暴言王として名高い麻生太郎副総理兼財務相が、また何かやらかしてくれたようだ。2016年6月17日に北海道小樽市で行われた自民党支部会合での発言を、以下に引用する。(出典:2016年6月18日付、朝日新聞記事)
引用始め
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思ったより伸びなかったのは、個人の消費です。間違いなく1700兆円を超す個人金融資産がある。すさまじいお金。そのお金が消費に回らない。買いたい物がないとか、将来が不安だからとか、いろんな理由あるだろうが、いずれも伸びない。金なんてね、あれ見るもんじゃねえんだ。触るもんでもねえ。あれは使うもんだから。使って回さないとどうにもならねえ。じーっとしているのが最大の問題だ。
(中略)
ぜひ、みなさん方にお願いしておきたいのは、このお金を何に使うのかだけは、ぜひ考えといてもらいたい。俺も75歳だから、俺が考えてもしょうがないの。みなさん方は何に使うんです、この金。さらにためますか?
金ってのは、ない時はためるのが目的になるさ。しかしあったら、その金は使わなきゃ何の意味もない。金ってそういうものだ。従って何に使うのか決めてもらいたい。どうしたいんです? さらにためてどうするんです?
90歳になって老後が心配とか、訳のわかんないこと言っている人が、こないだテレビに出てたけど、オイ、いつまで生きてるつもりだよと思いながらテレビを見てましたよ。
わたしのばあさんは91歳までピンとしてましたけど、この人は、金は一切息子や孫が払うものと思って使いたい放題使ってましたけど、ああ、ばあさんになったらああいう具合にやれるんだなと思いながら眺めてました。
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引用終わり
麻生氏の上記発言中、
「90歳になって老後が心配とか、訳のわかんないこと言っている人が、こないだテレビに出てたけど、オイ、いつまで生きてるつもりだよと思いながらテレビを見てましたよ。」
、の部分が取り上げられて、「高齢者への配慮が無い」とか「血も涙もない」という批判につながっている。もちろん、人間の尊厳を軽んじる暴言は、いつものこととはいえ許されるものではない。
しかし、麻生氏の今回の発言での問題は別のところにもある。日本では貧富の格差が拡がり過ぎて、大多数の国民は消費をしたくてもできない状態だということを、現職の副総理兼財務相が理解してないのだ。
実際、日本における貧富の格差拡大は、国会でも取り上げられている。2016年3月29日の参議院予算委員会で日本共産党の小池晃議員が明らかにしたが、日本の富豪上位40人が保有する資産の総額は2015年に15.9兆円にも上り、その額はこの3年間で2.2倍に急増している。上位40人の資産総額は、日本の全世帯の下位約53%が保有する資産に匹敵するという凄まじさだ。
その一方で、貧困の実態も深刻だ。単身世帯の約半数は預金できない。若者の多くは非正規雇用で貯金もできず、年金の掛け金を払うことすら難しくなっている。老人世帯も乏しい年金収入を預金の取り崩して賄っているケースが多く、社会保障削減が進む中、不安な毎日を過ごしているのだ。生活の不安がなく消費を謳歌できるような人は、今の日本社会では極々少数派なのである。
麻生さんは財務大臣としてこの程度の情報は得ているはずだが、自分のものに出来ていないようだ。国会審議中に居眠りでもしていたのだろうか?
世襲の5世議員として金銭的には何不自由ない暮らしをしてきた麻生氏には、庶民の事情を理解することは難しいのだろう。91歳まで生きた麻生氏の祖母は金を使いたい放題使っていたそうだが、彼にとっては、それが基準になっているのだ。他の老人たちも同じようにドンドン散財すれば、景気が上向きアベノミクスが成功すると思っているのだろうか。75歳にもなってこれだけ世間知らずな人間を政治家にしてしまった有権者の罪は重い。
1700兆円の個人金融資産があると麻生氏は言うが、ごく一部の人間たちでほとんど独占していたら消費が増える訳がないのである。金を持っている人には応分の負担をしてもらい、富の再分配をしなければならない、と麻生財務大臣が認識するのはいつのことだろうか。
以上