2016年7月の参議院選挙で、争点として一番に取り上げられなければならない安保法制(=戦争法)ですが、一般国民の関心はイマイチです。今すぐに生活に直結する問題ではなく、実感が湧かないからでしょうか?
以下に、安保法制成立までに用いられてきた反則技、劣悪政治家たちの暴言、及び、伊藤真弁護士の親切解説を紹介いたします。参考にしてください。
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2015年9月19日未明に安保法制(=戦争法)が成立しました。アメリカとの約束通りに戦後最悪の法律を可決させるため、安倍政権は様々な反則技を使いました。以下に、例を挙げます。
1)選挙での争点隠し
2014年末の国政選挙のテーマは経済運営に関するものでした。
安倍総理は記者会見で下記の通り冒頭発言しています。
「本日、衆議院を解散いたしました。この解散は、「アベノミクス解散」であります。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙であります。連日、野党は、アベノミクスは失敗した、批判ばかりを繰り返しています。私は、今回の選挙戦を通じて、私たちの経済政策が間違っているのか、正しいのか、本当に他に選択肢はあるのか、国民の皆様に伺いたいと思います。」
この記者会見では最初から最後まで経済政策のことだけを話題にしていました。安全保障政策に関しての言及は皆無でした。確かに、自民党のホームページに掲載されている政策集2014の中には、少しだけ言及しています。
引用始め
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「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成26年7月1日閣議決定)に基づき、いかなる事態に対しても国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備します。
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引用終り
安保法制を成立させるため、自民党は多大の時間・労力・お金を費やしてきました。それだけの熱意があるならば、マニフェストの先頭に持ってきてもいいと思います。
選挙前に国民的関心事になり反発を食らい、支持率や獲得投票数低下につながるのを恐れていたのでしょうか?選挙時に争点隠しをして多数の議席を獲得し、その後はやりたい放題・・・ 有権者から見れば反則技でしょう。
2)自分にとって都合の良い人間を内閣法制局長官に据えた。
内閣法制局は、内閣が国会に提出する新規法案を、閣議決定に先立って現行法の見地から問題がないかを審査するのが仕事です。戦後の歴代内閣で憲法解釈の責任も担っており、総理大臣ですら介入を控え、独立性を維持してきました。
しかし、安倍総理は人事権を悪用し、集団的自衛権行使容認に積極的な外務省出身の小松一郎氏を起用しました。前代未聞のことです。
3)マスコミの懐柔・統制
ジャーナリストの役割は権力の監視であり、危険を伴います。大本営発表をする御用マスコミに存在価値はありません。監視する側が監視される側と会食するなど論外です。安倍総理は自分のお友達である籾井さんをNHKに送り込むなど、やりたい放題です。
4)歴代内閣の憲法解釈を変更
歴代内閣は、集団的自演権の行使は憲法違反であると答弁してきました。しかし、安倍政権は2014年7月1日、従来の憲法解釈を変更することを閣議決定してしまいました。こんなことをする人が現れるとは、誰も予想していなかったでしょう。
5)国会審議の形骸化
ゴマカシ答弁や不誠実対応のオンパレードでした。露骨な説明責任の放棄が、政治的無関心層を目覚めさせた思います。
6)採決の強行
一方的で強引なやり方は、自信の無さの裏返しです。
上記1)〜6)の反則技を使うような人たちは、民主主義・立憲主義・国民主権の初歩を理解していないのです。従って、有権者を唖然とさせるような暴言がポロポロと出てきました。以下に、例を挙げましょう。
礒崎陽輔(首相補佐官)
「立憲主義なんて聞いたことがない」
「法的安定性など、どうでもいいんです」
片山さつき(参院議員)
「天賦人権論(全ての人間は生まれながらに自由かつ平等で、 幸福を追求する権利を持つという自然権を持つという思想)をとるのは止めようというのが私たちの基本的考え」
安倍晋三(内閣総理大臣)
「みっともない憲法ですよ、はっきり言って」
麻生太郎(副総理・元総理)
「ナチス政権下のドイツでは、憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうかね」
石破茂(前自民党幹事長)
『「これは国家の独立を守るためだ」「出動せよ」って言われた時、「死ぬかもしれないし、行きたくないな」と思う人がいないという保証はどこにもない。だからその時に、それに従え、それに従わなければ、その国における最高刑に死刑がある国なら死刑、無期懲役なら無期懲役、懲役300年なら300年(を科す)。「そんな目にあうぐらいだったら出動命令に従おう」っていうことになる。』
国民が行うデモに対して→「絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」
細田博之(自民党幹事長代行)
「憲法は不磨の大典ではない。法令の一つだ。日本国憲法というと立派そうだが、日本国基本法という程度のものだ」
西田昌司(自民党副幹事長)
「今の憲法は憲法の資格さえない、主権は国民にはない。日本が長年培った伝統と歴史に主権がある」
船田元(自民党憲法改正推進本部本部長代行)
「ガチガチに立憲主義を守ることによって国が滅んでしまっては何もならない」
脇雅史(参院幹事長)
一票の格差についての広島高等裁判所岡山支部判決に対して→「取り消してほしい。はなはだ変な判決だ」
中谷元(防衛大臣)
「安全保障法制はどうあるべきか与党で議論をいただき、現在の憲法をいかにこの法案に適応させていけばいいかという議論を踏まえ(法案の)閣議決定を行った」
その他いろいろ沢山・・・・・・・
このような仰天発言をする人たちが政権を担うとは、有権者の誰が予想できたでしょうか?無関心な国民を覚醒させるのに大分役立ったと思います。こういう人たちによって、最終的には、2015年9月19日未明に安保法制が成立したのですが、それに先立つ2015年9月8日に参議院平和安全法制特別委員会で参考人意見陳述が行われました。
弁護士の伊藤真氏は、意見陳述をされた一人です。戦争法の問題点、その審議過程の問題点などについて、国会議員を諭すように、初歩的なことを解り易く親切に解説してくださいました。
下記リンク先で、是非とも内容確認をしてください。
とってもオススメです。
「この意見陳述をすれば、与党議員たちも改心し、安保法案を撤回するに違いない。」とは、伊藤真氏も思っていなかったでしょう。では彼の献身的で誠実な行動を支えていたものは何でしょうか?
想像ですが、「政治に無関心な国民にも解るように国会の場で丁寧に説明し、公的な記録に残すことで、次回の国政選挙の投票先判断に役立ててもらおう」、と考えたのではないでしょうか?
国会議員としての初歩的な知識を持っていない、ルールを守る気がない人間に一票を投じてはいけません。棄権は論外です。有権者が無関心でいると、国会がゴロツキの巣窟になってしまうことが実証されたのです。
以上