アメリカ政府は、自国民ですら核兵器の実験材料にしていた!被爆調査も補償も不十分・・

 アメリカは1945年に広島と長崎に原子爆弾を投下し、何十万人という日本人を虐殺しました。アメリカにとって原爆投下は人体実験でもあったのです。放射能の影響に関するデータを収集し、研究材料として本国に持ち帰りました。この時点でアメリカ政府は放射性物質が人体にとってどのように有害か具体的に理解していたのです。

 他国民を研究材料にするだけでは飽き足らず、今度はアメリカの自国民も犠牲にしてしまいました。1951年から1992年まで、ネバダ州の核実験場で合計1000回以上の核爆発を繰り返したのです。以下に概略を記します。

・周辺住民に対して核実験の見学を勧めた。
・住民たちに線量計を配布しデータ収集に利用した。
・ネバダ州を含む広大な土地・地下水・空気・食料などが放射性物質で汚染された。
・多くの健康被害が予見でき、かつ実際に発生しているのに政府は健康診断を実施しなかった。
・被害住民からの損害賠償請求にもまともに応じず、実質、放置している状態である。

 アメリカ政府はこの過ちから学びませんでした。そして、ごく一握りの強欲者のために大多数の庶民が犠牲になる無慈悲な弱肉強食社会を実現してしまったのです。今やアメリカは、人間が安心して暮らせるような場所ではありません。

 日本はアメリカの悪いところを真似する必要はありません。反面教師にすればいいのです。しかし、アメリカ追従・隷属は強まるばかりです。被爆国なのに、核兵器禁止条約に参加することすらできません。

 IPPNW(=International Physicians for the Prevention of Nuclear War:核戦争防止国際医師会議)が関連記事を書いています。以下にリンクを貼ります。

http://www.ippnw-students.org/Japan/Nevada.pdf

 上記リンク英文記事の一部を翻訳し、以下に引用します。参考にしてください。

引用始め
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ネバダ州の核実験場はラスベガスの北西約105kmに位置しており、アメリカでは最大・最重要の核兵器実験場である。1951年から1992年にかけて3500平方kmのこの場所で、合計1021回の核実験が実施された。地上で100回、地下で921回だ。この核実験で大気中に放出された放射性物質は、推定で222,000×10の15乗ベクレルになる。

国土安全保障省の前身機関により保管されて機密解除された資料によると、放射性粉塵がアメリカ国民にどのような影響を与えるのか調べるのが唯一の目的だった実験も多い。 放射性ストロンチウムを子供の乳歯から科学者が発見したり、小児性白血病や他癌の発生率が増えるに従い、核兵器実験の中止を求める国民の声が大きくなり始めた。

写真(ネバダ州の核実験に抗議する人達)出典:Peter Drekmeier (Mark Bult), creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0

1963年、ケネディ大統領は制限付きの核実験禁止条約に署名した。それにより、ネバダ州での大気中核実験は終了したが、地下核実験は1992年まで継続された。地下核実験は予期しない出来事を頻発させた。例えば1970年12月18日に実施された10キロトン爆弾Baneberryの地下実験では、放射性粉塵を含む雲が発生し、実験場の従業員たちが何時間にも渡って放射性雨で被爆したのだ。推定で合計247×10の15乗ベクレルの放射性物質が放出されたが、それには3×10の15乗ベクレルのヨウ素131が含まれている。放射性物質がばら撒かれてしまったのは、カルフォルニア北東部・ネバダ州北部・アイダホ州南部、そしてオレゴン州とワシントン州の東部だ。

写真(ネバダ州での地下核実験。巨大な放射性雲が発生してしまった)出典:アメリカエネルギー省

1950年代、実験場近くの住民たちは玄関から核実験を見学するよう勧められた。アメリカ原子力委員会は線量計のバッジを住民多数に渡し、被ばく量を計測した。放射性物質の人体への影響を研究するためだ。放射性物質の影響を最も強く受けたのはユタ州の住民であることが、風向きにより明らかになった。

ヨウ素131のような放射性物質に空気・食料・飲み物が汚染されると、人体に取り込まれて癌を誘発する。ユタ州の小さな町であるSt. Georgeでは、子供たちが最大1.2〜4.4シーベルトを甲状腺に被爆した可能性がある。後に行われた疫学的研究によると、核実験場の風下住民の間で白血病や甲状腺癌が顕著に増加した。

国立癌研究所によると、ネバダ州での核兵器実験で発生した合計4百万PSvのヨウ素131にアメリカ国民が晒されたという。それは、チェルノブイリ事故で発生した7300PSvの約500倍に当たる。1999年に発表された研究では、ネバダ核実験が原因の甲状腺癌患者は10000〜75000人になると予測している。2006年に発表された別の報告書では、ネバダ核実験により白血病で死亡した人は、アメリカ国内で1800人にのぼると推定している。これら様々な警告があるにもかかわらず、基本的な甲状腺癌検査すら当該地域で行われていない。

被爆により病気になったと確認できる風下住民に補償するため、1990年に被爆損害賠償法が制定された。しかし、犠牲者の多くは、実際に補償を受け取るのは困難だと感じている。お役所の手続きは煩雑であり、大規模な科学的研究もされていないからだ。ネバダ州の被爆者たちは核実験の負の遺産と直面しつつ、アメリカ政府から見捨てられたと感じている。
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引用終わり

以上

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