多くの反対があるにも関わらず川内原発を再稼働したことで知られる九州電力。その九州電力の要請により厚生労働省が、原発作業員の残業時間上限撤廃を認めていたことが判明しました。2016年10月12日の国会予算委員会で、日本共産党議員の質問に対して塩崎大臣が認めたのです。
日本の法律では、残業時間は1か月で45時間以下、3か月で120時間以下、1年で360時間以下と基準が決められています。しかし、「公益上の必要」があれば労働基準局長が適用除外できると定めており、原発再稼働審査のための業務はこの適用除外にするという通達が2013年に出されていたのです。
この通達には様々な問題点があります。以下に箇条書きします。
・そもそも原発自体が社会的に有害無益であり、再稼働ではなく廃炉の準備をしなければならない。
・再稼働など論外なのに、それを急がせるために残業時間の上限を撤廃している。
・電力が不足している訳でもないのに公益上の必要があると判断するのは間違いである。
・電力会社を含む原子力マフィアの利益擁護を最優先にしている愚かな通達である。
・原発労働者にとっての安全性や健康などは度外視されている。
この反社会的な通達が、何と、厚生労働大臣の知らぬ間に出されていたのです。2013年に出されていたのに、塩崎労働大臣は、2016年10月12日の朝に秘書から初めて聞かされたと述べています。原子力規制委員長も初耳だと述べています。官僚たちが業界の意向を受けて勝手に判断し、勝手に通達を出したようです。
日本とアメリカは日米原子力協定を結んでおり、日本の原子力行政はアメリカに支配されています。日本の独自判断で決められるのは電気料金だけです。政治家ですら排除されているような環境下では、官僚たちの独善的暴走が起こっても不思議ではありません。詳しくは下記書籍を参照してください。
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原発は再稼働ではなく、廃止に向けて動くのが当然です。さらに、原発労働者に限らず、労働時間の上限を厳しく定めるように法改正をしなければなりません。現在の法律は穴だらけであり、実質、残業時間を青天井にして労働者を働かせることが出来てしまいます。過去に無数に発生した過労死は国際的な恥さらしであり、とうとう「karoshi」という英語まで生まれてしまいました。
残業は原則ゼロにすべきです。一日の中で仕事の割合が多すぎると、国民の政治参加意識を高めることができず、いつまで経っても奴隷根性を無くすことが出来ません。家庭だけでなく自分の住んでいる地域や国すら顧みない社畜たちが増えれば、必然的に選挙での投票率は下がります。権力者たちにとって、こんなに有難いことはありません。
雇われ人(サラリーマン)の労働時間は、一日8時間が原則です。もっと正確に言うと、昼休みも含めて会社にいる時間を一日8時間にすべきです。ドイツを見習って、短い時間で仕事の成果を出すように工夫し、「日本のサラリーマンは非効率的な仕事の仕方をしているので生産性が低い」という国際的な悪評を返上しなければなりません。
参考リンク:
Labor Ministry okays limit-exceeding extra work if it’s for restart of N-reactors
再稼働へ残業規制除外 九電が要求 厚労局長通達 衆院予算委 高橋議員が追及「働き方改革」看板に偽り
以上