JR東海はリニア中央新幹線の開通を目指しており、2014年秋に工事実施計画が認可されました。東京〜名古屋間の工事完成予定は2027年、さらに大阪までの延長工事は2045年に終わる予定です。あくまで予定ですので、実際にはどうなるか判りませんが、安倍総理と仲良しのJR東海:葛西名誉会長はとても意欲的です。
山梨県の実験線で長年、研究開発が続けられており、最高速度が603km/h(2015年4月21日現在)に達したというからスゴイですね。
リニア中央新幹線はマスコミが華々しく取り上げていますが、問題点などのマイナス情報がほとんど報道されていません。JR東海が大スポンサーである以上、マスコミとしては批判的な調査報道をしにくいのでしょう。しかし、見過ごせないので以下に問題点の概略を記します。
1)経済性
建設費は名古屋までが5兆円以上、大阪まで伸ばすと合計で約9兆円になると試算されています。試算はアテにならないので実際には何倍にも膨れ上がるかもしれません。消費電力は従来新幹線の何倍もかかります。乗換え時間や待ち時間を考えると、乗客にとっての時間短縮効果は少ないと予測できます。興味のある人は1回くらいは乗ってくれると思いますが、従来新幹線よりもかなり割高になるはずの運賃を払ってまで継続利用したいと考える人はほとんどいないでしょう。初期投資の回収どころかランニングコストを賄うことも難しいはずです。旧国鉄と同じように何十兆円という負債を抱えて、最終的には国民負担で返済するというパターンが繰り返される恐れがあります。
2)環境破壊
リニア中央新幹線は経路の9割近くがトンネルになる予定です。(風景が楽しめない乗り物はスゴクつまらないでしょうね・・・)つまり、南アルプスを含めた山々を貫通する工事が必要なのです。地質的な問題があり、無理にトンネルを掘っても崩落しやすく、かなりの難工事が予想されます。また、掘り出した大量の残土をどのように処分するのでしょうか?さらに、南アルプスの大水脈を分断した場合の影響も計り知れません。
3)健康被害
超伝導磁気浮上式という技術を用いているので、電磁波による健康被害も覚悟しなければなりません。一般に、小児白血病を発症する確率を2倍にする電磁波レベルは相当危険ですが、リニア新幹線では、その1万倍もの電磁波を乗客が浴び続けることになります。乗客だけでなく周辺住民も強い電磁波を浴びることになります。人体実験でもしたいんでしょうか?
4)安全性
地震・停電など様々な原因により、地下深くでリニア新幹線が急停車するケースを考えなければなりません。時速500km以上で走行中の車両が、そんな状況下で安全に停止する技術があるのでしょうか?リニア新幹線には運転士がいませんから、車掌だけが頼りです。1000人くらいの乗客を全員無事に地上まで誘導するためのノウハウをどのように確立するのでしょうか?仮に可能だとしても、安全対策のために膨大な追加費用がかかりそうです。
まとめ:
リニア中央新幹線は、原子力発電所と同じく有害無益な物であることは間違いありません。世界のどこの国もこのような技術に興味を示していません。計画していた国はありましたが、かなり昔に撤退を決めています。しかし、日本人はなぜか、戦時中と同じように、やめるという決断が出来ません。不要な公共事業で喜ぶのは、建設業者など関係者だけです。安倍政権が続く限りこの暴走を止めることはできません。実際、自民党は2016年7月の参院選公約で、次のように述べています。
「リニア中央新幹線の大阪開業前倒し・整備新幹線の建設推進のほか、超低金利奨学金、開かずの踏切対策などの分野を中心に「超低金利活用型財政投融資」を早急に具体化します。その際、今後5年間で官民あわせて30兆円を目途に、十分な政策効果が早期に実現するような事業規模を確保します。」
社会保障の予算は渋るくせに、リニア新幹線のような無駄なものに対して、兆単位のお金を惜しげもなく注ぎ込むつもりです。自民党の病気は治りません。有権者の鉄槌だけが頼りだと思います。
JR東海に対しても次のように進言したい。
「無駄金を使っている余裕があるなら、既存の新幹線料金を下げろ!!」
以上