日本の職場におけるセクハラ(性的嫌がらせ)実態について、イギリスのガーディアン紙が論じていますので紹介いたします。2016年3月2日付の記事リンクを以下に貼ります。( )内は私の邦訳です。
「Nearly a third of Japan’s women ‘sexually harassed at work’」(日本の職場では女性の約三分の一がセクハラ被害に遭っている)
上記リンク先の記事内容要旨を以下に記します。
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日本では「女性が輝く社会」を目指しているようだが、政府の報告書によると女性の約三分の一がセクハラ被害に遭っている。この種の調査は日本では初めてだ。
年齢や容姿のことを話題にされるだけではない。わいせつな行為を受けた人は40%、性的関係を強要された人は17%にも上る。
加害者で最も多いのが上司である(約24%)。
公に訴えるケースは少なく、63%の人が我慢している。被害者の1割くらいは訴えるが、対応がいい加減だったり、降格の憂き目に遭っている。
安倍政権は、職場における女性の地位を向上させる政策を掲げている。しかし、非正規雇用や低賃金にあえいでいる女性が多く、上場企業で役員に就いている女性はほとんどいない。国際的に見ても低い水準だ。
2014年に、東京都議会で質問に立った塩村文夏議員に対してセクハラやじが飛ばされ、話題になった。
妊娠した女性に対する嫌がらせも、日本の職場で頻発している。不当解雇・降格・言葉の暴力などが典型的だ。
男女格差がどれだけ少ないかを示す指数では、日本のランキングは低く、世界145か国中101位だ。
「Global Gender Gap Index 2015」
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外国から見ると、日本は女性にとって暮らしにくい場所のようです。このような状況が生まれている背景を少し考えてみましょう。
上のキャラクター「碧志摩メグ」は、三重県志摩市が公認していた市の広報のためのキャラクターです。女性蔑視で不愉快という理由により、公認撤回を市民団体が申し入れましたが、市長は応じませんでした。しかし批判の高まりを受け、2015年11月5日、三重県志摩市は碧志摩メグの公認撤回を発表しました。
キャラクター公認撤回運動をしていた団体は次のような見解を述べています。
「17歳という未成年の設定でありながら、胸や太ももなどの表現に顕著な性的誇張表現がなされており、さらにその意図を裏付けるように、 彼女のプロフィールには身長と体重が明記され、「ボーイフレンド募集中」と書かれています。
私たちは、行政が、未成年の女性を性的なものとして表現し、市の広報のための公認キャラクターとして利用し、市役所などの多くの公共の場所で公開をしていることは問題であると考え、志摩市に公認撤回をお願いするための署名運動を行うことにしました。」
この撤回運動に賛同した人のコメントを以下に引用いたします。
引用始め
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「こういうあからさまな性差別と幼児性愛にまみれた表現を公的機関が普通に使うようになってる現状ほんとうに異常です。「女という存在は幼少の頃より性的に搾取されて当然だし、また我々が心地よく搾取できるように男への愛嬌と媚を身につけていくべきである。」というメッセージを大人達が毎日絶え間無く繰り返し、物心ついた時から子供達は強制的にその命令に晒されて育ちます。現在の日本の社会全体がそうした精神的奴隷状態を女性に強いることで成り立っています。近年こうした表現の異常さに社会は少しづつ慣らされ、公的機関さえも建前をかなぐり捨て、まるで「これこそ世界に誇るべきクールジャパンだ」とでも言うかのように、こうした性差別が子供達の目に付く場所に溢れています。
大半の子供達はこうした価値観にがんじがらめで成長する過程で自分の自尊心を諦め、性差別に順応し、服従するようになります。昔から繰り返されてきた最低のサイクルです。この広告キャンペーンを採用した絶望的に無神経な役人達は、自分達のお気に入りのポルノを市民に強制的にプロモートすることが役所の仕事だとでも勘違いしてハシャいでいるのでしょうか?一刻も早くこうした表現を役所が、社会が、公に支持することの重大な暴力性に気付いて頂きたい。この署名運動は当然の批判であり、苦痛を強いられる者達の悲鳴だと思います。」(小熊 陸氏)
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引用終わり
「現在の日本の社会全体がそうした精神的奴隷状態を女性に強いることで成り立って」いると、私も思います。普段は無意識下に埋もれている差別意識は、何かのきっかけで表面化します。職場でのセクハラ頻発は、数ある現象の一つに過ぎません。
ご存じのとおり、日本社会があまりにも暮らし難くなったために出生率が下がり人口が減少しています。小手先の対策ではどうしようもありません。本質的なところに目を向けなければ、社会の衰退は止まらず、取り返しのつかない事態を招くことになるでしょう。
以上