結論を先に言いますと、国民の代表である政治家は靖国神社に参拝してはいけません。私人であっても参拝したら見識を疑われることを覚悟するべきです。宗教法人である靖国神社の基本的立場は、同じ敷地内の遊就館で示されています。要点を分かりやすく述べると、次のようになります。
「天皇の軍隊が行ったのは自衛のための戦争であり、侵略戦争では断じてない。日本軍の行動を邪魔する者は皆テロリストだ。我々は何も悪いことはしていないので謝罪する必要はない。」
歴史的事実を知らず問題意識もない日本人にとっては耳に心地よいかもしれません。しかし、実際に侵略され殺された側の諸外国はこんな施設の存在を絶対に許さないでしょう。内閣の最高責任者である総理大臣がそんな場所へ度々参拝している訳ですから、外交関係が壊れてしまうのは当然です。
もしもドイツの首相がナチス幹部の墓に花を添えようものなら、一瞬にして政治生命が絶たれることは確実です。しかし日本の総理大臣は、合祀されている1068人の戦争犯罪人(14人のA級戦犯を含む)に何度頭を下げても平気です。誠に不思議な現象です。戦犯が合祀されるため、天皇陛下は靖国神社に参拝していません。日本の政治家たちは、その程度の見識は持って頂きたい。ちなみに、靖国神社は海外メディアから戦争神社(war shrine)と呼ばれています。歴史を知らない人間が政治家として多数派を占めている状態は、まさに、国際的な恥さらしといえるでしょう。平和憲法を遵守する義務を放棄しないでもらいたい。
毎年、政治家による靖国神社参拝という光景が繰り返されています。国会での国民に対する説明はおざなりのくせに、国際的な恥さらし行為には熱心なのですから、大したものです。なぜ、右翼を自称する人たちは怒らないのでしょうか?
参拝を終えた政治家たちが記者から理由を尋ねられると、「戦争で犠牲になった人たちへ哀悼の意を示すため」などと言うことが多いですが、哀悼の意を示すための手段が不適切なことに気付くことができません。思考停止しているからです。また、「参拝するしないは信仰の自由の問題だ。他国から干渉されたくない。」などと開き直る人もいますが、加害者が被害者に対して「お前の気持ちなど知ったこっちゃない!」と言っているのと同じです。基本的なコミュニケーション能力・共感能力が欠如しているので、こういう人たちが外国語を学んでも意味がありません。ケンカになるだけです。日本という国の外交能力の弱さは、こういうところに根本原因があります。
日本遺族会の票が欲しくて靖国参拝を約束する総理大臣もいます。総理在任中に6回も靖国参拝をした小泉純一郎さんはその代表です。ただし、すべての遺族が総理の靖国参拝を喜んでいる訳ではありません。戦争を美化し、過去の行いに何の反省もない靖国神社の考え方に眉をひそめる人も多いのです。
小泉さんの子分だった安倍さんも過去の失敗への反省が全くありません。ジャパンタイムズの2014年7月28日付記事「A trip around the Yushukan, Japan’s font of discord」から一部を以下に引用します。
引用始め
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安倍総理は、この靖国教義に固執していることを隠そうともしない。彼は、従軍慰安婦が強制連行されたことに異議を申し立てる文書を出し、東京裁判で戦争犯罪者たちが有罪判決を受けたことに抗議した。また、日本がアジアで起こした戦争は侵略ではなく自衛であると主張している。安倍総理は一議員だった1997年、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を立ち上げ、また、「新しい歴史教科書をつくる会」を率いていた。つくる会は2005年に新しい教科書を出版したが、1930年代と40年代に日本がアジアを蹂躙した事実を覆い隠しているとして非難された。
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引用終わり
そんな安倍さんは、戦争ができる国造りへ向けてひたすら邁進しています。
将来、同盟国アメリカと共に日本が侵略戦争をすることになった場合、安倍さんは「自衛のための戦争だから憲法違反ではない」と言い訳することでしょう。戦前思想から何も進歩していない反動右翼に付ける薬はありません。有権者が退場宣告するしか方法は無いのです。
オマケ:
以上