日本は世界一のギャンブル大国です。パチンコ業界の売上だけでも年間19兆円弱になります(2013年)。これに、競輪・競馬・競艇や宝くじなど数兆円規模の年間売上高が加わるのです。ギャンブルに対してこれだけ大きな金額が動く国は世界広しといえども日本だけです。
私は製造業にいますが、ある特定の商品ジャンルで1兆円規模の売り上げにするのは相当大変なことです。日本のギャンブル業界の規模は異常です。
その異常な規模のギャンブル業界に取り込まれて中毒状態になってしまった人は数百万人に上ります。大金をつぎ込み貯金を使い果たし、借金を重ねて自己破産する。家庭が崩壊し仕事にも悪影響が出ますので社会的損失は計り知れません。ギャンブル依存症は立派な病気なのです。
日本にはなぜ、これほど多くのギャンブル依存症患者がいるのでしょうか?長い目で見れば損をすると解っていながら止められない。そのうち得られるであろう快楽を期待しつつ、何万円という金を何時間もかけてつぎ込む。こういう人たちは自分の努力で何かを成し遂げようという意思が無く、他人任せの傾向が強い気がします。「長い物には巻かれろ」「出る杭は打たれる」「組織の歯車たれ」という格言が生きている村社会日本では個の確立が弱く、体制や雰囲気に流されてしまうことが極めて多いのですが、このこととギャンブル依存症は関係があると思います。
ギャンブル依存症の発生メカニズム詳細はともかく、現実に深刻な社会問題になっていることは確かです。その社会問題をさらに悪化させるような法案を2016年12月15日、安倍政権は国会で成立させてしまいました。カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を政府に促す議員立法「カジノ解禁法案」です。 日本経済が活性化されることを期待しているようですが、正直、「馬鹿じゃないの?」というのが私の感想です。
ギャンブルを通して人々から金をむしり取って得をするのは、ギャンブル業界の経営者・天下り官僚・政治家くらいなものです。より多くの依存症患者を生み出すことは間違いないでしょう。ギャンブル行為そのものからは何も生産的なものは生まれません。人間の堕落に手を貸すだけであり、社会・経済の発展に結び付くことはありません。
日本国民の幸福・安全・安心・健康に対して無関心である自民党政権の本質が垣間見えます。
以上