他人の失敗から学ぶことができれば賢者である。賢者になれなくても、自分が痛い目に遭って、そこから学べればまだマシである。自分の失敗からも学べず、取り返しがつかない同じ過ちを繰り返す人間は思考停止であり、論外だ。
その思考停止人間ばかりで原子力村は構成されているらしい。
福島原発事故を起こして何千万人という人間を被ばくさせた東京電力は、その事実を隠蔽し、賠償金などを税金と電気代で負担してもらっているにも関わらず、いまだに緊張感のない経営を行っている。本来ならば倒産すべきだった東京電力は、安倍政権の庇護のもと、多額の利益を上げるまでになり、性懲りもなく柏崎刈羽原発の再稼働を推進している。再稼働のお墨付きを与えた原子力規制委員会が原発利権者で占められているのだから話にならない。
この件に関して、イギリスのガーディアンが、2017年12月28日付の記事で報じている。リンクを以下に記す。
Fears of another Fukushima as Tepco plans to restart world’s biggest nuclear plant
ガーディアン記事内容を要約して以下に記す。
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柏崎市と刈谷村の約9万人の住民は、巨大な原発力プラントと40年以上の時間を共にしてきた。
7基がフル稼働すれば820万kWの出力を得られる柏崎刈羽原発は、世界最大の原子力発電所だ。しかし、2011年の福島原発事故以降、7基すべてが停止したままだ。
事故を起こした張本人である東京電力は国民の非難の的になった。事故を防げなかっただけでなく、何十万人という避難者への対応や除染作業がお粗末だったからだ。福島原発の廃炉には40年で、50~70兆円かかるという試算もある。
その東京電力が、今、柏崎刈羽原発の2基(6号機と7号機)を再稼働させようとしている。福島原発の廃炉費用を捻出し、原発への国民の信頼を取り戻す為だという。1か月のパブリックコメントを経て、原子力規制委員会も再稼働にお墨付きを与えた。福島原発事故後に導入された、より厳しい基準を満たしているのだという。
東京電力はガーディアンの独占取材に応じてくれた。彼らによれば、柏崎刈羽原発は世界一安全なんだそうだ。津波用の巨大な壁、放射性廃棄物を99.9%取り除くベント装置、圧力容器の損傷防止策、水素爆発防止対策など、費用総額は約6800億円まで膨らむ予定だ。「二度と事故を起こさないため、改善作業を継続している」(東京電力担当者)
しかし、国民は全く納得していない。2016年、新潟県民は反原発派の米山知事を誕生させた。県民の7割以上が原発再稼働に反対だ。「新しい委員会が福島原発事故の原因と対策をまとめるまで、再稼働可否の判断はしない」と米山知事は述べた。
原発立地帯の地下には油やガスが貯留している上、対津波壁が立つ地面は地震発生時に液状化しやすいことが分かっている。柏崎刈羽原発の半径30㎞以内には42万人が住んでおり、事故時の避難で混乱することは必至だ。「豪雪の時期だったら全員が避難するのは無理だ。周辺住民の数は福島原発よりも多いし、事故が起こったら福島よりも悲惨になる」(地元住民)しかも、原発の敷地には活断層が2つも存在する。
しかし、東京電力にとって、柏崎刈羽原発2基の再稼働により年間2000億円の利益が見込まれる。
安倍政権も原発再稼働には前向きであり、2030年までに電力の2割を原発でまかないたいという。そのためには、約30基の原発を動かす必要がある。
日本にある48基の原発のうち、稼働しているのは現在4基だ。他にもいくつかの原発が審査をパスしたが、地元住民の反対は根強い。
「福島原発事故前は、我々東電は驕っていた部分があり、安全対策も不十分でした。しかし事故の教訓に学び、安全対策に終わりはないと認識しました」(東京電力広報部)
しかし、東電の言葉は地元住民の心には響かない。「原発が動かなければ交付金が配布されないが、安心のためには仕方がない。再稼働には反対だ。福島原発は絶対安全だと東電は言っていたが、結果は見ての通りだ」(刈谷村の住民)
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以上が、イギリス:ガーディアン記事の要旨だ。一方、日本国内では、大手マスコミも含めて原発に関する報道が抑えられている印象を受ける。安倍官邸への忖度報道が徹底されているからだろうか?
「風評被害」という言葉を使って、心地よいウソに流されても事実は変えられない。事実を見て見ぬふりをすれば、破局が訪れるのみだ。思考停止の代償は大きいと心得なければならない。
以上