最初に下図を見て頂きたい。
世界的な傾向として、女性警官の割合が低いほど強姦認知率の割合が少なくなることが見て取れる。インドや日本は世界でも最悪の部類に属する。女性の社会的地位が低い国ほど、女性の声は届きにくく、結果として人権侵害が多くなるのだ。
次の図も参考になる。
女性が輝く社会を目指す、などと総理大臣がおっしゃる国で女性は抑圧され、二等市民扱いされているのだ。
このような寒々しい実態を象徴する事件について、2017年10月24日、ジャーナリストの伊藤詩織さんが記者会見を開いた。
会見の一部を以下に書き起こしする。
書き起こし始め
***************************
私は2年前にレイプされました。2015年、ニューヨークでジャーナリズムと写真の勉強をしたあとに東京に戻りましたが、そのときはロイター通信でインターンとして働き始めました。私は大きな望みを持って将来の夢であったジャーナリストになると決意していました。同じ2015年の4月のことだったんですけれども、当時ワシントン支局の、TBSのワシントン支局長だった山口と出会いました。そのときメールを通して仕事のオファーをいただいたんですけれども東京に戻った際に就労ビザの話をするために彼に会うように誘われました。山口氏と食事をしながらお酒も何杯か飲んだあとに突然、意識を失いました。激しい痛みで目が覚め、そのときに山口氏が私の上にいて、そして私に挿入していたということが分かりました。それが今日までも私が直面している悪夢の始まりでした。
そのとき病院、レイプ救援センター、そして警察に助けを求めようとしたんですけれども、どこも私を助けてくれませんでした。そのときに日本の司法、そして日本の社会のシステムは性犯罪の被害者のためにはちゃんと機能していないということが分かりました。そのとき警察は、この事件について報告をすることも許してくれませんでした。こういった事件はよく起こることですし、捜査することも非常に難しい。性犯罪を捜査することが難しいというふうに言われました。
そのとき私はたくさんの疑問を持っていました。警察に対して、なぜ私の被害届を出してくれないのかということも聞きました。そして捜査するように私からお願いをしました。最終的にはホテルの監視カメラ、DNAの検査結果、そしてタクシーの運転手やホテルの従業員の証言などを捜査して、それでちゃんと調べてくれることになりました。その捜査員の努力により捜査も終わり、裁判所から逮捕状も出されました。しかし、成田空港で捜査員が山口氏を逮捕しようとしたときに、上のほうからの命令で逮捕が止められました。当時の刑事部長だった中村格氏が捜査員に逮捕をやめるように命令をしたということでした。説明もないままで、そういった命令が許される警察組織の在り方に疑問を持っています。私は中村氏にインタビューをするように努力をしてきましたが質問はいまだに答えられていません。
世界中でレイプが報告されないことはよくあります。日本でも5%のレイプ事件も報告されないほどスティグマとタブーというのはとても強いものです。私はこのタブー破りたくて、顔も名前も出して告白することを決めました。日本で生活する性犯罪の被害者として社会もメディアもよく私たちに、私たちに隠したほうがいいというふうに言われます。これは私たちのためであるということも言われます。実際、捜査員にも報告しないように私は勧められました。もし報告をするとしたら、ジャーナリストとしての仕事も失い、そしてこの業界で仕事ができなくなるというふうにも言われました。自分の人生もこれで終わりだよということまでも言われました。この主な理由というのは、私が犯罪者として訴えている人は知名度が高く、業界でも尊敬されている人だからです。
公にしてからは多くの迫害もバッシングも受けました。前のように生活することもできなくなってしまいました。しかし隠れなければいけないのは私たち被害者ではありません。問題は私たちを受け入れて、そして信用する準備ができていないこの社会にあります。話をすることでいい変化をもたらすことができます。そして性暴力を無視することはもうできません。
***************************
書き起こし終わり
普通ならば泣き寝入りするところだが、実名で記者会見を行った勇気に敬意を表したい。日本という社会が、性犯罪に対して冷淡で、捜査・司法システムが機能不全を起こしており、救済システムも不十分だということも述べていた。
詳細を知りたければ、下記文献を参照されるのが良いだろう。
「ブラックボックス」書評:ジャーナリスト伊藤詩織氏の勇気と説得力
新品価格 |
ところで、伊藤詩織さんの告発をマスコミのほとんどが報道しないのはナゼだろうか?一部の週刊誌を除いて、ほとんど無視しているに等しい。理由は、レイプ魔と名指しされている山口という男が、安倍総理のお気に入り番記者だからだ。
伊藤詩織さんの勇気ある告発に追い詰められた山口氏は、官邸に泣きつき、官邸から警察・検察へ圧力が加わった。逮捕中止や不起訴は、アベ友であればこそ可能だったのだ。捜査・司法システムの私物化といっていい。この事案はとても構図が分かり易いからこそ、マスコミが本格的に報道し出せば、内閣支持率は急落し、安倍政権はすぐに転覆してしまうだろう。そのインパクトは、森友・加計問題の比ではないと思われる。だからこそ、御用マスコミたちは、安倍官邸の意向を最大限忖度し、詩織さんの主張を黙殺するという判断をしたのだ。権力者の顔色を窺い、弱者の言うことに耳を塞ぐなど、ジャーナリスト失格である。
今回、伊藤詩織さんが記者会見を開いたのは、外国特派員協会の場である。外国でこの事件が報道され、その海外メディア記事が日本へ紹介されるというパターンが繰り返されている。
マスコミはアベの提灯持ちばかりに精を出すのではなく、少しは報道機関の名にふさわしい権力の監視をして欲しいものだ。これは外国ではなく、日本という社会で起こった事件なのだから。
関連記事リンク:
詩織さんの準強姦罪事件追及で法務委員会が大荒れ!「総理の友達だから逮捕されないのか!?」
以上