ある社会がうまく機能しているかは、どのように判断すべきだと思いますか?
アベノミクスと称した経済政策で年金資金を大量に投入し株高を演出していますが、そんな数字は判断基準になり得ません。
社会の中で困窮している人達がどのように扱われているかで、その社会の健全さや成熟度が判断できるのです。現代の日本社会の中で困窮している人達を取材した記事のリンクを以下に示します。現代ビジネスの2015年9月20日付記事です。
【ルポ】子どもたちの貧困 〜夢なんて持てない。「社会からの偏見」と「進学格差」子どもを絶望させる社会に未来はない!
上記記事から主要部のみ引用いたします。
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「日本には虐待や育児放棄、親の貧困や精神的な病などが理由で、親と暮らせない子どもたちが約47,000人いる。そのうち約30,000人の子どもたちが児童養護施設で生活する。」
「18歳になると子どもたちは施設を退所しなければならない。状況が改善し家庭に戻るケースもあれば、他の福祉施設に措置変更がなされることもあるが、そのほとんどが18歳で社会に出て自活を余儀なくされる。」
「施設にいることがコンプレックスでずっと隠していました。自分が気にしすぎているだけかもしれませんが、みんなが離れていくんじゃないか、怖いんです。
“親に捨てられたかわいそうな子”という目で見られるだけで深く傷つきます。その偏見は社会から消えることはないと思います。
施設にいる子たちはなにも悪くないのに、自分たちはみんなと違う、普通じゃないと思わされてしまうんです」
「団体行動ではなく、一人で過ごすことができる、友達を呼ぶことができる、自分の家を持てるように自立したい」
「児童養護施設退所者の大学進学率は約20%で全国平均75%を大幅に下回る。一方、大学進学後の中退率は30%と、その数は全国平均の約3倍。大学に進学しにくく中退しやすい、その一番の要因は「お金」だ。」
「児童養護施設退所者は、大学の学費に加え住居費も生活費もすべて自分で賄っていかなければならない。ある学生は、月120時間をアルバイトに費やしているがそれでも生活は苦しいという。」
「親を頼ることもできず、高校卒業と同時に施設に帰ることもできない18歳の若者にのしかかるその負担は、経済的にも精神的にも大きい。結果、児童養護施設出身者のうち、進学し卒業までするのは全体の14%となる。」
「児童養護施設の子たちは、自分が置かれた環境から、大学に進学するのは贅沢だ、夢なんて持ってはいけない、と思い込んでいる傾向にあります。
やりたいことを考える余裕がなかったり、得意なことがあったりしても、希望よりも給料や条件のいい安定を求めてしまいます。もちろんそれも選択肢の一つですが、初めからあきらめる必要はないし、無言の圧力のようなものをとっぱらいたいんです。施設出身者だって夢を持ってもいい。それが叶わなかったとしても、やり直しができる、ということを知ってほしいんです」
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引用終り
何の罪もないのに、人生の初期に大変な重荷を背負わされている子供たちが大勢いるのです。こういう子たちでも18歳になったら、施設から出て安心して暮らせる社会にしなければなりません。
しかし児童保護施設の子たちから見れば「大学進学なんて贅沢、夢を持てない、やりたいことを考える余裕がない、初めからあきらめざるを得ない」というのが本音なのです。
人生の初期に重荷を背負った子供たちが頑張ろうとしている時に、大人が足を引っ張ってはいけません。状況改善のためには、大学の学費を無料にするという手が考えられます。社会的格差を固定化しておきたい支配層・権力層から見れば、今のままが良いのかもしれませんが、日本の教育費の高さは異常です。学生相手に奨学金でローン商売をする人間たちの神経を疑います。
安倍政権は有効な施策を打っているのでしょうか?2015年9月19日に成立した「平和安全法制」は、児童保護施設の子どもたちが安心して暮らせる、将来に希望を持てる社会を実現するために役立つでしょうか?もちろん、役立ちません。
「平和安全法制」とは名ばかりで、実際には戦争法であり、経済的に困窮した学生たちを待ち受けているのは経済的徴兵制です。財界や防衛省は積極的に推進しています。
【経済的徴兵制】権力側に詐取されないように積極的な情報収集に努めよう!
経済的徴兵制とは?:
「貧困地域では経済的理由で高等教育が受けられず、そのために専門知識や学歴が必須とされるような賃金の高い仕事に就けない結果となり、貧困が再生産されている。このような状況から抜け出すため、真に自発的な意思ではなく兵役に志願せざるを得ない状況があることを知りながら、政府がこの経済格差を是正しないばかりか、むしろこの状況を放置し利用することで新兵をリクルートしている実態がある。経済的弱者が兵役を強いられるこの状況を事実上の徴兵制とみなし、非難する意味合いを込めて「経済的徴兵制」と呼ぶ。」
(ウィキペディア)
現実にアメリカでは、経済的徴兵制の犠牲者になった学生が多数います。彼らは精神的・肉体的に取り返しのつかない傷を負い、一生を棒に振っています。詳細は下記文献を参考にしてください。
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話を戻します。
児童保護施設の子どもたちが安心して暮らせない社会を放置するばかりか、さらに追い打ちをかけるなど、悪魔の所業です。明らかに憲法違反です。経団連などの財界や安倍政権に対して少しでも良心を期待している人がいたら、目を覚ますことをお勧めします。海外へのバラマキやオリンピック・原発・リニア新幹線などには惜しげもなく税金を投入するのに、将来を担う立場の弱い子どもへは冷たいのが現在の自民党政権です。
最後に:
政治家という職業に就いている人は、社会的弱者の声に耳を傾けるべきです。自分たちが作ろうとしている法律が、困窮している人にどのような影響を与えるか考えなければなりません。自分が体験していなくても、他人の話や記録から想像する・共感するという知性を持っていただきたいものです。
以上