【簡潔でも印象深い!】社会の本質を的確に表現するジョージ・カーリンの言葉

写真(ジョージ・カーリン氏) 出典:famousdude.com

写真(ジョージ・カーリン氏) 出典:famousdude.com

 ジョージ・カーリンというアメリカのコメディアンがいました。彼は、ユーモアを交えた毒舌でアメリカ社会や政治権力を批判し、人気を博しました。とても分かりやすい言葉で物事の本質を突き、結果として、人々の脳裏に残り続けるのです。

 彼の言葉の一例を、以下に引用します。

引用始め
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この時代に生きる 私たちの矛盾
ビルは空高くなったが 人の気は短くなり
高速道路は広くなったが 視野は狭くなり
お金を使ってはいるが 得るものは少なく
たくさん物を買ってはいるが 楽しみは少なくなっている
家は大きくなったが 家庭は小さくなり
より便利になったが 時間は前よりもない
たくさんの学位を持っても センスはなく
知識は増えたが 決断することは少ない
専門家は大勢いるが 問題は増えている
薬も増えたが 健康状態は悪くなっている
飲み過ぎ吸い過ぎ浪費し 笑うことは少なく
猛スピードで運転し すぐ怒り夜更かしをしすぎて起きたときは疲れすぎている
読むことは稀で テレビは長く見るが祈ることはとても稀である
持ち物は増えているが自分の価値は下がっている
喋りすぎるが愛することは稀であるどころか憎むことが多すぎる
生計のたてかたは学んだが 人生を学んではいない
長生きするようになったが 長らく今を生きていない
月まで行き来できるのに 近所同士の争いは絶えない
世界は支配したが 内世界はどうなのか
前より大きい規模のことはなしえたが より良いことはなしえていない
空気を浄化し、魂を汚し
原子核を分裂させられるが 偏見を取り去ることができない
急ぐことは学んだが 待つことは覚えず
計画は増えたが 成し遂げられていない
たくさん書いているが 学びはせず
情報を手に入れ 多くのコンピューターを用意しているのに
コミュニケーションはどんどん減っている
ファーストフードで消化は遅く 体は大きいが 人格は小さく
利益に没頭し 人間関係は軽薄になっている
世界平和の時代と言われるのに 家族の争いはたえず
レジャーは増えても 楽しみは少なく
たくさんの食べ物に恵まれても 栄養は少ない
夫婦でかせいでも 離婚も増え
家は良くなったが 家庭は壊れている
(佐々木圭一氏訳)
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引用終わり

 「・・・なんだけど、・・・だよなあ」という比較対照法がとても効果的で、アメリカ社会に内包される矛盾を見事に描き出しています。アメリカはすでに、人間が安心して暮らせるような場所ではなくなりました。日本は、愚かにもアメリカの後追いをしており、社会が崩壊しつつあります。ジョージ・カーリンの言葉は、日本人も心して受け止めるべきだと思います。

 ジョージ・カーリンの言葉を、私なりに解釈して以下に記します。参考にしてください。

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高層ビルで働き生活する人が増えたが、気持ちの余裕は失われている。
あくせくと先を急ぐが、周りを見渡すことがない。視野狭窄で利己的だ。
大量の衝動買いをするが、ロクに使いもせずに廃棄することが多い。
物質的には恵まれていても、家族機能は脆弱だ。
パソコンなどの便利な科学技術は、人々の時間的余裕を生み出すために使われていない。むしろ逆に時間に追われる結果をもたらしている。
形式上の学歴は立派でも、それは、自律的に考える人間であることを意味しない。
ネットなどで簡単に大量の情報を得られるが、雰囲気に流されるばかりで、自分の頭で考え自分で決めることができない。
「専門家」であっても都合の悪い現実から目を背け、問題の先送りという悪習が蔓延している。
医療業界の利益のために患者を薬漬けにし、かえって健康を損なっている。
暴飲暴食・ヘビースモーカー・ギャンブル依存症などは、精神的貧困の表れである。
あくせく働き、うまくいかないのをすべて他人のせいにし、疲労がたまって朝起きるのがつらい。
受動的なテレビ視聴はするが、能動的に本を読み、考え、内省する習慣は失われている。
高級車に乗り、身なりが立派であっても、世に害悪をまき散らす人間が多い。
人の話に耳を傾けて信頼関係を醸成することができず、一方的な言い合いで憎しみを生み出している。
働いて金を稼ぐことは覚えたが、人生哲学の構築やその実践はおぼつかない。
平均寿命は延びているが、惰性で生きているため空虚である。
知性を持っていても、コミュニケーション能力が貧弱である。
権力者や富裕層は世界を支配した気でいるが、自分自身がどういう人間か理解できていない。
大金をかけた公共事業が、人間社会に害悪をもたらし、子孫に借金を残している。
健康意識は高まっているが、原発事故で放射性物質を広範囲にまき散らし、不信感と絶望と無関心が渦巻いている。
科学技術が進歩しても、「常識」を疑う習慣が無く、権力者に何度ダマされても学ばない。
人間を枠にはめて手順書通りに早く作業させているが、仕事を任せないので人が育たない。
体裁の良い計画書を乱造するが、現実を踏まえない絵に描いた餅であることが多い。
大量の書物が世に溢れていても、ためになる良書は稀である。
高カロリーで毒物まみれのファストフードが氾濫し、不健康な肥満体が増え、それが精神をも蝕んでいる。
大企業は強欲な利益追求と搾取をやめられず、非正規雇用の増加が従業員同士の連帯を損なっている。
平和主義の理念は知っていても、実生活での実践が伴わない。
東京ディズニーリゾートには年間2000万人以上訪れているが、空虚な夢の演出のどこが楽しいのか?
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