2017年4月23日、名古屋市長選の投開票が行われました。結果は、河村たかしさんの圧勝です。しかし、河村さんが圧倒的な支持を有権者から得た訳ではありません。
投票率が36.9%なので、全有権者1,835,747人中、河村さんへ投票したのは、
36.9%(投票率)×0.678(河村さんの得票率)=約25%
、となります。つまり、有権者の4人に1人しか河村さんに投票しなかったのです。これでは圧倒的支持を得たとはいえません。
投票率に関していえば、地方選挙だけでなく、国政選挙もひどい状況です。最近では、有権者の約半分が棄権しているのですね。せっかく民主主義の国に住んでいるのに、有効活用できていないのは勿体ないです。
選挙権を放棄している理由は何でしょうか?財団法人:明るい選挙推進協会が平成25年にまとめた調査結果を以下に紹介しましょう。
投票用紙が郵送されてきて、「何だ、こりゃ?ああ、選挙があるのか・・面倒くせえな。」と言って、どこかに放置する人がかなり多いのだと思います。現代の日本では、選挙権が与えられるのが当たり前なのですが、元々そうだった訳ではありません。
1889年に公布された衆議院議員選挙法では、満25歳以上の男子で、かつ、選挙人名簿への掲載から満1年以上、府県内で直接国税15円以上を納めている者に限られていました。その当時の15円は大金です。一部の国民だけで国の在り方が決められていたため、大正デモクラシー運動や女性参政権を求める運動などが発生しました。
1925年に納税条件が撤廃されたものの、満25歳以上の男性(総人口の約2割)に限定されていました。女性は政治に口を出すことが許されなかったのです。当然ながら社会の劣化が進み、軍部が独走し、諸外国にも多大な迷惑をかける結果となりました。
満20歳以上の男女に選挙権が付与されたのは1945年(昭和20年)になってからです。日本国民自ら勝ち取ったものでは有りませんが、完全普通選挙が実施されるようになったのは良いことです。しかし、繰り返しますが、権利を持っていても有効活用できていないのが現在の状況です。
日本よりも完全普通選挙実施が遅れた国の一つに南アフリカがあります。悪名高き人種隔離政策(アパルトヘイト)が行われていたため、国民の大多数を占める黒人には長らく選挙権が与えられていませんでした。闘争や粘り強い対話を重ねることで、1994年4月にようやく全人種選挙が実施されました。その後、大統領に就任したネルソン・マンデラさんは有名ですね。
1994年4月に行われた南アフリカ国政選挙の投票率は9割近いものでした。当時、私もテレビで見ましたが、初めて選挙権を行使する黒人たちが、投票するために列を作って何日も待っている姿が印象的でした。2009年に行われた南アフリカ国政選挙では投票率が8割程度でしたが、それでも日本よりはずっと高い数字です。選挙での投票は重要なものだ、という意識は、南アフリカ国民の方が強いことを示しています。
日本では政治的無関心層が多いため、それが反動安倍政権の誕生を許し、国民が自分で自分の首を絞めています。安倍政権によるマスコミ懐柔も、無関心層を生み出す大きな原因になっています。大手マスコミほど、権力の監視役を放棄してしまっています。これでは、政治的関心を呼び起こすような良い記事を書ける訳がありません。
日本における選挙の投票率が8〜9割程度まで増えるのはいつになるでしょうか?取り返しがつかないことが起こり、もっと痛い目に遭わないと気が付かないのでしょうか?すでに、国民の生活はかなり破壊されつつあります。
権力層に好き放題搾取され、貧富の格差が拡大し、生活がどんなに苦しくなっても、日本人は我慢し続けるつもりなのでしょうか?このまま自民党政権を続けさせても、庶民の生活が改善することはあり得ません。悪くなるだけです。暮らしを良くしたければ、選ぶ政治家・政党を変えるしかないのです。鍵を握るのは政治的無関心層です。彼らが眠ったままでいることを、悪徳権力者たちは心から願っています。もしも膨大な棄権者たちが目覚めたら、安倍政権などあっという間に転覆することを分かっているのです。
「仕事があるから」「投票所が遠い」「面倒だ」「候補者の違いが判らない」「自分一人が投票しなくても構わねえだろ」「選挙をしても政治は変わらない」「天気が悪いから」・・・・このような理由で選挙権を放棄することが、どれだけ愚かなことか早く気付くべきだと思います。
以上