福島県内には、国が認証した自動車整備工場が約1700か所あります。自動車を洗車した時に発生する汚水は地下に溜められ、油・水と汚泥が分離され、有害でない水だけ排水されています。福島原発事故以降、沈殿した汚泥は高濃度の放射性廃棄物と化しています。
第三者機関による調査では、整備工場1700か所のうち36か所を調べたにすぎませんが、国の指定廃棄物基準(1キログラム当たり8000ベクレル超)の7倍以上(最大57400ベクレル)の放射性物質を検出していたことが、業界三団体への取材で判明しました。
参考リンク:
福島の整備工場 洗車汚泥に放射性物質
Car wash septic tanks emerge as radiation threat in Fukushima
福島原発事故により、チェルノブイリ原発事故よりも多い放射性物質が世界中に拡散しました。現在も放出し続けており、東日本一帯は特に汚染状況がひどいのです。
福島県内の自動車整備工場で放射性廃棄物が蓄積されていても何の不思議もありません。この件で何が問題なのか、以下に箇条書きします。
・法律による報告義務は、下水の汚泥と焼却灰だけが対象とされており、多くの抜け穴がある。
・福島県内の自動車整備工場だけで数千トンの高濃度放射性汚泥が溜まっている。汚泥が溢れないように、健康不安におののきながら手作業で汚泥を汲み上げる作業をしている。
・業界団体は何年も前から日本政府に対して対策を求め続けていたのに、事実上、放置されていた。行政の怠慢である。
・各自動車整備工場は顧客を失うことを恐れ、長らくこの事実を公表することが出来なかった。彼らの保管能力は限界に達しつつある。
・今回、第三者機関による調査はわずかに36か所であり、国による全数調査を早急に実施しなければならない。
・自動車整備工場の放射性汚泥問題は、福島県内だけの問題ではない。放射性物質が付着した自動車は日本中を走り回っており、日本中に拡散している。汚染状況調査は日本全国で行わなければならない。
・放射性廃棄物は、自動車整備工場だけの問題ではない。今回判明した事実は、氷山の一角に過ぎない。ありとあらゆる分野で汚染が放置され、日本国民は事実を調べようともしないし、見ようともしていない。
・問題の先送りは健康被害という形で現れる。呼吸や食事を通じて体内に取り込んだ場合の内部被ばくが恐ろしいのだ。体重1キログラム当たり50ベクレルを超えると、心臓血管系・神経系・内分泌系・免疫系・生殖系・消化器系・排泄系で病的な変化が増加する。人工放射性物質には、これ以下なら安全という閾値は存在しない。チェルノブイリ原発事故後の調査ですでに明らかになった事実だ。
最後に:
新聞テレビなどの主要メディアは、このニュース(自動車整備工場の放射性廃棄物問題)をほとんど取り上げていません。運良くこの情報に接することができた人は、「福島県内だけのことだ」「自動車整備工場限定の問題だ」と思わない方がいいです。問題の矮小化は死を招きます。
以上