戦後日本の統治権力にとって、象徴天皇制という制度は誠に都合が良いものでした。
天皇は政治権力を持たないものの、象徴という曖昧な表現で上意下達の雰囲気を醸し出し、戦時中の日本国民が持っていた奴隷根性をそのまま温存することに成功しました。
天皇皇后両陛下だけではありません。日本各地・各分野・各組織で小天皇的存在が生まれ、国民の思考停止や無責任性に拍車をかけました。自分の頭では考えず、上へ意見を言わず、他人の顔色をうかがう。上の決定に対して疑問を持たず、周囲の空気を読みながら自分の行動を決めるというのは、知的怠惰の最たるものでしょう。悪徳と言っても差し支えありません。
また、昭和天皇が戦争責任を免除されてしまったため、組織のトップが最終的な責任を逃れてもよいという暗黙の了解が日本社会に根付いてしまいました。これも悪徳と言って差し支えありません。最悪の結果を招いても、犠牲になるのは常に社会的弱者でした。
日本の大企業では、トップ経営者は天皇的な機能を果たしています。取り巻きの経営者や管理職は、カラスが黒色であっても「天皇」が「白色だよな。」と言えば「カラスは白いです」と言わねばなりません。「いいえ、カラスは黒いです。」と異論を述べたが最期、出入り禁止となり、会社を辞めざるを得なくなるのです。これが現実です。学校でも会社でも日本には議論というものは実質、ほとんど存在しないと言っていいでしょう。
このような上意下達組織は、取り返しのつかない失敗をすることが多く、人材も育たず、衰退の道を辿ることが多いのです。業績が悪化した場合、立場が弱い従業員たちがリストラ対象になるのが普通です。本来なら防げる事故を発生させてしまい、迷惑をこうむるのは末端の消費者たちです。
典型的なのが福島原発事故でしょう。何千万人という日本人が健康被害におびえる事態を発生させたにも関わらず、東京電力関係者も含めて誰も責任を取っていません。社員の高給も維持されたままです。その一方で、後始末の費用を消費者に転嫁するため電気料金が引き上げられました。原発事故の収束の目途が全く立たないのに、原発再稼働・輸出・新設には熱心です。原発は安全で問題ないという妄言を吐く「天皇」たちが居座り、機能不全組織が温存されているからです。この異常事態に対して、多くの日本人は疑問すら持っていまん。まさに、異常事態ですね。
参考リンク↓(お役立ち情報の杜(もり))
【巨大犯罪!】福島原発事故で誰も裁かれないのは異常だ:ジャパンタイムズの記事内容紹介
話を戻しますが、象徴天皇制という名の毒は日本全体に蔓延し、奴隷根性は何も改善されず、その結果、社会が疲弊・衰退しています。しかし、アメリカの手下として売国奴に成り下がった安倍政権には、このような問題意識は全くありません。むしろ、象徴天皇制を積極的に政治利用しようとしています。これは、親分であるアメリカ様の意思でもあります。
改憲を目論む安倍政権や反動勢力は、天皇を国家元首にかつぎあげることを公言し、天皇を中心とした暗黒の戦前国家復活を声高に叫んできました。しかし、現在の天皇・皇后両陛下は、安倍政権の改憲、右傾化の動きに相当な危機感を持っているらしく、記者会見でのコメントにもそのことが表れています。例えば・・・
・A級戦犯が負うべき責任の重大さに触れた。
・日本国憲法を「平和と民主主義を守るべき、大切なもの」と最大限に評価した。
・日本国憲法は、米国による押しつけ憲法ではないことを示唆した。
・・・・・
これらの発言を真摯に受け止めようとする姿勢は安倍政権には全く見られません。元々、天皇・皇后両陛下に対する尊敬の念など持っていないので、利用価値がないと判断すれば、無視したり批判の対象にしかなりません。取り巻きの御用学者は、両陛下が余計なことをしゃべらないように宮内庁に管理させろ、という論説を発表しました。安倍サポーターであるネトウヨは両陛下を「在日韓国人」と罵っています。御用マスコミは安倍官邸のご機嫌をとるために、護憲・平和・民主主義に関する両陛下の発言を報道しません。
参考リンク↓(リテラ)
「安倍政治に危機感、天皇は誕生日に何を語るのか? 官邸が強める宮内庁への圧力、安倍ブレーンを使い天皇批判も」
繰り返しますが、安倍政権にとって天皇などは政権維持のための一手段に過ぎません。利用できないと判れば別の手段に切り替えるだけです。天皇のような権威をたくさん利用して上意下達の雰囲気を作り出し社会を支配するのは、反動右翼の常套手段です。
失敗を直視し、遠慮なく議論し、問題点をあぶりだし、問題解決や再発防止に役立てるならば、進歩的態度だと評価できます。その逆で、反動的な勢力に身をゆだね、盲目的奴隷根性を持ち続けるならば身の破滅をもたらすでしょう。その結果何が起こっても、権力者は痛くもかゆくもありません。代償を払わされるのは常に立場の弱い庶民なのです。
日本人は面倒事から逃げ回るためならばどんな努力も惜しまないと、国際的に評価されているようですが、もういい加減、そのような汚名は返上すべき時期に来ていると思います。
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以上