安倍総理は、12月26日と27日にハワイを訪れ、旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊しました。
真珠湾訪問を表明した時の、安倍総理のコメントを以下に記します。
「今月の26日、27日、ハワイを訪問し、オバマ大統領と首脳会談を行う。ハワイでの会談はこの4年間を総括し、未来に向けてさらなる同盟の強化の意義を世界に発信する機会にしたいと思う。これまでの集大成となる最後の首脳会談となる」
「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。未来に向けた決意を示したいと思う。同時に、日米の和解の価値を発信する機会にもしたいと考えている」
「昨年、戦後70年を迎え、アメリカ議会で演説を行い、私の思いや考えを発信した。その中で、真珠湾を訪問することの意義や象徴性、和解の重要性について発信したいということは、ずっと考えてきた。同時に、オバマ大統領との4年間を振り返る首脳会談も行うことができればと考えてきた」
実際に、安倍総理が真珠湾訪問した時のマスコミ報道は、美辞麗句のオンパレードで、称賛するものばかりだったようです。
安倍総理がこの時期にハワイの犠牲者を慰霊する本当の理由を考えてみました。
2016年11月、オバマさんという現職大統領の中止要請を無視して、安倍総理はトランプ次期大統領との会談を強行しました。これに激怒したオバマ大統領側がペルーでの日米首脳会談を拒否し、最後の会談は立ち話になってしまいました。トランプ次期大統領もオバマ大統領の協力無くして政権への移行作業をスムーズに進めることができないので、オバマさんへは気を使っています。さすがにヤバイと気付いた安倍総理は、詫びを入れるために真珠湾への慰霊を決めたのではないでしょうか?また、2016年8月にオバマ大統領が広島を訪問してくれたお返しという意味もあるでしょう。
さらにトランプ大統領は、従来の日米同盟の在り方を見直すような発言をしています「日本の駐留米軍への思いやり予算をもっと増やせ。さもなくば、米軍を撤退させるぞ。自分の国は自分で守れ」という趣旨の内容です。駐留米軍が撤退してくれれば植民地状態を脱することができますし、国土や領空を有効に活用できるので日本にとっては良い話だと思います。自衛隊は現状でも世界有数の軍隊であり、専守防衛するには十二分の能力を持っています。しかし、対米隷属が骨の髄まで染みついてしまっている自民党政治家や外務官僚たちには、独立国としていかに振舞うべきかというイメージが全く湧かないのです。従って、アメリカの植民地であり続けたいがために必死でアメリカ様の御機嫌をとり、思いやり予算をあまり増やさないで米軍駐留を継続してもらう必要があるわけです。真珠湾への慰霊はアメリカ様の御機嫌取りが目的ですが、アメリカ様が相手なので日本国民からの支持率が下がる心配もありません。
第二次世界大戦中、旧日本軍はアジア・太平洋諸国に対して侵略戦争を行い、2000万人以上の人間を殺害しました。アメリカの真珠湾攻撃の犠牲者数と比べると桁が4個多いのです。南京大虐殺だけを見ても、約30万人を殺しています。それなのに、安倍政権は謝罪を拒否するどころか、侵略戦争の事実を葬り去るため歴史の改竄に熱心です。そればかりか、侵略した相手を敵国に仕立て上げ、日本国民の不満の矛先がそちらに向くようにしています。なぜ、このような奇怪な行動をとるのでしょうか?
対米隷属への反動としてのアジア諸国蔑視感情が生まれているのです。会社組織でも奴隷サラリーマンが上役に媚びへつらっていると、自分が意識していなくてもストレスがたまります。その鬱憤は、知らないうちに立場の弱いものへのイジメとして現れることが多いのです。外交関係でも同じです。宗主国であるアメリカへの卑屈さは、中国・韓国への尊大さと表裏一体です。
わざと敵国を作り上げれば、安保法制を正当化することができます。中国・韓国・北朝鮮という「敵国」から、日本国民の生命・財産を守るという大義名分が欲しいのです。本当の動機は、戦前を彷彿させるプチ覇権主義の妄想であり、軍需産業を儲けさせることです。
最後に:
卑屈な態度も尊大な態度も人間関係の進展には役立ちません。不信感と蔑視を生み出すだけです。国と国との外交関係も本質的には同じです。歴代自民党政権の中でも、特に安倍政権は外交政策がお粗末ですね。
安倍総理は、誇り高い保守政治家を自認するのであれば、一貫性を保ちつつ、堂々とした外交を行って欲しいものです。
以上