【ギャンブル依存症患者の自殺率は一般の40倍!】マスコミは取り上げないが、知っておかないと危険な話。カジノ法案への反対討論を紹介。

 日本は世界一のギャンブル大国です。パチンコ業界の売上だけでも年間約20兆円弱になります(2016年)。これに、競輪・競馬・競艇や宝くじなど数兆円規模の年間売上高が加わるのです。ギャンブルに対してこれだけ大きな金額が動く国は世界広しといえども日本だけです。「美しい国」ですね。

 私は製造業にいますが、ある特定の商品ジャンルで1兆円規模の売り上げにするのは相当大変なことです。日本のギャンブル業界の規模は異常です。

 その異常な規模のギャンブル業界に取り込まれて中毒状態になってしまった人が数百万人もいます。大金をつぎ込み貯金を使い果たし、借金を重ねて自己破産する。家庭が崩壊し仕事にも悪影響が出ますので社会的損失は計り知れません。ギャンブル依存症は立派な病気です。

ギャンブル依存症の発生メカニズム詳細は省きますが、現実に深刻な社会問題になっていることは確かです。その社会問題をさらに悪化させるような法案が2016年12月15日、国会で成立してしまいました。カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を政府に促す議員立法「カジノ解禁法案」です。日本経済が活性化されることを期待しているようですが、正直、「馬鹿じゃないの?」というのが私の感想です。

 法案成立に先立つ2016年12月13日、国会の内閣委員会でカジノ法案に対する反対討論が行われました。以下にYouTubeビデオのリンクを貼ります。

 上記反対討論の書き起こしを以下に記します。カジノ法案の問題点を知るには格好の教材です。パチンコ・スロット好きの人も含めて、参考にして頂ければと思います。

書き起こし始め
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写真(カジノ法案への反対討論を行う山本太郎議員)

私は、IR法案、いわゆるカジノ法案に反対の立場で討論をいたします。自由、社民の会派、希望の会を代表し、反対討論を行います。

本当に悲しい、これが国会なのって思っちゃいますよ。もう慣れたかもしれない、皆さんは。こんなものだって、政治は。でも、私はまだ日が浅い、三年しかたっていない。だから、まだ町の感覚、人々の声は聞こえる、こんな形でこんなことを決めていいんですかって。

私たちを食べさせてくれているのは、そしてこの国を回せているのは税金ですよって。誰の声を聞いてやるんですか。国民の中で、ギャンブルできるようにしてくれ、カジノ、賭場を開いてくれという声、どれぐらいありました。慎重にやってくれ、ちょっと行き過ぎているんじゃないか、そういう声の方が多いじゃないですか。誰の声を聞いて政治をやるんですか、誰の国の政治を今行っているんですかって。

このカジノという考え方に関しましては、特区で元々ありましたよね。特区でできなかった理由、平たく言うと、ばくち場を開くことを特区だけで合法化するには無理があるという話でした。ならば違うルートで、プログラム法と実施法という二段階で分かりにくく、ばくち場を開ける場所や主体を合法化してしまう準備法案だとも言えます。

正面から来ればいいじゃないですか。IR、劇場がどうした会議場がどうした、もちろんそれもあるだろうけど、本丸はカジノじゃないか、ばくちじゃないか、本丸はという話なんですよ。そして、この先の法案、今回の法案が通った先の法案、これを通せば、法務省と警察庁の懸念、刑法百八十五条、百八十六条に係る懸念、今回と先の立法で払拭なさった後は、この後どうなっていくかという話ですよね。

一度そのような形で迂回をさせて、ばくち場を開けるようにした上で先々危険性として考えられるのは、国家戦略特区に認定すれば、運営する企業、カジノを運営する企業に税控除というインセンティブまで与えるという話になる。カジノでもうけて、その税金や納付金を使って公益に資することをやりますという話が、もしも特区にこれが指定されてしまうような先々出来事があったとするならば、法人税は控除、所得税も控除、設備投資も控除で、もらえる税金ももらえないじゃないかって。また企業のためにやっているのか、また海外の企業のためにも動くのかという話になっちゃいますよ。それが海外企業であろうと国内のパチンコ・スロット関係企業であろうと、こんなやり方、こんな税金の使われ方に納得する人はいません。

