労働基準法36条では、労働時間が週40時間、1日8時間を超える場合、労使間で協定を結ばなければならないと規定しています。大臣告示では、上限として月45時間とされていますが、特別条項を締結すれば、無制限に残業させることができるのです。
労働者に時間外労働をさせる際に結ぶ労使協定(三六(さぶろく)協定)について、赤旗紙が調査を行いました。経団連役員企業の協定書について、各地の労働局に情報開示請求し、その結果を一覧表にまとめたのが下図です。
各業界を代表する有名巨大企業ばかりですが、過労死を多発させかねない労働時間を超えているところがほとんどです。
赤旗の報道によると、経団連は今春闘にあたっての方針「経営労働政策特別委員会報告」で、「残業代ゼロ」法案の早期成立を主張し、時間外労働の上限規制でも「抜け穴」づくりを主張しています。要は、青天井で無制限に労働者を働かせ、賃金を払いたくないというのが、一流企業と世間的に言われている会社の本音なのです。堕落しきった悪徳経営者たちに正義や哲学はありません。今だけ、自分だけが得をすればいい、人のことなど先のことなど知ったことではないのです。
経団連で中核的役割を担っている企業がこの有様ですから、経団連全体がこのような体質を持っている訳です。日本では、一部の例外を除いて、中小零細企業は大企業の下請けになっていることが普通です。従って、大企業の不道徳な慣習は日本全体に行き渡っていると考えねばなりません。日本自体がブラック企業化しているのです。
日本人は幼少のころから、「上の人が言うことに素直に従いなさい」「疑問を持ったり自分の意見を言ってはなりません」「空気を読んで目立たないようにしなさい」「長いものに巻かれろ」と教え込まれています。従って、職場で理不尽な仕打ちがあってもジッと耐えるだけです。弱い者いじめで憂さを晴らす場合もあります。我慢して我慢して鬱病になり、自殺するケースも多いですね。電通の件は、氷山の一角に過ぎません。
奴隷的メンタリティを何とかしなければならないと目覚めた人も多いですが、全体としてはまだまだ意識が低いと思います。我慢していれば、「立派な」上の人が何とかしてくれると勘違いしているケースがほとんどでしょう。待っていても希望が実現することは無いのです。
強欲な新自由主義に毒された搾取側と従順な労働者たちという最悪な組み合わせは、karoshi(過労死)という不名誉な英語を生んでしまいました。「karoshi」と外国人に言えば、「日本で起こっているあの異常事態のことね」と意味が通じてしまうのです。とても不名誉なことです。
過労死大量発生装置ともいえる経団連に操られているのが、現在の自民党政権です。企業には選挙権はなく政治的主体ではありません。にもかかわらず政権をお金でコントロールするなど、生意気にもほどがあるというものです。企業が政治献金をしたり選挙運動を手伝うのは法律で禁止しなければなりませんが、現在は野放しになっています。従って、安倍政権に経団連の暴走を止めることを期待できません。「働き改革」などと耳障りが良いキャッチフレーズにダマされてはなりません。
日本は民主主義国家ですから、国民が選挙を通じて明確な意思表示をしない限り、より良い状況を実現することはできないのです。最後に、歴史的偉人の言葉を引用して、この記事を終わりにいたします。
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