福島原発事故が原因で避難した住民137名が起こした訴訟について、2017年3月17日、前橋地裁は国と東京電力の責任を認め、3855万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。一人当たり約28万円です。国の審査会が示した「中間指針」に基づいて東電から一定額の慰謝料を受け取っているとはいえ、あまりに少ない金額です。無駄な除染に何兆円も掛けている実態を踏まえると、腑に落ちない点が多すぎます。
2011年3月11日に福島第一原発は3基でメルトダウンを起こしましたが、責任は100%国と東電にあります。社会的に不要であるだけでなく、極めて危険で人間の制御が効かない代物を発電手段として選び、国策として何十年も推進してきたのです。予見された最低限の危険に対して対策も行わず、「原発は安全」という神話を何兆円という広告費を使って広めてきた罪は万死に値します。原発事故後メルトダウンした事実を2か月以上隠ぺいし、放射性物質拡散予測データを住民に教えず、その結果、余計な被ばくをさせました。
国は避難区域を縮小することばかり考えていますが、放射性物質に汚染された地域は少なくとも300年は居住することができません。本来、日本政府が行うべき施策は賠償も含めて下記の内容でなければなりません。
①放射能レベルの正確な測定を日本全国で行い、結果を全て公表する。
②外部被ばくだけでなく内部被ばくの危険についても、最新の知見を国民へ提供する。
【福島原発事故の影響】放射性物質の中で生活するのはナゼ危険なのか?
➂避難・移住地域選定については、最低限、チェルノブイリ基準を適用する。
④避難・移住先で不自由がないように、住居、仕事、収入については十二分に援助する。
⑤避難対象者の医療費については生涯無料とし、診断結果は本人へ丁寧に説明する。
⑥全国の原発を即廃止し、福島原発も含めて廃炉作業は安全第一で進める。
安倍政権をはじめとする原発マフィアがやっていることは全て、これらの原則に反しています。国民を危険地域に放置して、壮大な人体実験でもやりたいのでしょうか?実は、そうなのかもしれません。人間は集団になると、トコトン無責任になってしまうことが多いのです。
繰り返しになりますが、今回の原発事故集団訴訟は、国と東電の責任を認めた初めてのケースであり、意義は大きいと思います。原発マフィアという巨大組織に反旗を翻し要求を行い、公的に責任を認めさせた実績には敬意を表します。同様の集団訴訟は全国20地裁・支部で約1万2000人が起こしており、引き続き注目していかなければなりません。
しかし、訴訟を起こすべきは1万2000人だけではないはずです。本来は数百万人単位で居住場所を移さねばならない事態です。賠償も含めて一人当たりにかけるべき金額はトータルで億単位になってもおかしくありません。今後、愚かな失敗を再び繰り返すことがないように、もっともっと多くの人が声を上げて欲しいと思います。
以上