税金を掛けない、皆さんの税負担なしで民間がやりますからとうたっておいて、もし先々戦略特区内でやることによってそのようなことになれば、これ一体どうなるんですか。もう一回やり直しできるんですか。できませんよね。じゃ、待ってください、この戦略特区で先々やりませんという担保、この法案の中にあるんですか。取りあえず突破してしまえば関係ない話なんですかね。

しかも、これが外資であれば、税控除を受けて安く事業がやれた上に、再投資もほとんどすることなく、日本人の富裕層からは大きく、そうでもない方々からはそれなりに資産を巻き上げる、国富の流出を税金まで使ってお手伝いをすることになる。これで納得するのは誰でしょう。予定地を地上げする不動産屋ですか。投資する人、ゼネコン、あとカジノの運営企業だけ。そのようなことの歯止めになる条文も入っていない、プログラム法だからといういつものせりふですかね。でも、それぐらい気を付けてやらなきゃいけないという話だと思うんです。

外資事業者は短期な利益を追求する傾向がある。その結果、公共性、周辺産業への波及効果は抑制される。超過利益の海外流出、つまり日本国内に再投資されないことは容易に想像できる。外資のカジノの運営関連会社などに対して日本を草刈り場として差し上げることにならないか、そのような問題点。

二〇一四年、都内で開催されたカジノの国際会議ジャパン・ゲーミング・コングレス、主な顧客は外国人観光客ではない、日本人の富裕層という内容のやり取りが行われていた。日本人富裕層の個人金融資産量を日本にできる推定カジノ数三から十で割る、海外に比べて、日本の一つのカジノ当たりの個人金融資産量は突出しているから日本のカジノは莫大な利益は確実、そのような宣伝が日本国内で行われている、余りにもおかしいじゃないですか。

IRでバラ色経済論を振りまくカジノ幻想の現実を見てみる、周辺はどうなっている。海外では、IRカジノではコンプというサービス、お客さん、カジノが囲い込んでいますよね。中に入ったら出ないんですよ。観光地の近くにとか日本のすばらしいところを見てもらおうといったって、このコンプという制度もある上に、その中から出ないんですよ。

コンプというのは英語のコンプリメンタリーの略、日本語にするとポイント優待サービス、IRのカジノやホテル、レジャー施設の中だけで使えるポイント制度。カジノでの賭け額の一定比率がポイントとして還元、そのポイントを使って宿泊、飲食、娯楽等が無料になったり、あるいは格安で利用できるようになる。

先日、参考人として来ていただいた鳥畑先生の論文によると、ニュージャージー州カジノ管理委員会のレポート、二〇一二年、アトランティックシティー内にある十二のカジノホテルの収入、五千百三十九万ドル、約六十億円、この収益のために使われたホテルのコンプ、実に二千七百五十八万ドル、約三十二億円、カジノホテルの収入の半分に匹敵する額に上っている。また、ラスベガスのストリップ地区、四十三のカジノで売上げの三〇%をコンプに費やしており、最終的には大赤字になっている。

結局、コンプのポイントサービスで多くの客がIR施設のホテルやレストランに囲い込まれて、周辺の商店、レストラン寂れていっているという現実がもうはっきりと分かっているのに、そして外に観光に出ていくなんてことがほとんどなくなっちゃうよ、中が楽しいんだもの、だって。時計もない、窓もない、そんなところで一日中やり続けるというような状況に人々が陥ったときに、観光も何もないじゃないですかと。しかも、周辺もそこまでおいしい思いできないよ、最初だけですよ。このようなことを推し進められていくなんて余りにもおかし過ぎる。

