事故が起きたチェルノブイリ原発から約140km離れたところにコロステンという名前の町があります。コロステンは、チェルノブイリ法では移住の権利ゾーンに当たります。
原発事故から28年後、この町に住む人たち(主に子供たち)の健康状態がどうなっているのか、どのような対策がされているのか取材したビデオを以下に紹介します。どうぞ御覧下さい。
映像報告「チェルノブイリ・28年目の子どもたち」(43分17秒)日本語字幕あり
上記ビデオの内容概略を以下に示します。
・健康を損なっている子供たちの紹介
・子供たちは年に一回、詳細な診察を受ける。
・体育の時間に突然死する子が増えたので、健康状態に応じてグループ分けをしている。
・子供の体力が持たないので、授業時間が短縮されている。
・給食は、汚染の無い食事が無料提供されている。
・原発事故前に比べて子供たちの健康状態はかなり悪化し、体力が低下した。学習面でも影響が出ている。
・白血病や癌だけでなく、様々な疾病が増加した。
・ウクライナでは原発事故のあった年から、汚染地域の子ども達を毎年保養に出してきた。
・充実した保養プログラムは無償で利用できる
・チェルノブイリ法16条に基づき、被災者の健康データベースが管理・更新されている。
・現在、人が居住している場所で年間1mSvを超えるところはない。
・ある家族の紹介。母親はチェルノブイリ原発事故当時に、事故を知らされないまま被ばくし妊娠・出産にも影響が出た。
さて、いまだに収束の目途すら立たない福島原発事故を起こしてしまった日本人は、このチェルノブイリ事例から何を学ぶべきでしょうか?健康への悪影響を最小限に抑えるために予防原則(注)に基づいた対策を徹底しなければならないのは言うまでもありません。
しかし実際には、健康への配慮を欠いた非人間的施策のオンパレードです。
・放射能汚染レベルの測定が不十分で、しかも、わざと数値を低く見せている。
・チェルノブイリ基準では避難すべき場所に人を住まわせている。
・避難者への援助を打ち切り、高線量地域へ帰還せざるを得ないようにする。
・健康調査の対象範囲を狭くし、被爆による健康被害を小さく見せている。
・特定の医療機関だけに健康調査・診断を許可し、その結果を住民たちに教えない。
・福島県の農産物を福島県内の学校給食に用いて、「安全性」をアピールしている。
・汚染地域に企業が進出したり、学校を作っている。
・東京電力を初め原子力村の人間は罰せられず、賠償費用などは国民負担になっている。
・安全性の確認ができないばかりか、放射性廃棄物の処理・管理方法も確立できていないのに、全国の原発を再稼働しようとしている。
・原発の新設や輸出を目論んでいる。
・その他
原発即全廃や、チェルノブイリ並みの健康対策を掲げる政治家・政党に、有権者は一票を投じなければなりません。
注)
原発事故で放出された放射性物質が健康に悪影響を及ぼすことは間違いありません。しかし、そのメカニズムは複雑であり、科学的に100%確実に予測できる訳ではありません。何らかの不確実性が存在することは事実ですが、だからといって健康被害防止策を延期するという方針を採用してはなりません。深刻で取り返しのつかない被害が発生する可能性があるからです。
以上の考え方を「予防原則」といいます。
以上