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【北海道不明男児保護】海外メディアはどう報じたか?イギリス:ガーディアン記事の紹介

 北海道での不明男児捜索および発見については、日本国内で大きなニュースになりました。この件を海外メディアはどのように報じたのでしょうか?一例として、イギリス:ガーディアンの記事を紹介いたします。

2016年6月3日付け記事のリンクを以下に示します。かなり詳しく報じています。

「The extraordinary survival of the boy left in a Japanese forest」(日本で森に置き去りにされた男児が奇跡的に救出される)

 以下に要点を記します。

始め
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家族旅行中に行ったいたずらの罰として、両親は男児を森の中に置き去りにした。行方不明になった男児は、約一週間に渡る捜索の末、自衛隊員に発見された。男児にケガはなく、落ち着いた様子であった。かすり傷を負っている位だったが、念のため病院に運ばれた。

恐らく男児は、親に見捨てられたと感じたのであろう。水も食料も無い中で、暗い山中を何時間も歩き、自衛隊の簡易宿泊施設にたどり着いた。この施設が男児の命を救ったと思われる。

写真(男児が発見された自衛隊の簡易宿泊施設) 出典:STR/AFP/Getty Images

自衛隊簡易宿泊施設の扉が偶然空いていたから、男児は中に入ることができたのだ。夜間に気温が7℃まで下がる環境で、外の水道蛇口から出る水が唯一の命綱だった。

金曜日の朝、3人の自衛隊員が雨宿りのためにその施設を訪れてドアを開け、男児を発見した。男児は薄着で、夜は体を温めるためにマットレスに体を挟んでいたという。

数日間も180人態勢で捜索したが、全く手掛かりが掴めず、多くの人が最悪の事態を想像し始めていた。

数日間その施設に泊まり、約1週間、何も食べていないと男児は説明した。自衛隊員はおにぎりを2個与え、男児を病院に運ぶためにヘリコプターを呼んだ。

写真(男児の生還を報じる新聞) 出典:Franck Robichon/EPA

男児が何日その施設にいたのかは明らかになっていない。月曜日にその自衛隊演習場を探したときは男児の姿はなかった、という報道もあった。しかし朝日新聞はその後、演習場の入り口は施錠されているので捜索はしなかった、と報じている。

写真(男児の発見場所とその周辺) 出典:Guardian graphic | Image via Google Earth

捜索に当たった自衛隊員たち、そして、男児が通う小学校の生徒たちは、無事保護のニュースを聞いて大喜びした。

男児が入院している病院の入り口で父親が会見を行った。森の中で男児を車から降ろして500メートルほど走り、再び引き返したときには、すでに子供の姿はなかったという。子供のためを思っての行為であったが、やりすぎであり、後悔していると、父親は述べた。

男児が無事発見された後も、両親に対するネット上での批判は収まらず、しつけではなく虐待だと言う者もいる。両親ははじめ、批判を避けるために「子供を見失った」と言っていたが、それが人々の怒りと不信感に火を注いだ。

警察が両親を育児放棄で起訴するかは分からない。

東京都の家庭支援センター長の弁:
「児童虐待は殴る蹴るだけでなく、育児放棄も含まれます。男児が無事保護されたのは良かったですが、このケースは深刻な問題を内包している可能性があります。」

教育評論家の尾木直樹氏も、両親の行為は育児放棄であり虐待だと非難していた。「子供を自分の持ち物のように扱う親が日本ではとても多い。」

教育者:立石美津子氏の弁:
「両親が行った罰は信じ難いことだ。子供の教育方法が分かっていない。彼らは正しいことと間違っていることを説明しようとしなかった。子供は犬や猫ではない。子供は一人の人間として扱わねばならない。」

男児の両親に対して共感を寄せる人もいる。

書評家:豊崎由美氏の弁
「子供の扱いは難しい。子供を森に置き去りにした行為はとても危険だが、父親の気持ちは良くわかる。彼を責めるのはやめて欲しい。」

ソーシャルメディアでは両親を非難する声がほとんどだが、男児の柔軟性や臨機応変さに賛辞を送る人もいる。

男児を診察した医師のコメント:
「七日間も不明だったのに驚くほど落ち着いている。取り乱すところがない。」

アルピニスト:野口健氏のコメント
「たった一人で生き延びたなんて、奇跡だよ。」
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終わり

 日本では年間、何千人という子供たちが行方不明になっています。全世界では、多すぎて推定も難しいくらいです。イギリスから見れば地球の裏側にある日本での一男児不明事件が、ナゼこれほどまでに大きく記事として取り上げられたのでしょうか?理由を考えてみました。

・何百人という人数で一週間近く捜索を続け、日本のメディアが大きく取り上げたから。
・絶望視する人が多かったのに、無事、発見・保護されたから。
・食事も摂れなかったのに、元気で落ち着いた様子だったから。
・若干7歳でありながら、柔軟性・忍耐力・臨機応変さ・知恵を駆使して生き抜いたから。
・しつけのためとはいえ、熊も出るような山奥に自分の子供を置き去りにするという両親の行動が特異だったから。

 多分、上記のような要因が合わさった結果、海外メディアからの注目も集まったのだと思います。

 皆さんはどう思いますか?

以上

JUN: こんにちは。JUNといいます。 中年の男性です(既婚者)。 大学卒業後に民間企業(メーカー)に勤め、いつの間にかベテランと言われる年齢になりました。 皆さんに役立つ情報を提供したいと思い、ブログを始めました。 政治社会問題を扱うことが多いです。 れいわ新選組の山本太郎さんを支持。 難しい問題を分かり易く丁寧に解説するのが基本方針。 気軽に読んで頂けると嬉しいです。 その他プロフィール: ・大学は理系の学科を卒業 ・働きながら通信教育で心理学と人間行動学の修士号を取得 ・独学でTOEIC940点を達成(2020年1月) なお、ブログ記事の無断転載は法律で禁止されています。 どうぞよろしくお願いいたします。