ネット上で、上写真の新聞投稿を見つけました。以下に引用します。
引用始め
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暮れに全国展開する近くの大型商業施設に行った際、ザックに貼り付けた「アベ政治を許さない」のステッカーを外すよう要求されました。
私は「中で宣伝などをするものではないし何が問題なのか」として後刻、本社宛てに拒否する理由をただしました。回答は「それを見たお客さまが不快感を覚えるかもしれない」(当該店舗店長名)というものでした。
これには納得できなかったため、改めて店(各店で起きたことは現場で対応するとのこと)を訪れると、総務課長という人物が「一度回答しているので改めての説明はしない」とにべもない対応でした。
一部には、消費者が店を選択できるように店側も客を選べるといった民法の解釈もあるようです。私自身は、不快に思う人がいるかもしれないが、著しく公共の福祉や公序良俗に反しているとは思いません。店側の過剰な管理権の行使ではないかと考えます。
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引用終わり
この投稿者の考えを言い換えると次のようになるでしょう。
「アベ政治を許さない、という文言に共感し、そのステッカーを自分の持ち物に貼って自分の考えを表現する権利を私は持っている。このステッカーの主張に賛成できない人もいるだろうが、法律に反している訳でもないし、表現の自由を奪う権限は店側にはないはずだ。」
安倍政権によって無法国家となりつつある現状を憂う人ならば、この投稿者の考えに共感するかもしれません。店側の対応に反発を覚えるかもしれません。しかし、店舗運営者側の立場からすれば、このような対応をせざるを得なかったと思います。
不特定多数の人が利用する店舗は、様々な思想信条・価値観・立場の人が集まります。理想としては、来店者すべての人が快適に過ごし、気分よく財布のひもを緩めてもらい、たくさん買い物をしてもらい、結果として店側の売り上げを高めなければならないのです。売り上げを減らしかねないことが現場で発生していないか、常に店舗内を監視しています。不適切な事象を発見したらすぐに駆けつけ、他の利用者が不快感を覚えない様に丸く収める対応をしなければなりません。店側が求める秩序維持に協力してもらえないならば、最悪、店の外に出て頂くことになります。公共的な空間ではありますが、私企業が運営する販売現場ですから、誰をお客として認めるかの最終的な権限は店側にあります。
すべての来店客が心地よく過ごすためには、政治的に無色である必要があります。すべての人の共感を得られる政治信条は存在しません。すべての人が賛成してくれる政策も存在しません。「憲法九条は世界の宝」「原発反対」という当たり前の主張に対してすら、反発する人が多数存在します。政治に無関心で、政治的な主張自体に嫌悪感を抱く人も多いのです。これが現実です。店側はこのような現実をよく承知していますので、政治的な主張に類するものを極力排除したいと思うのは当然でしょう。
冒頭の投稿者は、おそらく下写真のような格好で店舗内を歩いていたのではないでしょうか?
これでは誰が見てもすぐに政治的な主張だと判ってしまいます。応援する人もいるでしょうが、眉をひそめる人も多いはずです。「不愉快だ!こんな店で買い物ができるか!」と思うお客が現れたら、お店としては一大事です。来店者すべてに快適に過ごして欲しい店側としては、ステッカーを貼っているお客に頭を下げて、取り外すよう丁寧にお願いをするしかありません。店側は売り上げが最大化する方法を常に考えて行動しているだけです。安倍政権を応援したい訳でも、市民から表現の自由を奪いたい訳でもありません。「安倍政権万歳!」というステッカーであっても、目立つように提示されたら排除の対象となるでしょう。
デモ・集会・表現の自由が安倍政権によりないがしろにされている現実があることは確かです。問題意識がある人は、冒頭写真の投稿に共感するかもしれません。しかし、店側の冷静な対応と、権力者の横暴は、別の問題としてとらえる必要があると思います。
以上