自発的隷従とは?
反動右翼的で戦前回帰願望が強い歴代自民党政権は、国民に対してひたすら隷従を要求しています。
「何も考えるな。素直に言うことを聞け!」という本音がヒシヒシと伝わってきます。
選挙で自民党に投票したのは少数派にも関わらず国会では多数を占めているのは不思議ですが、原因の一つとして、政治的無関心層の多さが挙げられます。
最近の国政選挙での投票率は約5割という有様です。
政治的・社会的な問題は厄介事なので考えないようにしているのでしょうか?
日本人は民主主義制度の中で生きていますが、自発的隷従という精神的病理を抱えています。
フランス人のエティエンヌ・ド・ラ・ボエシが書いた「自発的隷従論」の中からいくつか要点を引用します。
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「仮に、二人が、三人が、あるいは四人が、一人を相手にして勝てなかったとして、それはおかしなことだが、まだ有りうることだろう。その場合は、気概が足りなかったからだと言うことができる。だが、百人が、千人が、一人の圧制者のなすがまま、じっと我慢しているような時、それは、彼らがその者の圧制に反抗する勇気がないのではなく、圧制に反抗することを望んでいないからだと言えまいか」
「これは(支配者に人々が隷従していること)、どれほど異様な悪徳だろうか。臆病と呼ばれるにも値せず、それふさわしい卑しい名がみあたらない悪徳、自然がそんなものを作った覚えはないと言い、ことばが名づけるのを拒むような悪徳とは。」
「信じられないことに、民衆は、隷従するやいなや、自由を余りにも突然に、あまりにも甚だしく忘却してしまうので、もはや再び目覚めてそれを取り戻すことができなくなってしまう。なにしろ、あたかも自由であるかのように、あまりにも自発的に隷従するので、見たところ彼らは、自由を失ったのではなく、隷従状態を勝ち得たのだ、とさえ言いたくなるほどである。」
「先の人々(生まれながらにして首に軛を付けられている人々)は、自分たちはずっと隷従してきたし、父祖たちもまたその様に生きて来たという。彼らは、自分たちが悪を辛抱するように定められていると考えており、これまでの例によってその様に信じ込まされている。こうして彼らは、自らの手で、長い時間をかけて、自分たちに暴虐を働く者の支配を基礎づけているのである。」
「それにしても、なんと言うことか、自由を得るためにはただそれを欲しさえすればよいのに、その意志があるだけでよいのに、世の中には、それでもなお高くつきすぎると考える国民が存在するとは。」
「隷従する者達は、戦う勇気のみならず、他のあらゆる事柄においても活力を喪失し、心は卑屈で無気力になってしまっているので、偉業を成し遂げることなどさらさら出来ない。圧制者共はこのことをよく知っており、自分のしもべたちがこのような習性を身につけているのを目にするや、彼らをますます惰弱にするための助力を惜しまないのである。」
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自発的隷従がもたらす社会の劣化
自発的隷従という悪徳で埋め尽くされている日本。その結果もたらされる社会の劣化は目を覆うばかりです。
例えば、・・・・
・福島原発事故という未曽有の災害を起こした原発マフィア達がだれも裁かれず、電気代など国民負担がましても文句を言わない。
・放射性物質による健康被害は隠ぺいされ放題。
・高線量区域で健康への不安を口にさせないよう、住民たち自身がお互いに圧力をかけ合っている。
・雇用が不安定化し収入が減り、税金・保険料・物価が上昇してもひたすら我慢する。
・長時間のサービス残業をさせられても文句一つ言わない。
・税金の無駄遣いにより国の借金が膨大になっても危機感が無い。
・年金資金が食い潰され年金システムが崩壊しつつあるのに、まるで他人事である。
・権力の飼い犬と成り果てた御用マスコミ。
・権力者が国家の私物化をしても、問題意識を持たない国民。
「善人」の沈黙ほど怖いものはない
もしもキング牧師が生きていて、今日の日本の状況を見たら何と言うでしょうか?
『マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King, Jr., 1929年1月15日 – 1968年4月4日)は、アメリカ合衆国のプロテスタントバプテスト派の牧師である。キング牧師の名で知られ、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者として活動した。
「I Have a Dream」(私には夢がある)で知られる有名なスピーチを行った人物。1964年のノーベル平和賞受賞者。2004年の議会名誉黄金勲章受章者。アメリカの人種差別(特にアフリカ系アメリカ人に対する差別)の歴史を語る上で重要な人物の一人である。』
(出典:ウィキペディア)
キング牧師の歴史的名言を下記に引用します。
「問題になっていることに沈黙するようになったとき、我々の命は終わりに向かい始める。」
「最大の悲劇は、悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙である。」
「確かに、服従することは、安易な道である。しかし、道徳的な道ではない、臆病者の道だ。」
「圧制者の方から自由を自発的に与えられることは決してない。しいたげられている人間の方から要求しなくてはならないのだ。」
「最後には、我々は敵の言葉など思い出すことはない。思い出すのは友人の沈黙である。」
また、ポーランド系ロシア人であるブルーノ・ヤセンスキー氏の、次の言葉も引用いたします。
「敵を恐れるな-かれらは君を殺すのが関の山だ。友を恐れるな-かれらは君を裏切るのが関の山だ。無関心な人々を恐れよ-かれらは殺しも裏切りもしない。だがかれらの沈黙の同意があればこそ、地上には裏切りと殺戮が存在するのだ。」
(ブルーノ・ヤセンスキー「無関心な人々の共謀」/江川卓・工藤幸雄訳)
最後に:
奴隷根性という自発的隷従、善人の沈黙、・・・
自分や自分の周囲を見渡せば、容易に見つけられる社会的な病理。
怠惰で臆病で、何も生み出さない非人間的態度。
世界的に見ても日本は特にヒドイ部類に入ります。
旧統一教会は自民党と親和性が高いですが、このようなカルト団体が一番活動しやすい国の一つが日本なのです。
カルトは、自分の頭で考えて行動できない奴隷たちが大好物だから。
悲しいけれど、これは現実。
現実を直視することでしか、前には進めません。
死ぬ前に後悔したくなければ、自発的隷従などという情けない生き方から一刻も早く脱却すべきだと思います。
以上