行為をやめてください。

 「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。
 ただ、私たちがいかなる努力を尽くそうとも、家族を失った方々の悲しみ、戦禍によって塗炭の苦しみを味わった人々の辛い記憶は、これからも、決して癒えることはないでしょう。
 ですから、私たちは、心に留めなければなりません。
 戦後、六百万人を超える引揚者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実を。中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。
 戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか。
 そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。
 寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。戦後七十年のこの機にあたり、我が国は、和解のために力を尽くしてくださった、すべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。」
→日本は悪いことをしたのに、諸外国の寛容さに救われ、本当に感謝しているということですね。それならば、日本の侵略戦争の具体的事実を歴史教科書から消し去る行為をしてはいけませんね。(現状の教科書記述は全く不十分なので、むしろ加筆するべきです。)

 「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」
→侵略戦争という犯罪に加担していない戦後生まれの一般日本人に謝罪の義務がないのは当たり前です。しかし、今までの歴史改竄行為により日本国自体が諸外国から信用をなくしていますので、日本国代表総理大臣:安倍晋三の立場ではっきり謝罪の言葉を述べるべきです。

「しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。」
→日本の侵略戦争の具体的事実を歴史教科書から消し去る行為を、今後はしないという意味ですね。

 「私たちの親、そのまた親の世代が、戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命をつなぐことができた。そして、現在の私たちの世代、さらに次の世代へと、未来をつないでいくことができる。それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈に戦った、米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。」

 「そのことを、私たちは、未来へと語り継いでいかなければならない。歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任があります。」
→アジア近隣諸国との外交関係が冷え切っている原因は安倍総理自身にあるのですが、今後は行動を改めてくださいね。

「私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。」
→こんなに素晴らしいことをおっしゃる人が、なぜ違憲の安保法制(=戦争法案)を推進するのだろう?今後は安保法制を撤回し、集団的自衛権の行使はあきらめるという宣言ですかね?

「唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。」
→原爆投下祈念式典で安倍総理は、次の国連総会で日本は核兵器廃絶決議案を提出すると宣言しました。アメリカの顔色など窺わずに、堂々と先頭に立って行動できますかね?

「私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。」
→ここで再び、日本軍による性的奴隷(いわゆる従軍慰安婦)問題を取り上げていますね。曖昧な表現ではなく、性的奴隷とはっきり言うべきです。集団で強姦された後、腹を切り裂かれ殺害された人もたくさんいます。犯罪の再発防止のために世界をリードすると大言壮語する前に、歴史改竄の悪癖を直して欲しいです。

「私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる国の恣意にも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引してまいります。繁栄こそ、平和の礎です。暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。」
→一般論としては悪くないと思います。今後は、強欲資本主義に取り憑かれているアメリカに盲従しない方がいいでしょう。適度に距離を置かないと、貧富の格差がますます広がります。

「私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。」
→安倍総理が定義する「自由、民主主義、人権」は、一般人のそれとは異なると思います。自民党議員は、「自由、民主主義、人権」をないがしろにする行動があまりにも多いですから。安倍総理は「積極的平和主義」という言葉が好きですね。「平和主義」だけで十分なのに、なぜ「積極的平和主義」と言いたがるのでしょう。安保法制をゴリ押しする人が言うと、「アメリカと一緒に侵略戦争をして、日本に平和をもたらすぞ!」と聞こえてしまいます。

「終戦八十年、九十年、さらには百年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります。」

談話全体を通しての感想:
・普段の行動・発言と異なる部分が多すぎます。
・事実に反したり、曖昧で具体性を欠くゴマカシ表現が多いです。
・口先だけで、今後の行動には期待できない。

次のYouTubeビデオも参考にしてください。

安倍晋三 70年談話【全24分】

以上

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戦争の悲劇を後世に伝えたいならば、被害者視点だけでなく加害者視点も必要だ。

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写真(侵略戦争を認めない安倍総理) 出典:TBS
写真(侵略戦争を認めない安倍総理) 出典:TBS

 歴代内閣が踏襲している村山談話は、外務省ホームページの下記リンクに掲載されています。

「戦後50周年の終戦記念日にあたって」(いわゆる村山談話)

 上記リンクの村山談話から日本の侵略戦争に関する部分を抜き出します。

「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」

 上記の抽象的な表現から、具体的な事実をイメージすることができる日本人は少数派だと思います。近隣諸国で侵略被害に遭った人たちの視点を提供してくれる著作を以下に紹介します。

