人間、年を重ねれば成長する訳ではないと、つくづく感じます。ぬるま湯に長年浸かっていれば、停滞どころか堕落する一方です。典型的な事例を取り上げたいと思います。滋賀県の吉田清一県議(68)=自民党=が、高校生に対して吐いた暴言の件です。
2016年3月16日、第88回選抜高校野球大会に初出場する滋賀学園の選手を激励する会が県庁で行われましたが、その直後に悲劇が起こりました。2016年3月30日付の毎日新聞記事から引用します。
引用始め
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激励会は、県教委が開催。選手や監督らが県庁正面玄関に並び、三日月大造知事らが励ましの言葉を述べて送り出した。吉田県議は出席していなかった。
複数の関係者によると、会の終了後、選手らが県庁西側の路上に停車していた大型バスへ移動したところ、吉田県議が突然「なんちゅうとこ止めてんねん」「誰の許可を得てん」などと怒鳴り、「おまえらなんか1回戦負けしろ」と叫んだ。ほとんどの選手がぼうぜんとして見ていた。学校関係者はその場を取りなそうと、吉田県議に「すみません」と謝って発車させた。バス車内で、野球部長が「気にするなよ」と呼び掛けたが、選手たちは事態をのみ込めない様子だったという。
学校側の出席者は「大舞台を前に選手を動揺させたくなかったのでその場では謝罪した。士気をくじくような言葉を選手らにぶつけてほしくなかった」と話している。
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引用終わり
バスは指定場所に止めてあったので運転手にも、もちろん選手にも責任はありません。このような暴言被害に遭っても、初出場の滋賀学園はベスト8まで勝ち進みました。「犬に吠えられた」くらいに受け止め、気持ちを切り替えて試合に集中したのだと思います。私も見習いたいです。
選手たちに吠えたのは犬ではなく県議会議員なので、3月31日、言い訳の釈明会見が開かれました。
2016年3月31日付の毎日新聞記事から引用します。
引用始め
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「私が言ったのは、『こんなことをしていたら1回戦で負けるぞ』。『負けろ』とは言ってはいないんですわ」
「駐車禁止の場所にバスが駐車していると思い、運転手ら大人に注意しただけ」
「(議員として)『注意しないといけない』と強い思いに駆られました。正確に伝わらなかったことは非常に残念だ」
「誤解を受けたとしたら残念だが、謝罪はしない」
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引用終わり
一時間半もかけて見苦しい言い訳を聞かされて、報道陣もさぞかし疲れたと思います。支離滅裂で見苦しいの一言ですね。発言の撤回も謝罪もせず、このまま議員として居座るつもりのようです。居心地が良いポジションは誰でも手放したくないものです。
ネットで検索すると吉田県議は、高校生に対してだけでなく、女性議員など、立場が弱いと判断した相手に対する暴言・パワハラを無数に繰り返してきたようです。今の自民党の体質をそのまま表している人物と言えましょう。
このような堕落した愚劣議員の跋扈を許しているのは、言うまでもなく有権者の怠慢です。国政選挙以上に地方選挙での投票率は低く、特に自民党の利益誘導型組織選挙は威力を発揮します。吉田清一県議は6期目ですから、すでに20年以上のキャリアがあります。有権者の政治的無関心に助けられて、ぬるま湯に長年浸かり続けてきたのでしょう。「殿様」が急に避難される立場になったわけですから、動揺するのも無理はありません。年齢や肩書にふさわしい実力が醸成されていないために、前述の醜悪な記者会見が実現したわけです。
吉田清一県議以外にも醜悪な自民党議員はたくさんいます。
「一回戦負けしろ!」と言った自民党県議に限らず、堕落を極めた政治家を生み出したのは、他でもない有権者の政治的無関心であると重ねて指摘したいと思います。
以上