核兵器廃絶を訴える高校生の演説が見送られたのはナゼか?

 2014年以降の毎年8月、スイスのジュネーブ軍縮会議で、日本の高校生たちは核廃棄廃絶を訴える演説を行ってきました。新聞報道によると、今年2017年は、その演説が見送られたとのことです。今回は、その理由を考えたいと思います。

 歴代自民党政権はもちろんですが、現在の安倍政権もアメリカの傀儡に過ぎません。日本国憲法よりも上位にアメリカ様がいるので、核政策に関しても宗主国様の意向に従うしかないのです。詳しくは下記文献を参照してください。

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか

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 そのアメリカ様は世界最大級の核兵器保有国であり、当然、核兵器廃絶には反対です。日本はアメリカの意向を無視して、勝手に核兵器廃絶運動をすることはできません。加えて安倍総理自身も、積極的に核兵器を推進している立場です。

写真(核兵器使用は違憲でないと発言する安倍総理) 出典:みんなが知るべき情報/今日の物語

 安倍総理は、北朝鮮に対して核ミサイルを撃ち込みたいという妄想に駆られています。彼に対して、平和憲法遵守を説いても無駄なことが分かりますね。トランプや金正恩の方がまだ、平和外交の重要性を心得ています。

 広島・長崎への原爆投下はアメリカによる戦争犯罪ですが、安倍政権がアメリカに対して抗議することは有り得ません。情けない話ですが、これが現実です。詳しくは、下記リンク先の記事を参照して下さい。

「広島・長崎への原爆投下は戦争犯罪である」と断言できない政治家が日本にいるらしい。それは誰?理由は?

 さて、その安倍総理にとって1年でもっとも憂鬱なイベントが日本で8月に行われました。広島での平和祈念式典では、核兵器禁止条約への参加を繰り返し求められて渋い表情を見せていました。長崎での平和祈念式典でも同様です。

 長崎の平和祈念式典後に、安倍総理は被爆者団体の代表と面会し、次のようなことを言われました。核兵器禁止条約に日本政府が批准しない方針を示していることに強く憤る内容です。

「被爆者の願いがようやく実り、核兵器禁止条約ができた。私たちは心から喜んでいます。今こそ、日本が世界の先頭に立つべきだ。私たちを、あなたは見捨てるのですか?あなたはどこの国の総理ですか?」

 広島・長崎における安倍総理の演説では、核兵器禁止条約への言及が全くなく、終始、アメリカの御機嫌取りが最優先でした。

 広島・長崎のイベントですっかり気分を害した安倍総理。彼の取り巻きたちは、自分の保身のため、安倍総理の御機嫌取りをしなければなりません。特に官僚は、内閣人事局から首根っこを押さえられていますので必死です。上長への忖度無くして「出世」は望めません。

 過去3年連続で、スイスのジュネーブ軍縮会議では、日本の高校生たちが核廃棄廃絶を訴える演説を行ってきましたが、その演説が今回は見送られた背景が大分見えてきましたね。高校生の平和大使たちは核兵器禁止条約に賛成しており、日本政府が条約参加することを演説中に要求するのでは?、と懸念したのです。もしもそんな演説をされたら国内外のマスコミで報道され、国民の共感を呼び、核兵器禁止条約不参加の日本政府に対して厳しい視線が集まることは必定です。「安倍総理の人柄が信用できない」という理由で内閣支持率がこれ以上低下するのを何としても防がねばならないのです。

 御存知の通り、数々のスキャンダルという自爆行為で内閣支持率は凋落の一途を辿り、最優先事項である憲法改悪の目論見も怪しくなってきました。都議選での惨敗もかなりこたえたようです。これ以上のダメージを安倍政権に与えないように、「優秀」な官僚ならば言われなくても忖度するのは当然です。高校生の平和大使演説を見送るよう安倍政権から横やりが入ったという明確な証拠を残さないよう、配慮も万全です。

 高校生の平和大使演説見送りに関する東京新聞記事(2017年8月19日付)によると、ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部は「今年は軍縮会議の議事上、適当でないと判断した」そうです。また、大使を派遣する市民団体「高校生平和大使派遣委員会」が今年も軍縮会議での演説を打診したところ、外務省の担当部局である軍備管理軍縮課から「今回は難しい」と回答がありましたが、明確な理由の説明はなかったとのことです。

 以上、高校生による核兵器廃絶の演説が曖昧な理由で不自然にも見送られた背景について、私の考えを述べてきました。平和大使としてスイスへ派遣される優秀な高校生たちは、政治家や官僚の悪い所を反面教師にして頂きたいと思います。

以上

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