福島原発事故の後、政府の指示と関係なく自主的に避難している人がいる一方で、避難せずに元の住所に留まっている人もいます。どちらを選択しても苦悩からは逃れられないようです。2015年9月29日付のジャパンタイムズ記事(以下リンク先)に具体例が紹介されていました。
かいつまんで、列挙すると・・・
1)避難している場合
・仕事の関係で父親だけが福島県内に住むパターンだと別居となり、子供が父親に会えない。
・自分の生まれ故郷や親族を捨てたと責められる。
・神経質な奴だと言われる。
・いつ帰ってくるんだと、親族から繰り返し問われる。
・確かな情報を持っていないので、避難という判断の正しさに確信が持てない。
・国からの住宅援助がないと、経済的に困窮する。
2)避難していない場合
・放射能による健康被害の恐怖と闘わねばならない。
・特に、子供の将来が不安だ。
・放射能の危険性について、口に出せる雰囲気でない。
・政府の説明も含めて何を信じていいか判らない。
人間関係の破壊、ストレス、恐怖、不安・・・ 避難してもしなくても先の見えない状況が続いています。被災者に対して、いつまでも苦悩を背負わせてはなりません。
国として、本来なすべきことは決まっています。下記A)~E)に箇条書きします。
A)放射能レベルの正確な測定を行い、結果を全て公表する(空間線量+土壌汚染)。
B)外部被ばくと内部被ばくの危険について、最新の知見を提供する。
参考リンク:
【福島原発事故による内部被ばく】東京は放射性物質まみれであり、安心して暮らせる場所ではない。
C)避難については、最低限、チェルノブイリ基準を適用する。
D)避難者の住居、仕事、収入について不自由がないように援助する。
E)医療費については、一生涯無料とし、診断結果は本人に丁寧に説明する。
直接の過失が無いのに、ある日突然、自分の住んでいる地域が放射性物質で汚染されてしまうという理不尽さを考えれば、上記①〜⑤は最低限必要なことです。贅沢でもワガママでもありません。しかし、安倍政権は被害者の苦悩に無関心であり、逆に、追い打ちをかけている有様です。具体的には、下記①~⑪です。
①放射線管理区域に相当する高線量地域に何百万人も居住している状態を放置している。
②避難者への援助を打ち切り、高線量地域へ帰還せざるを得ないようにする。
➂放射能汚染レベルの測定が不十分で、しかも、わざと数値を低く見せている。
④健康調査の対象範囲を狭くし、被曝による健康被害を小さく見せている。
⑤特定の医療機関だけに健康調査・診断を許可し、その結果を住民たちに教えない。
⑥安全だと偽り、東京オリンピックを誘致した。
⑦福島県の農産物を福島県内の学校給食に用いて、「安全性」をアピールしている。
⑧汚染地域への企業進出や学校新設を許可している。
⑨東京電力など原子力村の人間は罰せられず、賠償費用を国民負担にしている。
参考リンク:
【巨大犯罪!】福島原発事故で誰も裁かれないのは異常だ:ジャパンタイムズの記事内容紹介
⑩安全性の確認ができないばかりか、放射性廃棄物の処理・管理方法も確立できていないのに、全国の原発を再稼働しようとしている。
⑪原発の新設や輸出を目論んでいる。
⑫その他いろいろ・・・
まるで、福島原発事故などは存在しなかったかのような振る舞いをどうして出来るのでしょうか?原発マフィアたちの利権を温存させたい、というのが最大の理由です。
経団連は原発関連企業を多数抱えており、利益を上げることが最優先です。自民党にとって経団連は選挙での大応援団であり、献金もしてくれます。官僚にとって原発関連は大切な天下り先です。マスコミにとって財界は広告主であり、足を引っ張るような報道はできません。原子力関係の御用学者は企業から資金を提供してもらっており、平気で嘘をつきます。
原発事故が何回起こっても、彼らは必死になって現状維持に励み続けるでしょう。自浄作用や良心を期待することはできません。視野が狭く、基本的な人間性を喪失しているのです。
彼らが流す心地よいウソにダマされていたら身の破滅です。原発を廃止し、国民を守るという方針を持った政治家を選挙で選ばねばなりません。
以上