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 この本は1971年、元朝日新聞記者の本多勝一氏が約40日かけて中国を取材した内容が記されています。朝日新聞、朝日ジャーナル、週刊朝日で連載され大反響を起こしました。中国を取材した目的を本多氏は同書で次のように述べています。

「戦争中の中国における日本軍の行動を、中国側の視点から明らかにすることだった。それは、侵略された側としての中国人の「軍国主義日本」像を、具体的に知ることでもある。とくに日本軍による残虐行為に重点をおき、虐殺事件のあった現場を直接たずね歩いて、生き残った被害者たちの声を直接ききたいと考えた。」

 戦後26年経ったときに、このような中国取材をした理由を、本多氏は同書の中で5個挙げています。以下私の要約です。

①中国への侵略行為に関して日本側が誠意ある言動・行動をとらなければ、日中国交を進展させることはできない。日本政府はもちろんだが、マスコミも侵略戦争の調査報道をしておらず、日本国民に知らせる努力を怠ってきた。

②日本の侵略戦争によって中国人が千何百万人も殺された事実を一般の日本人は知らない。知っていたとしても、噂レベルの曖昧なイメージだ。この無知が、反動右翼勢力の跋扈を許す結果につながっていく。

➂ベトナム戦争での米軍の虐殺行為をアメリカ人ジャーナリストが報道していることに対して、日本人は立派だとほめている。他国のジャーナリストの行動に感嘆してばかりではなく、日本人も実践した方がよい。

④広島・長崎への原爆投下、東京大空襲などの告発・記録運動が盛んだが、これは被害者視点のものであり、加害者視点の記録が欠落している。ナチス・ドイツによる加害記録は日本国内にたくさん出回っているにも関わらず、旧日本軍の加害記録が存在しないのはおかしい。

⑤自分の家族が殺されたり家が焼かれた事実を中国人たちは記憶している。その生々しい具体的風景を日本人が知れば、日本の軍国主義復活を警戒する中国側の気持ちを理解し易くなるだろう。虐殺した側の国民がその事実を知らないのは犯罪の上塗りだ。

 「中国の旅」の目次を以下に引用します。

・中国人の「軍国日本」像
・旧「住友」の工場にて
・矯正院
・人間の細菌実験と生体解剖
・撫順
・平頂山
・防疫惨殺事件
・鞍山と旧「久保田鋳造」
・万人坑
・蘆溝橋の周辺
・強制連行による日本への旅
・上海
・港
・「討伐」と「爆撃」の実態
・南京
・三光政策の村(注)

注)殺し尽くす、焼き尽くす、奪い尽くすことを「三光」という。

 最後の「三光政策の村」での記述を一部引用します。

「石段を登っていたとき、ただならぬ気配にふりむいた。老人が三人、息をきらせて石段を登ってくる。私のところまでくると、その一人がいきなり両手を出して広げた。なにかを訴えようとするまなざしに、涙があふれている。広げた両手の指は、親指以外がみんな短く切れていた。『あの現場から脱出した一人です。猛火の中を逃げるとき、火傷をして指先を失いました』と、潘広林さんがいった。単用有さんは、そう通訳してから老人たちに事情をきいていたが、何もいわずに、私に背を向けて歩き出した。歩きながらハンカチを出して顔にあてた。単さんは泣いているのであった。」

「涙のおさまった単さんが、さっきの事情を説明した。あの老人たちは、日本から新聞記者が取材にきたことを知って、ここまでかけつけたのだった。31年前の、あのときのすべてを、どうかくわしく知ってほしい。自分たちも、なにか訴えたい。日本の人民に知らせてほしい。そんな、やむにやまれない思いで彼らはかけつけたのだと、単さんはいった。話す人が泣きながら語るときも、単さんは感情をけんめいに押さえて正確な通訳に努めるのが常だったが、この老人たちの心情には強く打たれて、どうしても涙をこらえきれなかったという。」

 歴史的な著作を残してくれた本多勝一氏に対しては感謝するばかりですが、ネット上では事実に基づかない非論理的な誹謗中傷が溢れています。ネトウヨと呼ばれている人達は精神的に余裕が無く、自分のことだけに手一杯で他者への想像力・共感力が欠落しているようです。

 本書の最後に、高史明氏が解説文を書いています。一部を引用します。

「銃殺された死者、刺殺された死者、焼き殺され、あるいは生き埋めにされた死者、強姦されたうえ腹を切り裂かれた死者、銃剣で串刺され空中へ放り捨てられた赤ん坊の死者、そのほとんどが平和な村人であり、おとなしい労工であった。これらおびただしい数の死者こそが、生者をして、ありし日の出来事を語らしめているのである。(中略)その死者の前では、他のいかなる言葉も重みを失う。本書においては、その死者の眼ざしこそが、他のすべての言葉を超えて重く存在するのである。私たちもまた、この死者からのメッセージを、いかに受け止めようとしているかを、死者の側からまっすぐ見つめられていると言ってよい。」

