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批判の矛先は弱者ではなく、権力者に向けなければならない理由。

日本は弱者にとって地獄:

社会的弱者にとって日本ほど暮らしにくい国はない、という話を聞いたことがあるが、これは迷信ではなく事実のようだ。

社会の暗部を積極的に報道しようとしない御用マスコミですら報道せざるを得ないほど、凄惨な事件が相次いでいる。

横浜市の病院で、点滴に異物が混入されて入院患者が死亡する事件が起きた。

終末期医療を受ける老人が多いフロアで、抵抗できない重症患者ばかりが狙われた可能性がある。

さらに、2016年7~8月の間に死亡した約50人についても、病死ではなく中毒死の可能性があるとのことだ。

2016年7月、神奈川県の相模原市にある施設で、障がい者19名が刃物で無差別に殺され、26名が重軽傷を負った。

日本の政治指導者は具体的な言及を避けているが、国際的にも注目されている。

単独犯としては、戦後最悪の事件である。

容疑者は、「重度の障がい者は生きていても仕方がない」と発言する一方で、自民党の右翼政治家に対しては媚びを売る態度を見せていたという。

石原慎太郎を彷彿とさせる発言・態度には、ネット上でも多くの共感が寄せられている。

写真(石原慎太郎の暴言を報じる記事)

また、2014年には、神奈川県川崎市の老人ホームで、高齢者3人がベランダから投げ落とされる事件が発生している。

元職員が殺人の疑いで逮捕された。

高齢者が被害者となる事件は過去20年間で2倍以上に増加している。

老人だけではない。

親から暴行・虐待を受けて子供が死亡する事件も増加傾向だ。

児童相談所が扱う虐待件数は25年連続で増えている。

しかも、事件として報じられているのは氷山の一角に過ぎない。

弱者いじめが起きやすい社会的背景:

以上に述べたような社会的状況を生み出す背景は何だろうか?

関連する調査統計データを一つ紹介する。

Pew Research Centerが実施した国際的な調査結果を下記リンクに示す。

「47-Nation Pew Global Attitudes Survey」

上記リンク先の95ページを見て頂きたい。

「自力で生活できない人を政府は救うべきか?」という質問に対して、「救うべきだと思わない」と答えた人の割合が各国別に一覧表で示されている。

ドイツ国民は7%が賛成している。

強欲資本主義に毒されて、人間がまともに暮らせない社会になってしまったアメリカは28%と高い比率だ。

その上を行く国など存在するはずがないと思っていたが、何と日本では、38%の国民が「自力で生活できない人を政府は救うべきではない」と考えていることが判明した。

もちろんこれは、調査対象国の中で最悪の数字だ。

日本は、あのアメリカよりも暮らしにくい国なのだろうか?

この調査結果は2007年のものである。

2023年の現在に至るまで、戦前回帰願望が強い自民党政権によって格差拡大政策が続けられており、貧困層は拡大しているが、選挙で自民党が敗北しそうな雰囲気はない。

従って、「自力で生活できない人を政府は救うべきではない」と考える国民の割合は、依然として高いのではないか。

「自業自得の人工透析患者は殺せ」などと書いてブログ記事が炎上したフリーアナウンサーの長谷川豊氏は、日本維新の会に所属する(下写真参照)。

日本維新の会や長谷川豊氏を支持する者は、間違いなく、左の殺人鬼と同類である。

日本では、生活保護を受け取るべき人のうち実際に受け取っている人の割合(捕捉率)が極めて低い。

捕捉率を上げるどころか、生活保護受給者のバッシングキャンペーンに熱心な政治家が多い。

申請窓口で追い返すための水際作戦も全国で盛んに行われている。

世も末である。

生活保護の利用率・捕捉率の国際比較 出典:たんぽぽ

写真(生活保護費削減に熱心な自民党:片山さつき議員)

「働けない者、お金を稼げない者は役立たずなのだから、死んでも良い。」と短絡的に考える人間が増えている。

「自分や自分の家族が、今、問題なく暮らしていればそれでよい。今後のことや、他人のことなど知ったことではない」と考える視野狭窄人間が多いのだ。

弱肉強食の社会は、野蛮で原始的だ。

実際、日本社会の劣化は凄まじい。

「弱い者をいたわる、助ける。」という考えは、人間が生まれつき持っている訳ではない。

哲学を要求される社会的態度は、本能の外側を薄く覆っているだけであり、常に努力し続けなければ脆くも崩れ去ってしまうものだ。

忙しいと言い訳をせず、自分を見つめ直す必要がある。

弱者いじめをしてはいけない理由:

今は健常者であっても、生きていく過程で怪我や事故に遭い、体が不自由になることもある。

運よく怪我や事故に遭わなくても、成人してから統合失調症になる場合もある。

今後、自民党政権が導入する可能性がある経済的徴兵制により戦地に派遣され、障がい者として帰還する可能性もある。

福島原発事故による放射性物質拡散が様々な疾病を引き起こし、それが顕在化するのはこれからだ。

運よく健康体で過ごせたとしても、年を取れば誰でも体が不自由になる。

死ぬ前には誰でも他人の助けが必要となるのだ。

「自力で生活できない人を政府は救うべきではない」と考えている人は、運よく健康体でこれまで生きて来られたのかもしれない。

しかし、自分もいずれは他人の助けが必要になるということに気付くべきだ。

視野が狭く、他者への思いやりや想像力に欠ける人間は未熟なのである。

年齢や社会的な肩書を見ても、人間の成熟度を判断することはできない。

総理大臣や大統領だからといって、無批判に尊敬の念を抱いてはならない。

実際、弱者いじめを生きがいにしているような悪魔も多い。

どんな社会でもその本質を知りたければ、社会的に立場の弱い人に話をきくのが一番確実だ。

障がい者・老人・子どもなどが安心して暮らせる社会は誰にとっても暮らしやすい。

弱者を抹殺しようとする風潮が強い社会は、「強者」も安心して暮らせず、気の休まる暇がない。

自分のことを「強者」「勝ち組」などと勘違いしている人たちは弱者に大して冷淡になるかもしれないが、そのような態度は自分の首を絞めるだけだ。

弱者いじめではなく、権力者を批判せよ

自分は弱者という自覚がある人は、自分よりもさらに弱い人をイジメてはならない。

なぜなら、弱者同士のいがみ合いや分断は、社会問題を何も解決しないからだ。

逆に、権力者は「シメシメ・・」と薄笑いを浮かべるだろう。

弱者は結束して、権力者を批判し圧力をかけなければならない。

政治家が最も恐れているのは、国民の批判が自分に向くことである。

批判の矛先は弱者ではなく、権力者に向けなければならない。

以上

JUN: こんにちは。JUNといいます。 中年の男性です(既婚者)。 大学卒業後に民間企業(メーカー)に勤め、いつの間にかベテランと言われる年齢になりました。 皆さんに役立つ情報を提供したいと思い、ブログを始めました。 政治社会問題を扱うことが多いです。 れいわ新選組の山本太郎さんを支持。 難しい問題を分かり易く丁寧に解説するのが基本方針。 気軽に読んで頂けると嬉しいです。 その他プロフィール: ・大学は理系の学科を卒業 ・働きながら通信教育で心理学と人間行動学の修士号を取得 ・独学でTOEIC940点を達成(2020年1月) なお、ブログ記事の無断転載は法律で禁止されています。 どうぞよろしくお願いいたします。