総理大臣は「美しい国:日本」などと言って自己満足しているが、その人権状況についてはお寒い限りだ。諸外国からは「日本は中世の国か?」と揶揄されているのが現実なのだ。弁護士も同席させずに長期拘留し、冤罪を大量生産する代用監獄制度は、特に国際的に評判が悪い。日本では無関心派が大勢を占めていることへも、奇異の目が向けられている。私もブログ記事を書いていて実感することなのだが、日本では人権に関する興味・関心が極めて薄い。
基地問題で揺れる沖縄においては、本土と比べ物にならないレベルと頻度で人権問題が発生し続けている。沖縄の人にとっては常識でも、本土の人間は事実すら知らないことが多いのではないだろうか?
沖縄基地建設反対運動のリーダーである山城博治氏が、5か月以上に渡って不当に長期拘留されていたのをご存じだろうか?日本の大手マスコミが全然報道しない中、アメリカのワシントンポストが記事に取り上げた。以下は記事リンクである。(2017年1月18日付)
Fierce opponent of U.S. military bases in Okinawa detained for three months
上記記事は、山城さんの立場に立っており、安倍政権にとって都合の悪い内容になっている。以下に、要旨を記す。
要旨始め
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沖縄基地反対運動の先頭に立つ山城博治氏(64)が微罪の容疑で2016年10月に逮捕され、95日間も不当に拘留され続けている。彼を黙らせて、反対運動を封じ込める政治的意図があるのは明らかだ。
日本では、容疑者が起訴、もしくは釈放されるまでの間、最大で23日間拘留できることになっている。山城氏への取り調べが続く中、弁護士の立ち合いは認められなかった。
山城氏の逮捕容疑は、高江のヘリパッド近くのフェンスを切ったことだ。また、2016年8月に沖縄防衛局の職員へ公務執行妨害を働き、怪我を負わせた容疑も後から追加された。さらにもう一つ。今から10か月前、辺野古基地建設現場前の道路にブロックを置いたという容疑もかけられている。
日本の警察は山城氏の逮捕拘留に関して、運動弾圧という政治的意図を否定している。しかし、ワシントンポストの取材に対して、警察・裁判所・沖縄米軍ともにコメントを控えている。
ただし、日本政府や在日米軍にとって、沖縄米軍基地反対運動の先頭に立ってきた山城氏が目の上のタンコブだったことは事実だ。
住宅密集地の普天間基地から辺野古への基地移転は、さらに遅れるだろう。沖縄県民の8割は基地移転に反対しており、米軍基地は県外に移して欲しいと強く願っている。
2014年に基地反対派の知事が誕生して以降、日本政府と県民の対立は強まり、高江のオスプレイ用ヘリパッド建設強行も火に油を注いだ。
山城氏の弁護人によれば、軽微な容疑でこれだけ長期間拘留するは異常であり、何回も保釈を求めているが、すべて拒否されているという。山城氏は2015年にがんの治療を受けており、逮捕以来、家族との面会も許されていない。裁判所には彼の保釈を求めて4万人分の署名が提出された。
山城氏の長期拘留は不当であり、国際条約にも反している。アメリカ政府も関心を払うべきだ。体調の思わしくない老人をこのまま拘束し続けたら、沖縄の反対運動はさらに激化するだろう。
一方、拘留されている山城氏本人はくじけていない。彼からの手紙には、沖縄県民の怒りを代弁しようという意欲がみなぎっていた。
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要旨終わり
このワシントンポストの記事を読んだ外国人は、日本のことを先進国だと認めないだろう。「美しい国:日本」の評判を落としているのは、「日本は美しい」と妄想にふけっている安倍総理自身であることに気付くべきだ。
追加情報:
各国の人権状況を調査する国連人権理事会の特別報告者4人が、2017年2月28日付の緊急声明を日本政府に送り、それが公表された。
緊急声明は、沖縄のアメリカ軍施設の建設に反対する活動中に沖縄平和運動センター議長の山城博治氏が逮捕・起訴され、2017年3月まで5か月余りにわたり勾留されていたことについて、日本政府に懸念を伝える内容となっている。
山城議長の活動は、表現の自由や平和的な集会の権利に基づくにも関わらず、犯罪として摘発され、さらに長期間の勾留に関して適切な手続きを欠いており、国際人権規約に基付いて、裁判の前に恣意的(しいてき)に自由を制限しないよう日本政府に求めている。
以上
コメント
馬鹿馬鹿しい。沖縄防衛局職員への暴力画像を見たが、長期勾留されて当たり前の男だ。