「従軍慰安婦」というゴマカシ表現が定着しているが、戦時中の旧日本軍による性奴隷強制は人類に対する犯罪であり、悪魔の所業である。しかし、日本人は学校で加害者としての歴史を学ばないので、旧日本軍による性奴隷強制を韓国側からの言いがかりと受け止め、ヒステリックに反論するのみだ。だが、世界の論調はもう少し冷静だ。ニューヨークタイムズがこの件に関して、2018年1月12日付記事で報道した。当該記事のリンクを以下に貼る。
Japan Balks at Calls for New Apology to South Korea Over ‘Comfort Women’
以下にニューヨークタイムズ記事の要旨を述べる。
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歴史問題については、日韓が和解することはなさそうだ。
旧日本軍による性奴隷被害者に関する2015年の日韓合意を反故にする気はないと韓国は述べたが、心からの謝罪を日本側に求めた。しかし、安倍総理は、追加的な要求は到底受け入れられないとして、拒否した。
性奴隷問題が原因で、日韓両国は長い間対立してきた。「歴史の歪曲だ」「歴史の改ざんだ」お互いに罵り合ってきたのだが、それが再燃した格好だ。
2015年の日韓合意は、「最終的、かつ、不可逆的な合意」とされ、日本政府の謝罪と10億円の基金提供が含まれていた。しかし、被害者たちの要求は、日本が法的な責任を認めて正式に賠償金を支払うということだ。日韓合意は被害者たちの気持ちが無視されているため、韓国内で猛反発が起き、後任の大統領は見直しを約束した。
韓国側は、被害者に対する心のこもった誠意ある謝罪、および、再発防止への取り組みを求めている。しかし、安倍総理は追加の謝罪を拒否した。さらに、韓国で行われる冬季オリンピック開会式への参加ボイコットを示唆した。総理官邸は、1月22日から始まる国会日程を理由に挙げたが、安倍総理は2014年のソチオリンピックでは、国会を欠席して開会式に参加している。
日本のマスメディアのほとんどは、安倍総理の態度・発言を支持している。「河野談話以来、繰り返し謝罪してきたじゃないか!」「また蒸し返す気か?」と言う者もいる。安倍総理自身は、性奴隷強制の事実自体を疑っている。
「人権侵害案件なのだから、被害者の声を聞かずに解決は有り得ない。謝罪が本物か、賠償が十分かは被害者側が決めることだ。」(上智大学の中野教授)
「従軍慰安婦の論争は脇に置いて、安全保障での協力や当面の課題に注力すべきだ」「2015年の日韓合意は、過去を忘れようという意味ではない」(日本の元外交官)
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以上が、ニューヨークタイムズの記事要旨だ。日本国内のヒステリックな安倍忖度報道よりは、だいぶ冷静に感じる。
歴史を学ぶ際は、被害者してだけでなく、加害者の視点も重要である。過ちを繰り返さないためにも、事実から目を背けてはならない。歴史の改ざん・歪曲・隠蔽は最低の人間がすることだ。
「慰安婦問題は10億円払ってチャラにするって決めただろ。それを反故にするなんて許せねえ。平昌五輪開会式への出席はナシだ!」
これが、加害者側のとるべき態度だろうか?非常識な安倍総理の態度は、日本国民の意識の反映でもある。反動極右の首相を支持する国民自身が、世界に対して恥をさらしているのだ。
参考までに、次の記事も合わせて読んでいただけたらと思う。
加害者としての記録が必要なのはナゼか?歴史改ざんは高くつく。
以上