支持率を上げるために北朝鮮を利用するアベ内閣の閣僚たちと、素直にダマされる日本国民

 安倍総理にとって北朝鮮は正に救世主と言えるだろう。

 アベノミクスの破綻や森友・加計問題、その他さまざまなスキャンダルが明るみに出て、内閣支持率は低下の一途をたどっていた。飼い慣らした忖度マスコミを活用しても、この体たらくということは、実態は相当ひどいということである。いくら奴隷根性が染みついた素直な国民でも怒るのは当たり前だ。

 有権者の怒りが直接、政府に向いたままで選挙を実施しても勝てるわけがない。国民の怒りの矛先を変えねばならない状況で、北朝鮮のミサイル発射は安倍さんにとって願ったり叶ったりに違いない。

 Jアラートで恐怖を演出し、ダンゴ虫ポーズの避難訓練をさせ、「敵国」と名指しした北朝鮮への憎悪を煽る。国民の国内問題への関心は薄れ、政府への追及は和らぎ、毅然とした頼もしいリーダーを演出できる。こんなに手軽な内閣支持率アップ作戦は他にない。産経新聞的な報道に依存している国民がほとんどなので、「やっぱり、国の舵取りは自民党に任せるしかない」という判断になる。

「漢字もロクに読めない馬鹿ども」と揶揄する人がいるが、長年に渡って政権を維持してきた実力・実績をあなどってはいけない。安倍政権の、民衆の心をコントロールしてダマす技術は相当なものだ。ブラックプロパガンダのノウハウに関して自民党の右に出る党はないだろう。

以下に例を挙げる。

写真:「北朝鮮に対して必要なのは対話ではなく、圧力だ」と演説する安倍総理。


国連で演説をする安倍総理。聴衆はまばらで、国際的にはほとんど相手にされていない・・・

写真(日本に核保有を勧めるトランプ大統領)


 安倍さんは、トランプ大統領の発言を100%支持している。

写真:国連総会の関連会合に出席するため訪米した河野太郎外相は2017年9月21日、ニューヨークのコロンビア大学で講演し、北朝鮮と国交を結んでいる国々に対して外交関係・経済関係を断つよう強く要求した。


朝鮮民主主義人民共和国と外交関係を有する国々の一覧図。緑色で塗られた諸国は朝鮮民主主義人民共和国と国交を有し、灰色の諸国は国交を有さない。赤色の国家は国交を断絶している。

 160の国々は、必要だから北朝鮮と国交を結んでいる。それを絶てと要求する資格があるのか?外務大臣という外交の仕事を放棄することに何のためらいも無いようだ。さすがは「仕事人内閣」の一員である。

 麻生太郎副総理兼財務相は2017年9月23日に宇都宮市で講演し、北朝鮮で有事が発生すれば日本に武装難民が押し寄せる可能性に言及した。「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない」と発言した。

写真:「北朝鮮から来た難民を射殺するか?」と発言した麻生太郎氏

 関東大震災が起きた直後に流布されたデマにより、何千人という朝鮮人が虐殺されたが、日本人の幼稚な精神構造は、その頃から少しも進歩していない。日本社会にはびこる差別意識も悪用し、北朝鮮への敵意を煽っている。麻生さんは安倍政権の重鎮だけあって、なかなかやりますな。

写真(北朝鮮のミサイル発射を受けて、シェルター設置を提案する自民党)

 福島第一原発の爆発事故により放出された放射性物質が日本の国土を汚染したが、放射線管理区域に国民を放置するばかりか、そこへの強制帰還を進めている安倍政権。

写真(放射性セシウムによる土壌汚染) 出典:IPPNW-Report “Health consequences resulting from Fukushima Update 2015”

 核シェルターで国民を守る気が無いことは明らかだ。

 以上の例を見るだけでも、安倍政権は様々なブラックプロパガンダを多用していることが分かる。

1.ネーム・コーリング
 レッテル貼り。攻撃対象をネガティブなイメージと結びつける(恐怖に訴える論証)。

2.カードスタッキング
 自らの主張に都合のいい事柄を強調し、都合の悪い事柄を隠蔽、または捏造だと強調する。本来はトランプの「イカサマ」の意。情報操作が典型的例。マスコミ統制。

3.バンドワゴン
 その事柄が世の中の趨勢であるように宣伝する。人間は本能的に集団から疎外されることを恐れる性質があり、自らの主張が世の中の趨勢であると錯覚させることで引きつけることが出来る。

4.証言利用
 「信憑性がある」とされる人に語らせることで、自らの主張に説得性を高めようとする(権威に訴える論証)。

5.平凡化
 その考えのメリットを、民衆のメリットと結びつける。

 安倍政権が多用するブラックプロパガンダについて興味がある人は、下記リンク先の記事を参照して頂きたい。

安倍政権が多用する悪質なプロパガンダ事例を紹介します。気をつけないと日本国民はすぐにダマされる。

 甘やかされて育った世襲議員たちは、困ったときに安易な手段ばかりに頼ろうとする。追い詰められたときに、人間の本性や実力が露呈するのだ。

 このような見苦しい連中に簡単にダマされる国民もどうかしている。

 映画監督・脚本家として活躍した伊丹万作氏が、『映画春秋』創刊号(昭和二十一年八月)に「戦争責任者の問題」と題して書いた文章から引用し、この記事を終わりにしたい。

引用始め
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だますものだけでは戦争は起らない。だますものとだまされるものとがそろわなければ戦争は起らないということになると、戦争の責任もまた(たとえ軽重の差はあるにしても)当然両方にあるものと考えるほかはないのである。

そしてだまされたものの罪は、ただ単にだまされたという事実そのものの中にあるのではなく、あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになってしまっていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである。

このことは、過去の日本が、外国の力なしには封建制度も鎖国制度も独力で打破することができなかつた事実、個人の基本的人権さえも自力でつかみ得なかつた事実とまったくその本質を等しくするものである。

そして、このことはまた、同時にあのような専横と圧制を支配者にゆるした国民の奴隷根性とも密接につながるものである。

それは少なくとも個人の尊厳の冒涜、すなわち自我の放棄であり人間性への裏切りである。また、悪を憤る精神の欠如であり、道徳的無感覚である。ひいては国民大衆、すなわち被支配階級全体に対する不忠である。

我々は、はからずも、いま政治的には一応解放された。しかしいままで、奴隷状態を存続せしめた責任を軍や警察や官僚にのみ負担させて、彼らの跳梁を許した自分たちの罪を真剣に反省しなかつたならば、日本の国民というものは永久に救われるときはないであろう。

「だまされていた」という一語の持つ便利な効果におぼれて、一切の責任から解放された気でいる多くの人々の安易きわまる態度を見るとき、私は日本国民の将来に対して暗澹たる不安を感ぜざるを得ない。

「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによってだまされ始めているにちがいないのである。

一度だまされたら、二度とだまされまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。この意味から戦犯者の追求ということもむろん重要ではあるが、それ以上に現在の日本に必要なことは、まず国民全体がだまされたということの意味を本当に理解し、だまされるような脆弱な自分というものを解剖し、分析し、徹底的に自己を改造する努力を始めることである。
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引用終わり

以上

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