で、これ海外企業じゃなく国内企業だったらどうなんだって。セガサミーホールディングス、韓国カジノ最大手のパラダイスグループとの合弁で立ち上げる統合型リゾート、IR、二〇一七年五月開業を目指して既に建設中。日本の企業だったらまだいいか、そう思うかもしれない。けれども、このセガサミーの会長さん、里見治さん、安倍政権深いつながりがあると。セガサミー会長の娘さんの結婚式に総理やほかの閣僚がわざわざ出席されるほどの仲、こういったきずなでお友達人事的にカジノの運営決定される可能性否めませんよね。

そして、これはセガサミーに限った話だけではありません。パチンコ、スロットに関する企業がカジノの運営権を手に入れた場合、この委員会でも衆議院でも一番問題になったこの依存症の問題に対してちゃんとした規制ができますかと。その企業の母体の収益、すなわちパチンコ、スロットに関連する収益に影響するような規制が、ギャンブル依存症対策が、パチンコ、スロット規制が本当にできるのかと。依存症対策、進みにくくなる原因が生まれてくるんじゃないでしょうか。

ギャンブル商戦、ギャンブル依存症の方ははまるギャンブル、五割から六割がパチンコ、スロット。パチンコ、スロット絡みでないのは五%以下でしかありません。しかも、女性ではほぼ全例がパチンコ、スロット。ギャンブルされていないパチンコ、スロット、失礼しました、パチンコ、スロットのホール、全国のローソンよりも多い一万二千館、世界中にあるパチンコ、スロットの機器、七百二十万台中三分の二が日本にあるんだって、これ誰が作り出したんですかと、国ですよ、政治ですよって。で、それに対する依存症者がたくさんいると思われる。もう既に重症化している人たちたくさんいますよ。一度なったらなかなか抜けられない。大根がたくあんになるようなものだって、たくあんから大根には戻れないように、なかなかそこからまた元に戻るなんて大変な作業なんだと。それを国として野放しにするような状況でずっとそれをエスカレートさせていた現実があるじゃないかと。

カジノ解禁じゃないんだよと、IRがどうしたという話じゃないんだよ。まず目の前のここに対策しろという話だと思うんですよ。それが政治なんじゃないの。もちろん話の中にありますよ、そこになかなか対策費がつぎ込まれないから、だからこそこのIRをやりながら、そこから得た収益でやっていこうじゃないか、その考え方もあると思う。でも、まずIR、カジノと言う前に立ち止まるという考え方をしていただきたいんですよ。胴元が勝って商売が成り立つ、要は負けた人たち、この人たちを踏み付けながら経済成長していく企業やそして世界があるんだとしたら、それ地獄じゃないですか。世界中のカジノが寂れている原因、それなんじゃないですか。

ギャンブル、自殺との関係では、一年以内の自殺は一般の約十倍、生涯の自殺は一般の約四十倍にもなる、これらはほとんどマスコミが取り上げない。統計データがあるのに知らない人の方が多いだろうとギャンブル依存問題に詳しい医師は語ります。そして、このようにおっしゃいます。最後にこれを読ませてください。

もし日本でカジノが合法化されたら、もしカジノ法案が国会で可決成立し、カジノが合法化されれば、新たなギャンブル依存症が大量に発生することは確実である。カジノ推進派からは、カジノの収益からギャンブル依存症の治療施設を造り、その治療に当たればよいという意見が聞かれる。依存症になってしまった後、ギャンブルから離脱するために当事者とその家族などがどれほどの努力と労力と年月を必要とするかを全く理解していないとしか考えられない。

しかも、一旦依存症になれば、もうギャンブルに関するコントロール、取り戻すことはできない。推進派は、ギャンブル依存症が本人の人生ばかりか家庭をも破壊してしまうほど深刻な病であることを理解していない。そもそも、医療で現在最も重要な課題の一つとなっているのが病気を予防することである。人々が病気にならないための施策を考え実行するのが国を始めとする行政機関のすべきことであり、我々専門家の仕事である。

この法案に賛成する皆さんにお聞きしたい。依存症をつくり出さない最大の予防策とは何でしょうか。答えはもう簡単です。カジノ法案の廃案と、現在一番依存症を生み出しているパチンコ、スロットの規制です。

反対討論を終わります。
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書き起こし終わり

以上

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