メールや電話を監視されるのがイヤならば、この法律のヤバさを知っておくべし!

 山本太郎参議院議員は、2017年1月25日の国会代表質問で次のように述べた。

「安倍晋三閣下は、行政府の長であるばかりか、立法府の長でもあるとご本人が宣言されました。司法の長になられるのも時間の問題ではないでしょうか?そのためにも現行憲法など守っていられませんし、守りもしません。当然です。不都合な真実、事実を声高に叫ぶ人間は邪魔です。オリンピックに向けて火事場泥棒的に治安立法を成立させます。安倍総理、オリンピックを成功させるためには、共謀罪が必要との趣旨の発言がありました。共謀罪をテロ等準備罪と名前を変えるようですが、テロ等準備罪の等、この等とはどういう意味ですか?テロ以外にも適用される余地を残す理由を教えてください。世界一安全な東京とアピールをしておきながら、たった数週間の体育祭を開催するのに、国民を監視し、密告制度で相互監視までさせ、相談しただけでアウトという、権力が思想信条の領域にまで足を踏み入れるとんでもない法律が必要な理由は何なんでしょうか?」

写真(代表質問する山本太郎議員)

 安倍総理はこの質問に対してマトモに答えることはできなかった。今回は、このテロ等準備罪(共謀罪)について考えてみる。

 組織犯罪処罰法改正案に盛り込まれているテロ等組織犯罪準備罪(共謀罪)は、実際に犯罪を実行しなくても計画し準備しただけで人々を罰することができる。計画したか確かめるには、当然、人々を秘密裏に監視しなければならず、警察による一般市民の盗聴行為が横行することは確実だ。

 この法案は過去に何度も提出されては廃案になってきた悪法だ。国際組織犯罪防止条約を批准するために必要だと政府は言い訳をしているが、そもそもこの条約はマフィアの資金洗浄対策が中心であり、共謀罪をあえて提案する理由にはならない。計画段階の組織犯罪を取り締まることは現状の法律でも可能であり、国際条約は今のままでも批准することは可能なのだ。国民を合法的に監視する手段を得るためなら、どんな詭弁を弄することも厭わない。安倍政権の危険性を垣間見ることができるというものだ。


写真(組織犯罪処罰法改正案が成立しなければ東京五輪は開催できないと発言する安倍総理)

 安倍総理は最近、この法案を成立させないと2020年の東京オリンピックを開催できないとまで発言した。放射性物質とも無縁な安全な都市だと国際的に公言したのはウソだったのか?テロ等が起こらない安全な都市ならば、こんな法案は不要のはずだ。近隣アジア諸国にケンカを売るような無能な外交しかできない安倍総理自身が最大の危険因子だろう。

写真(IOC総会での安倍総理プレゼンテーション:「東京は安全」)

 この法案の対象は犯罪組織であり、一般国民が対象になることはあり得ないと政府は答弁しているが、信用できるはずがない。安倍政権という経団連の操り人形にとって、労働組合や、原発などに反対する各種市民団体は危険な犯罪組織に他ならず、社会から抹殺すべき対象だからだ。発言に一貫性が無く、毎日がエイプリルフールのような安倍政権ならば、どんな滅茶苦茶なこじつけをすることも厭わないだろう。警察組織は良くも悪くも上意下達が徹底しており、政治リーダーが悪徳者でもその命令には素直に従ってしまうものだ。安保法制一つとってみても、現在の自民党政権は、憲法を憲法とも思わず、法的枠組みを平気で破壊する戦後最悪の内閣だということを忘れてはならない。

 捜査機関による電話の盗聴、電子メールの監視、路上の監視カメラによる人物画像収集・分析・・・・ 監視する側は楽しいのかもしれないが、監視される側は気味が悪いだけである。この問題に無関心な者は、もう少し想像力を働かせた方が良いだろう。「自分は関係ない」と思わない方が良い。人権侵害以外の何物でもない。正当な犯罪捜査以外の監視活動が拡大することを許してはならない。常に監視されなければならないのは権力者の方である。独裁的な権力者が暴走するのを指をくわえて眺めているのは自殺行為だ。

 国民が無関心だと、歴史上の過ちは必ず繰り返される。戦前の日本は監視や密告が横行して、多くの罪なき庶民が拷問死した。他人事だと思ってはならない。権力者に厳しい目を向けられるかどうか、有権者の英知が試されている。

写真(拷問・虐殺された小林多喜二)

参考リンク
Penalizing the plotting of crimes

以上

タイトルとURLをコピーしました