安倍晋三総理大臣は内閣の最高責任者であり、その発言や行動が注目されるのは当然です。しかし、注目しているのは日本人だけではありません。
日本を観察しているKevin Raffertyさんという人が、安倍総理に関して記事を書いています。ジャパンタイムズへの特別寄稿です。安倍さんの数々の問題行動について論じています。
2015年5月8日付の記事リンクを以下に貼ります。
「We need to talk about Abe」(安倍さんのことを話し合おう)
上記リンク英文記事を私の方で日本語に訳しましたが、さらに解り易くするために、一部を要約しました。(私の判断で削除している内容もあります。)
以下に紹介しますので参考にしてください。
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安倍さんの最近の言動をみていると、日本における意思決定システムは一体どうなっているんだと思ってしまう。質問する、議論する、異論を唱えるということを安倍さんは許さない。日本国憲法を変えて戦争ができるようにすることばかりに執着している。「普通の国」という言葉は、どういう意味で使っているんだろう?
彼の最近の行動を振り返ってみよう。
2013年後半に国会を通過した特定秘密保護法は、外交・安全に関する情報を政府が無制限に秘密指定できる。日本国民は情報に関して議論することもできなくなる。
テロリスト対策という非軍事目的のために2億ドルを提供する、とカイロで演説したが、日本人の人質二人の身代金として同じ2億ドルを要求されたら慌てて帰国した。この人質二人は結局、首を切り落とされてしまった。
外務省は、ジャーナリストの杉本祐一氏のパスポートを強制返納させ、シリアへの渡航・取材を断念させた。杉本さんは、危険な地域に行く予定はないと主張していたにも関わらずだ。
旧日本軍の虐殺行為や性的奴隷強制の事実を隠蔽するため、日本政府は国の内外で企てを行い圧力をかけ続けている。
終戦70周年を迎えるにあたり、安倍総理が村山談話をどのように見直すのか、好奇の目が集まっている。
軍事目的でないならば、外国の軍隊に政府開発援助(ODA)を供与することは可能だと安倍さんは述べた。
自衛隊の役割を広げて世界中に派遣できるようにしたい、という安倍さんの願望はとても強く隠しようがない程だ。たとえそれが、憲法九条の精神を蹂躙するものであってもお構いなしだ。
安倍さんは平和憲法を一刻も早く変えようとしており、全く躊躇が無い。環境権などの当り障りのない項目を先行させて、改憲に対する国民の抵抗を和らげる、という目論見がある。憲法九条に違反すると追及は、解釈の変更でかわすつもりだ。
中東を訪問し、イスラム国と対峙している国々へ資金を提供するなんて言ったら、テロリストの怒りに油を注ぐのと同じだ。非軍事的な援助と言っても通用しない。その時二人の日本人がテロリストの人質になっているのを、安倍さんは知っていたんだよね。安倍さんの行動は、人質の死期を早めたと思う。
安倍政権は、報道や表現の自由・移動の自由を尊重する姿勢に乏しいのではないか、という疑念が湧き上がってくる。危険な場所に行くことを日本政府は禁止するつもりなのか?危険な仕事を禁止するつもりなのか?
仮に杉本さんのパスポートを没収しなかったら、政府が彼を救出するはめになっていたかもしれないという主張を聞くが、説得力がないね。結果的に殺されてしまった二人の日本人を救出するために日本政府が何をしたのか考えてみるがいい。
パスポート没収という行動により、「厄介な問題に首を突っ込むんじゃないぞ!」と他の記者へ警告したかったのか?
国境なき記者団による報道の自由度ランキングによると、日本の順位は近年急落している。福島原発事故の取材が出来ず、情報を探ろうとする記者を脅迫している。さらに、記者クラブ制度が外国人記者を締め出しているなど、評判が悪い。特定秘密保護等により状況が悪化するだろうと言われている。
安倍さんの改憲への意欲は半端ではない。しかし疑問もある。戦争放棄を謳っている現憲法下であっても、自衛隊には国を守る能力が十分に備わっているのではないか?
凋落しつつある米国に安全保障面で依存するのは危険だと改憲論者は言う。自主憲法を作って普通の国にするんだ、と主張する者もいる。国際紛争を解決する手段として武力を用いることを禁じている憲法九条を放棄したいようだ。
憲法が改正された後、安倍さんとその支持者たちは自国の軍隊に何をさせたいんだろう?夢や希望があるなら全部書き出してもらいたいね。
人質の日本人二人が殺害された後、海外邦人の救出を自衛隊ができるようにすべきだと安倍さんは言った。日本にも特殊部隊が必要だと言いたいのだろうか?アメリカやイスラエルの特殊部隊は何年もの訓練を受け、情報戦や重火器の扱いにも長けている。その彼らですら人質救出活動を遂行するのは難しい。安倍さんだって知っているはずだ。
人質救出活動の代償はとても大きいのだが、安倍さんは本当にそんなことをする気があるのかね?スパイ活動や内密の救出活動をする必要があるが、日本人がその土地の人間になりすますことができる国なんて殆ど無いよ。
現行憲法から戦争放棄の条文が取り除かれて、日本の軍隊が世界中どこでも行けるようになった場合、どのような結果が待ち受けているだろうか?日本が「普通の」国になったら核兵器を持つのだろうか?ビックリするかもしれないけど、警告として受け止めて欲しい。中国と軍拡競争ができるほど日本は財政的に余裕があるのかい?
安倍さんは21世紀の新しい憲法を作りたがっているが、一方で、侵略戦争の歴史を改竄しようとしている。このことを日本人は憂慮した方がいい。外交関係の悪化につながる。
安倍さんは中国に行って戦時中の蛮行を心から謝罪し、日本の戦後の平和的な歩みは模範的なものだと宣言すべきだ。そして、平和構築への努力をこれからも継続すると約束しなければならない。憲法改正の議論はその後にすべきだろう。でも、この考えに同意してくれる日本人は少数派かな。
世論調査では、憲法九条を無くしたくない人が多数を占めているけれども、安倍さんはまるでお構いなしという態度だね。
憲法は国の根幹を成すものであり、一人の人間の玩具にしちゃいけない。憲法を改正する前には、注意深く徹底的に検証し、その影響を考慮し、代替案が無いか検討しなければいけない。現行憲法との一貫性が損なわれてないか注意しなければならない。そして、日本国民による幅広い議論が必要だ。
先の大戦は恐ろしいものだった。しかし、今後世界大戦が起きたら日本のみならず全人類が消滅することになるだろう。
「日本の平和憲法は先進的で、かつ洗練されたものだ。21世紀に近隣諸国と外交的・経済的友好関係を築きたい普通の国にとって相応しいものだ。武力に頼らない世界を実現するために必要なものだ。」
別に平和主義者じゃなくても、この程度のことは主張できるだろう。
人道主義・平和主義を前面に押し出し、中国・韓国の受けた傷を癒すことを優先する。安倍さんという人が正直者だったら、こういう積極的平和主義に取り組むべきだね。さもなくば、危険な軍国主義への道が開かれることになる。
安倍さんは2014年の総選挙で大勝したが、憲法改正ではなく「アベノミクスで経済を立て直す」という公約を掲げて戦ったのだ。しかし彼は、国民の信任を受けていると強く確信している。徹底的に、そして謙虚に国民の声へ耳を傾ける姿勢がなければ、安倍さんは信頼を裏切ることになるだろう。彼はこういう謙虚さを持っているのだろうか?
以上