「死者は怨みを言わない。ただ、無限の深みから、私たちを見つめる。見つめられている私たちが、生者として何を願い、何をなすべきかは、すでに明らかである。死者の無言の願いに応えていく方向にこそ、私たちの未来へ通じる道がある。」

最後に:
 このブログ記事の読者の皆様に本書「中国の旅」をお薦めいたします。ただし、空き時間に気楽に読める本ではありません。私自身は1989年頃に本書を読みましたが、非常に重い気持ちになったことを白状します。しかし、歴史を考えるうえで視野が広がったことは確かです。日本の歴史教育は欠陥を抱えており、それを補うためにも有効な方法だと思います。

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志位委員長と安倍総理の党首討論を見て考えたこと:安倍さんが質問に答えられなかった背景とは?

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写真:志位委員長と安倍総理の党首討論 出典:sankei.com
写真:志位委員長と安倍総理の党首討論 出典:sankei.com

 まずは、下記のYouTube映像をご覧ください。日本共産党:志位委員長と自民党:安倍総理の党首討論です。(約7分30秒)

 私なりに討論の流れを次のように解釈しました。

日本が起こした戦争は間違っているのか正しいのか、志位さんは安倍さんに対して繰り返し質問した。

安倍さんは討論の間、質問に答えることはなかった。

過去の日本の戦争に関して安倍さんは善悪の判断ができない、と志位さんは判断した。

集団的自衛権を認めると、アメリカの言いなりになって一緒に戦争ができるようになってしまう。アメリカが起こす戦争が間違っている場合もある。

自国が起こした戦争の善悪も判断できないのに、アメリカが行う戦争の善悪判断をすることはできない。こんな状態ではアメリカの侵略戦争に加担する恐れがある。

 討論の間、安倍さんは終始逃げ回っていました。従って議論もかみ合わず生産的なものとは言えませんでした。(見てるだけで疲れる・・・)
 過去の日本の戦争に関して安倍さんが善悪判断できなかった理由を考えてみたいと思います。

 実は安倍さんは、日本の過去の戦争に関して善悪の判断が出来ていたのです。安倍さんの基本的な考えは以下の通りです。

「天皇の軍隊が行ったのは自衛のための戦争であり、侵略戦争では断じてない。日本軍の行動を邪魔する者は皆テロリストだ。我々は何も悪いことはしていないので謝罪する必要はない。」

 つまり、靖国神社の基本的立場と一致しているのです。従って、個人的にお友達から「日本の過去の戦争が良いか悪いか?」と問われたら「良い」と答えるはずです。「悪い」と答える訳がありません。

 日本の過去の戦争が正しいと思っているならば、正々堂々「良い」と答えればいいと思うのですが、公の場で口に出して言うことができません。なぜか?アメリカからお叱りを受けるからです。アメリカの考えは「日本の過去の戦争は悪い」ですから、それと反対のことを公の場で言うことはできないのです。

 戦後の日本はずっとアメリカの属国でした。実質、独立国ではないのでアメリカに対して頭が上がらないのです。義務でもない「思いやり」予算を毎年2000〜3000億円も献上して、アメリカ軍様に沖縄駐留して頂いている状態です。日本社会の基本的在り方を決める前には、アメリカ様にお伺いを立てなければならないのが現実です。注)

 では、アメリカの意向通り「日本の過去の戦争は悪い」、つまり、侵略戦争だったと安倍総理は公の場で言明できるでしょうか?出来るはずがありません。なぜなら安倍さんの本心は、

「天皇の軍隊が行ったのは自衛のための戦争であり、侵略戦争では断じてない。日本軍の行動を邪魔する者は皆テロリストだ。我々は何も悪いことはしていないので謝罪する必要はない。」

、ですから。しかも、靖国神社が大好きなその他大勢の仲間達(主に自民党議員)に合わせる顔が無くなります。選挙では、靖国神社の教義に共感している多くの有権者に支えられてきたという事情もあります。

 以上に述べた背景がありますので、「日本の過去の戦争が良いか悪いか」という基本的な質問に安倍総理は答えることが出来なかったのです。党首討論お疲れ様でした。

注)日本が独立国として振る舞えない事情については下記文献が詳しい。

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか

以上

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