【厚生労働省のデータ】非正規社員の生涯賃金が正社員よりも1億円少ないことが判明!

 非正規社員の生涯賃金は、正規社員よりも1億円以上少ないというのは以前から言われてきたが、今回は、その内容をもう少し詳しく書いてみたい。

図(年齢階層別平均年収) 出典:赤旗

 厚生労働省が発表した2016年の統計データを基に試算すると、20~64歳まで働いて受け取る生涯賃金は、正社員の場合、2億3351万円。それに対して、非正規社員は1億3134万円となる。実に、1億円以上の生涯格差が生まれるのだ。

 非正規社員の労働者人口に占める割合は年々増加を続け、今では4割程度にまで達している。非正規社員は昇進昇格させずに済み、時給いくらで給料が払われている。ボーナスも退職金も払わなくていいので、雇う企業側にとって、コストの多くを占める人件費削減の大きな手段となっている。しかし、その副作用は大きい。

・組織の一員としての自覚が育ちにくく、親身になって問題解決に取り組む人材が減る。
・組織全体としてのモチベーションが低下する。
・仕事上必要な知識・経験が、会社内で蓄積・継承されにくくなる。
・例外はあるが、任せられる仕事の範囲が限定されがちなので、能力向上が頭打ちとなる。
・可処分所得が少ないので、消費を抑えざるを得ない。

 企業の経営者は、コスト削減の安易な手段として非正規社員の割合を増やしている。自分だけの立場や、目先のお金の損得ばかりに目を向けており、視野狭窄といえる。会社としての組織力・活力が低下し、サービス・商品の質が下がり、クレーム増大の原因となるのだ。外食チェーンでのワンオペ問題はその典型だ。

 非正規扱いで収入が少なければ、当然、消費が少なくなる。外食・旅行・車・冠婚葬祭・住宅取得・子どもの教育など、社会に与える影響は広範囲に及ぶ。長い目で見て低成長の原因となる。よく、失われた○十年とか言って嘆いている政治家や評論家がいるが、非正規というある意味、搾取的な労働制度を安易に拡大している側に文句を言う資格はない。当然の結果なのである。もしも、原因と結果の関係をいまだに把握できていないのだとすれば、真正のバカである。

 歴代自民党政権は消費税率を上げて、その分を大企業の減税や内部留保に回している有様だ。愚かである。

消費税収と法人税減収 出典:赤旗


図(企業の内部留保と従業員給与の推移) 出典:東京新聞

 話を元に戻そう。非正規と正規社員の生涯賃金格差は、企業規模によって大きく異なる。中小企業の場合、正規社員の生涯賃金を100としたとき非正規社員のそれは66.5だが、従業員1000人以上の大企業では、この数字が48.3に低下する。すなわち、大企業の方が非正規との格差が大きいと言える。賃金の差は、退職後に受け取る年金額にも影響するため、死ぬまで格差が付いて回るのだ。この状況を自己責任という言葉で片付けようとするならば、思考停止の最たるものだろう。

 それにしても、非正規・正規を問わず、日々搾取的な環境で働いている人たちは、キチンと現実を直視したうえで問題意識を持っているのだろうか?もし問題意識があったとしたら、それをしっかりと自分の主張や行動に反映させているのだろうか?下を向いて、あきらめて、何もせず流されるだけではダメである。

図(2014年の衆院選における自民党獲得票数と棄権者数の比較) 出典:数値は総務省集計データ通りだが、図自体の出典は不明

 サービス残業というのは泥棒行為であり論外だが、それも含め、末端で搾取されている労働者たちの中で安倍政権に投票している人がどの位いるのだろうか?もしいたら、それは自殺行為なので、すぐにやめることをおススメしたい。選挙で棄権した大多数の人たちの中に、不本意に非正規社員に甘んじている人はどのくらいいるのだろうか?何も行動しないで、明るい展望が開けることはないのだ。仕事場での技能向上など、個人レベルの努力だけでは状況を動かせない。

 ここで、南アフリカのネルソン・マンデラ大統領の名言を引用しよう。

写真(ネルソンマンデラの名言)

 日本人は奴隷根性を捨てて、もっと、やかましい有権者にならなければならない。陰で愚痴を言うだけでなく、民主国家の構成員として選挙権を行使しなければならない。自分自身が信じている「常識」はウソと偏見が満ちており、世界から見れば非常識なことが多いことに気付いて欲しいと思う。

Lifetime wages for part-timers are \100 mil. less than for full-timers

以上

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