【大麻は有害無益?】あなたの「常識」は本当に正しいのか?

 大麻(英語でcannabis)はアサの花冠、葉を乾燥または樹脂化、液体化させたものです。薬理効果があるので、紀元前から用いられてきました。癌、AIDS、緑内障治療、抗うつ薬、不眠、食欲覚醒剤、抗けいれん剤、抗痙攣剤、糖尿病など様々な分野で治療効果が実証されており、実際、医療用として合法化している国や地域は多いです。

 例えば癌についていえば、大麻は、がん細胞と通常の細胞を見分けて、癌細胞のみを死滅させることができます。従来の化学療法はすべての細胞にダメージを与え、患者に深刻な副作用をもたらします。大麻のメリットは大きいですね。

参照記事リンク:
「Molecular Biologist Explains How Cannabis Kills Cancer Cells」

 アメリカ合衆国では、医療大麻法は1996年にカリフォルニア州で執行されたのを皮切りに、2017年夏時点で全50州中、首都ワシントンDCと29州で利用できます。

 2007年に医学雑誌『ランセット』に掲載されたデビッド・ナット氏らによる「薬物の相対的な有害性に関する論文」によると、大麻は、タバコやアルコールよりも有害性・依存性が低い結果になっています。

図:薬物の相対的有害性 出典:デビッド・ナットらの論文(2007年)

 また2010年、デビッド・ナットら薬物に関する独立科学評議会(ISCD)が『ランセット』に掲載した論文によると、社会的な有害性については、暴力や事故を引き起こす傾向の強いアルコールを最も有害と評価しました。

図:各物質の社会的有害性比較 出典:デビッド・ナットらの論文(2010年)

 飲酒運転が厳しく罰せられるのは当然ですが、飲酒自体は日本でもごくありふれた情景であり、20歳以上ならば違法ではありません。しかし日本では、アルコールよりも有害性が少ない大麻が医療目的ですら違法です。

 2017年の時点で嗜好用大麻がアメリカの多くの州で合法化されています。ワシントン州、コロラド州、アラスカ州、ワシントンDC、オレゴン州、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、ネバダ州、メイン州などに広がっており、将来的には何兆円という大きな市場になると予想されています(アメリカの連邦法では依然として、大麻の所持や使用を禁じていますが、連邦政府が各州の動きに介入する気配はありません)。

 ビル・クリントン元大統領やバラク・オバマ前大統領は、若いころに嗜好用大麻を吸ったことを認めています。各種世論調査によると、アメリカ成人の約6割は大麻合法化に賛成だそうです。日本国内では嗜好用はおろか、医療用ですら大麻取締法で禁止されていますが、安倍昭恵氏は賛成しています。誰であっても、意見を言うのは自由です。

 嗜好用はともかく、医学的な評価すらできない状況を放置すべきではありません。日本において、医療現場への大麻導入を、かたくなに拒んでいる理由は何でしょうか?

 例えば癌についていえば、検査を奨励し、癌を見つけたら手術し、化学療法で薬漬けにするのが普通です。患者は副作用に苦しみ、生活の質は著しく低下し、寿命を縮めているのですが、医者や薬メーカーにとっては儲けの手段になっているため止められません。患者の都合など二の次です。官僚だって天下り先を失いたくありませんし、自民党だって既得権益団体の支持を失うわけにはいかないのです。既得権益者による抵抗・・・ 害が少なく薬理効果が高い大麻が禁止されている理由は、これに尽きます。もしも嗜好用として認めたら、タバコや酒のメーカーからも圧力がかかりそうですね。

 2014年7月27日、ニューヨーク・タイムズは「アルコールよりも危険の少ない大麻を禁止していることで社会に多大な害悪を及ぼして来たことを批判し、大麻を禁止しているアメリカ連邦法を撤廃すべきだ」と主張する社説を掲載し物議を醸しました。また、2016年のギャラップ調査では、アメリカ人の約6割が大麻の合法化を支持しています。

 実際、世界的に見れば、大麻の使用はごく普通のことです。

 日本でもそろそろ、長年の「常識」に疑問を投げかけていい時期だと思います。

以上

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