2016年2月17日、自民党の丸山和也参議院議員が憲法審査会で次のような発言をしました。
「今、アメリカは黒人が大統領になっているんですよ。これは奴隷ですよ。はっきり言って。アメリカの建国、あるいは当初の時代に、奴隷がアメリカの大統領になるようなことは考えもしない。これだけダイナミックな変革をしていく国なんですよね。」
アメリカのオバマ大統領は丸山議員よりも肌が黒いことは事実です。しかし、オバマ氏は生まれてから今日まで奴隷だったことはありません。アメリカの奴隷制度は、1865年にアメリカ合衆国憲法修正第13条の成立で終わっていますから、それ以降、法的に奴隷は存在しないのです。
自民党の丸山議員は元法務官僚で弁護士もやっていた人ですが、基本的な事実を知らないようです。また、肌の色が黒い人を奴隷、すなわち、自分より下等な人間だと見下しています。このような態度を人種差別といいます。無意識下のため、本人は自覚が無いでしょう。
黒人に対する人種差別意識丸出しの丸山議員は、一方で、アメリカという国に対して奴隷根性丸出しです。同じ憲法審査会で、次のような発言もしています。
「日本が米国の51番目の州になれば、日本州出身者が大統領になる可能性が出てくる。世界の中心で行動できる日本になりうる」と述べ、日本が米国の州になることも1つの選択肢だという考えを示したのです。
日本という独立国をやめ、アメリカの一部になる?右翼や愛国者を自称する人が聞いたら、烈火のごとく怒り狂うのではないでしょうか?確かに、実質的に現在の日本は、アメリカの植民地と言ってよい状態です。沖縄基地問題をはじめとして、国家の主権が侵害されていることは事実です。このような現状を直視したうえで、問題解決のための提案をするならば前向きな態度といえましょう。しかし、現状を追認し、いっそのこと主権を放棄してしまえ、という発言は常軌を免しています。自民党の丸山議員は、本当に日本の国会議員なのでしょうか?
黒人差別と国家主権の返上・・・ 他の出席者からも「暴言だ」と批判の声が上がり、丸山議員は緊急記者会見を開いたうえで、「誤解を与える発言をして申し訳ない」と謝罪し、発言を撤回しました。しかし、謝罪・撤回すれば済む問題ではありません。覆水盆に返らず。丸山議員の発言は自民党という組織の本質・本音を象徴しています。また、多くの日本人の意識レベルもこんなものではないでしょうか?
アメリカという強い存在に対する奴隷根性と、その裏返しとしての黒人差別意識は、残念ながら日本人の中に存在します。
2015年3月にミス・ユニバース世界大会の日本代表に選ばれた宮本エリアナさんをはじめ、いわゆるハーフと呼ばれている人達が日本社会でどのような扱いを受けているのか、下記のYouTubeビデオで紹介されています。日本の御用マスコミよりも海外メディアの方が冷静な視点を持っている場合があります。参考にしてください。
【BBC】「日本人」とは?ミス・ユニバース日本代表の問題提起(3分15秒)
さらに、肌の色が黒いがために、生まれてからずっと差別に苦しんできた宮本エリアナさんの訴えを以下のリンクで紹介します。ハフィントンポストの日本版です。
宮本エリアナさん「人種への偏見、日本と世界からなくしたい」【ミス・ユニバース日本代表】
上記リンクの記事は、差別される側の視点を提供してくれています。
「肌の色が黒いくせに、ミス・ユニバース日本代表になるなんて生意気だ!」
「肌の色が黒い奴隷のくせに、アメリカの大統領になるなんて信じられない!」
このような歪んだ意識を知らないうちに持っていないかどうか、日本人一人一人が自分を見つめ直してみるべきだと思います。
以上