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【国連報告】少年兵の悲惨な実態を紹介。自衛隊員が海外で対峙しないと言えるのか?

 海外では、社会的立場の弱い子どもたちが兵士として駆り出されている悲惨な実態があります。下記のリンク先記事を読んでみました。

New United Nations Chief Reveals Thousands of Child Soldiers Fighting in Somalia

 私が邦訳したものを以下に記します。

邦訳始め
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戦争で人員を補充したい場合、子供たちは格好の獲物になりやすい。社会的立場が弱くダマされ易いからだ。誘拐されたり勧誘される者がいる一方で、過酷な現実に耐えられず逃げ出すケースもある。

古今東西、人類の歴史の中で、無数の子どもたちが軍事活動に従事されられてきた。それが道徳に反していてもお構いなしだ。第一次世界大戦中にイギリスは、18歳以下の少年兵を約25万人活用したことが判っている。

第二次世界大戦中のワルシャワ蜂起、ユダヤ人の抵抗運動、そしてソビエト軍など、ヨーロッパ中で少年兵の姿が見られた。第二次世界大戦が終了し国連ができた後、子どもを戦闘行為に参加させないようにするための国際条約がたくさん批准された。

1977年にはジュネーブ条約の追加議定書が採択され、15歳以下の少年を徴兵することが禁止された。2002年の国際刑事裁判所ローマ規定により、戦闘で子どもを利用する行為は戦争犯罪と位置付けられた。実際、これら2つの国際的決まりごとは、政府軍だけでなく非正規組織にも適用される。

ソマリアは東アフリカの国だが、1991年以来、血で血を争う内戦状態が続いている。統計資料によると、内戦による死者は最大5万人であり、ソマリア政府はほとんど機能不全に陥った。アルカイダやジハード団を生む素地もできてしまった。2006年には、複数のジハード団で構成されるアル・シャバブが結成された。首都モガディシュを管轄するソマリア連邦政府の力は弱く、アル・シャバブの抵抗を受けている状態だ。

写真(アル・シャバブ)

アフリカ連合軍の介入にもかかわらず、アル・シャバブはソマリアの広大な地域を支配している。ソマリア政府軍とアフリカ連合軍は、アル・シャバブとの戦闘を継続している。この紛争はアフリカの中でも特に激しいものであり、地域の安定性を大きく損なっている。

写真(アントニオ・グテーレス氏)

国連の新しい事務総長になったアントニオ・グテーレス氏は報告書の中で、かなり多くの少年がソマリア軍とアル・シャバブで従軍していると書いている。この報告書は国連安全保障理事会に提出され、か弱い子どもたちを救うため直ぐに行動をとるべきだとグテーレス氏は主張している。

グテーレス氏によると、アル・シャバブは9歳の子どもも兵士として使っている。小さな子どもたちに武器の使い方を教え、前線に送っているのだ。また、武器弾薬の運搬、スパイ、雑用などの役割も子どもたちにさせているという。国連事務総長が明らかにした情報によると、アル・シャバブの半数以上が子どもである。また、ソマリア政府の管理がかろうじて及ぶプットランド地方で2016年3月に誘拐された者のうち、少なくとも6割が若者だという。

グテーレス氏の報告書によると、子どもたちは軍事組織に誘拐された後、長時間の尋問を受けたという。また、学校に行ける、仕事が得られるという文言で誘われたことも判明した。

ソマリアでは6年以上の間に、約6200人の子どもが勧誘されたという。詳細な数字を挙げると、2010年4月1日から2016年7月31日の間に6163人の子ども(少年5993人、少女230人)が軍事組織に取り込まれたことが判明している。勧誘の3割以上は2012年に行われた。

勧誘されたケースの7割はアル・シャバブによるものであり、人数は4213人。次に多いのがソマリア国軍によるもので、920人の子どもが勧誘された。数字は確認された分だけである。

(Ed Ou/Reportage by Getty Images for the New York Times)

ソマリアの子どもたちを戦争に駆り出すという重大な人権侵害行為が大規模に行われ、さらにその数は2015年から増加している。この実態を知り、グテーレス氏は深く心を痛めている。そのような人権侵害行為をやめ、国際法を遵守するように、グテーレス氏はソマリアの全組織に呼びかけている。か弱い子どもたちを戦争の前線から救い出すにはどうするのがベストか、国連安全保障理事会での議論がいまだに続いている。
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邦訳終わり

最後に:
 日本人は対岸の火事として見ていていいのでしょうか?子どもが兵士として駆り出されているのはソマリアだけではありません。今後、海外に派遣された自衛隊員たちが、外国の少年兵と対峙しない保証はあるでしょうか?彼らに銃口を向けて殺したり、または、逆に殺される可能性はないのでしょうか?

 社会の秩序が破壊されて犠牲になるのは、いつも、社会的に立場の弱い者たちです。故意に戦乱状態を作り出し、軍需産業などを儲けさせようとする勢力の罪深さを感じずにはいられません。

写真(悪いヤツラ) 出典:不明

以上

JUN: こんにちは。JUNといいます。 中年の男性です(既婚者)。 大学卒業後に民間企業(メーカー)に勤め、いつの間にかベテランと言われる年齢になりました。 皆さんに役立つ情報を提供したいと思い、ブログを始めました。 政治社会問題を扱うことが多いです。 れいわ新選組の山本太郎さんを支持。 難しい問題を分かり易く丁寧に解説するのが基本方針。 気軽に読んで頂けると嬉しいです。 その他プロフィール: ・大学は理系の学科を卒業 ・働きながら通信教育で心理学と人間行動学の修士号を取得 ・独学でTOEIC940点を達成(2020年1月) なお、ブログ記事の無断転載は法律で禁止されています。 どうぞよろしくお願いいたします。