日本における報道の自由度は、誰が評価すべきでしょうか?少なくとも、この人ではないことは確かです。
内閣支持率を気にする余り、報道の不自由度を高めている張本人が、「日本の記者は自由に発言している」などと述べても説得力はありません。歪んだ認知と、口先でのゴマカシには、毎度のことながらウンザリさせられます。
では、日本のメディア自身は、報道の自由度の評価を正しくできるでしょうか?結論を言うと、一部の例外を除いて無理だと思います。記者クラブという既得権益に浸かって政府発表をそのまま垂れ流すだけの御用メディアには、問題意識がありません。権力の監視というジャーナリストの使命を忘れ、調査報道を怠っている者たちには、権力からの圧力や懐柔が無くても自己検閲に励みます。NHKは、政府に都合の悪い場面であれば故意に国会中継をサボるほどです。報道の不自由さを感じる能力は失われてしまいました。
やはり、日本における報道の自由度を評価するには、海外からの冷静で客観的な目が必要だと思います。人間も同じです。自分の力で自分自身のことを正しく評価することは、とても難しいのです。自分で自分を評価すると、他人が行う評価の10倍ぐらい甘くなってしまうのが普通です。
2016年4月20日、国境なき記者団は、世界報道自由度ランキングを発表しました。詳細は下記を参照してください。
日本は180か国中、72位でした。先進国の中では最悪レベルです。実は、日本の報道の自由度ランキングは年々低下の一途を辿っています。
2017年も同じく72位でした。安倍政権になってからランキングが急降下しているのです。
この結果に反発する政府や御用メディアの意見を紹介しても参考にならないので、海外メディアの論評を紹介いたします。2016年4月20日付のロサンゼルスタイムズ記事のリンクを以下に貼ります。( )内は私の邦訳です。
How Japan came to rank worse than Tanzania on press freedom(日本の報道の自由度がタンザニアより悪化したのはナゼか?)
上記リンク先記事の要旨を以下に記します。参考にしてください。
要旨始め
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国境なき記者団によると、2016年の日本の報道自由度ランキングは、180か国中72位であり、昨年よりも11ランクも低下した。
6年前には11位で世界トップレベルだったのに、近年は悪化の一途を辿っている。国際的にも問題視されている。
福島原発事故以降、日本のランキング凋落が始まった。事故の調査報道は不十分極まりなく、政府は事故を過小評価し、メルトダウンを公的に認めるのに2か月も要する有様だった。
第二次安倍政権以降、政府は、自分たちにとって都合の悪い報道をしないようにメディアへの圧力を強めていった。
2年前に安倍政権が成立させた特定秘密保護法は大きな批判を受けた。特定秘密に指定されていることを知らずにその情報にアクセスすると、最大で5年の実刑が言い渡される可能性がある。
2014年、安倍総理はお友達の籾井氏をNHKの会長に据えたが、報道機関の独立性を損なう暴挙である。
自民党の憲法改正草案を見ると、公共の利益と秩序を乱すという名目で政府に都合の悪い意見を封じ込める意図が感じられる。
高市大臣の停波発言など、報道機関に対する恫喝は由々しき事態だ。3人の著名なテレビ司会者が政府の陰湿な圧力により降板を余儀なくされた。
メディアが権力に懐柔されて自己検閲に励んでいるのが一番問題だ。
安倍政権によるメディアへの圧力、メディア人事への介入、メディアの自己検閲により、日本の民主主義は危機にさらされている。
報道の自由を確保するためにも放送法は改正すべきだ。
記者クラブに属さないと情報にアクセスできないシステムは、なれ合いの既得権益に他ならない。記者クラブは、優れた権力批判報道を行う週刊誌などを締め出している。
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要旨終わり
いかかでしたか?今回は一例としてロサンゼルスタイムズの記事を取り上げましたが、冷静に事実を把握・分析していますね。
日本の大手テレビ局や新聞社の報道だけを頼りにして物事を判断するのは危険だと思います。
以上