「生活の党と山本太郎となかまたち」は、2016年1月現在、5名の国会議員を擁しています。今回は、この政党名について考えてみたいと思います。
「なんだ、このふざけた政党名は!」「有権者をバカにしているのか?」など、設立当初は色々と批判を浴びていました。しかし、規模の小さい政党でありながら、中々の存在感を示しています。やはり、共同代表である山本太郎議員の活躍によるところが大きいでしょう。彼の説明はとても分かりやすく、しかも印象に残ります。
「生活の党と山本太郎となかまたち」という政党名には様々なメリットがあると思います。
1)名称が長すぎるので印象に残る。
言わされる、書かされる立場からするとウザいのですが、印象には残ります。
2)「生活」という言葉で親近感を覚える。
「共産」と聞いても「は?」という反応しか返ってこないことがほとんどですが、「生活」ならば誰でも馴染みがある言葉です。「ああ、この人たちは私の生活改善のために頑張っているんだな」とイメージしてもらいやすくなります。
3)「山本太郎」という人気者を前面に押し出して注意を惹くことができる。
元俳優で原発反対の旗手だった山本太郎さんは知名度抜群で、一般の有権者から好印象を持たれています。人気者を党名に入れるのは効果的ですね。
4)小沢一郎さんという、実力者だが怖いイメージの人を表に出さない。
安倍自民党よりも遥かに実力があった昔の自民党で幹事長を務めたことがある小沢一郎氏。政界の裏も表も知り尽くしている実力者です。何十年という国会議員としてのキャリアを考えれば、「生活の党と小沢一郎となかまたち」という党名にしてもおかしくはありませんが、スポットライトは山本太郎氏に譲りました。実力があっても、怖くて近寄りがたいイメージがあることを自分でも認識しているのでしょう。
5)「なかまたち」と追加することで、にぎわいを演出している。
食事の時間帯に街中で知らないレストラン前を通りがかった時、中にお客が一人もいなかったら、入ってみようとは思わないものです。人を惹きつけたかったら、ある程度のにぎわいを演出する必要があります。「なかまたち」を政党名に追加することで、所属国会議員わずか5名という弱小政党イメージを補っています。
「それでは次、生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の山本太郎さん、どうぞ」と言わされるアナウンサーも大変ですが、上記1)~5)の効果により、有権者の注意を惹くというメリットを享受しています。
「政党の名前なんて問題じゃない。政策・発言の中身が大事なんだ」という人がよく居ますが、それは間違いです。政策・発言の良さが活かされるのは、有権者が話を聞こうという気になった場合の話です。振り向いてももらえずに素通りされたら、話を聞いてはもらえません。存在していないのと同じです。無理に大声で叫んでも雑音にしかなりません。かえって支持率を下げるでしょう。
日本共産党には良いところがたくさんあると思います。組織力がある野党の中で、対米従属と大企業中心政策を明確に拒否しているのは日本共産党だけです。最近は志位委員長の話を聞く機会が増えてきました。立憲主義を取り戻すための国民連合政府樹立に向けて、その熱意が伝わってきます。しかし、ほとんどの人は「共産党」という名前に親近感を持っていませんし、意味を理解できません。年配者の中には、社会の中の異分子という汚れたイメージを持つ人も多いです。そのため、「共産党」と聞いただけで素通りされてしまうのです。せっかく良いものを持っているのに、話しすら聞いてもらえないなんて勿体ないですね。詳しくは下記リンク先記事をご確認ください。
【政党の名前】有権者に振り向いてもらえなければ存在していないのと同じである。
「ぶれない政党でありたい」「この党名には歴史の重みが込められているんだ」「未来社会への展望が党名に込められている」などの理由により、日本共産党は頑なに党名変更を拒否してきました。しかし、現実の厳しさに目覚めたのか、最近は党名変更を密かに検討しているようです。良いことだと思います。
一人でも多くの人に振り向いてもらうための努力は、社会人ならば多かれ少なかれ誰でもやっていることです。古くからの共産党関係者・支持者の中には、党名変更に反対する人が多いと聞きます。良い機会ですので、狭い内輪での論理にばかり浸かっていないで、世間一般からどのように見られているのか意識して頂きたいと思います。「アカで結構!」などと開き直っていたら、明るい未来社会が実現することはないでしょう。
以上