福島第一原発の排気塔が倒壊の危機!倒壊すれば大量の放射性物質が放出・拡散される。

 10分以内に人間が死に至る放射線レベルとは、一体どのようなものでしょうか?具体的なイメージが湧く人は少ないでしょう。例えば、1999年に東海村のJCOで起きた臨界事故では作業者が被ばくし、下写真のような状態になりました。

写真(東海村臨界事故被害者)

 この被害者は被ばく後、急性放射線障害によって地獄の苦しみを味わいながら数か月後に亡くなられました。10分以内に死に至る放射能レベルは、これよりもはるかに危険なものです。

 このような危険な場所が、現在、日本に存在します。その一つが、福島第一原発の排気塔です。

写真(福島第一原発の排気塔)

 この排気塔は2011年3月の原発事故の際、原子炉格納容器の圧力を下げるベント(排気)で使用して汚染され、非常に強い放射線を放っています。高さ120mの排気塔は、根元部分で毎時25シーベルトの放射線を放っており、近くに人間がいれば10分以内に死亡します。そのため、原発事故以来、修理作業員は立ち入り禁止になっています。

 2011年3月の福島事故が起きる前は、鉄の腐食を防ぐために検査と再塗装を東京電力が定期的に実施していました。しかし今は誰も近づけないため、この排気塔は経年劣化で腐食し続けています。定期点検ができず、塗装効果が期待できない場合は、鋼材の寿命は数年です。しかも、排気筒の高さ66メートル地点にある支柱の鋼材接合部で、破断や変形が計8カ所確認されました。破断は事故の際の水素爆発で生じたようです。

写真(福島第一原発排気塔の損傷部分)

 原発事故以降も地震は頻発しており、この排気塔は倒壊の危険性が高いのです。しかし、線量が高すぎるため作業員が近づけず、補強などの必要な緊急対策を行うことすらできません。

 東京電力は排気筒の強度について「東日本大震災と同程度の地震(震度6強)でも倒れない」と言っていますが、今時、このコメントを真に受ける人はいないでしょう。支柱が破断して倒壊する危険があるため、原子力規制委員会から解体を求める意見が出ています。当然です。しかし、どのような方法で解体作業をするのでしょうか?

 東京電力によると、非常に強い放射線を放っているため、遠くから大型クレーンなどを使って解体するそうです。2018年度から上半分の解体に着手し、2019年度までに終わらせるという東電の計画が仮に実行可能だとしても、解体工事中に倒壊事故が起きて内部の放射性物質が大量放出・拡散しない保証はありません。

 このような状況でもあるにもかかわらず、2016年11月18日、13人の高校生がマスクもせずに福島第一原発の現場をバスで2時間見学しました。顧問の教諭は「生徒らは自分たちのふるさとの復興を進めるため、何かできないかと活動してきた。今日見たものがさらなる原動力になるはず」と述べてますが、無知とは怖いものです。

写真(福島第一原発の構内を見学する高校生) 出典:朝日新聞

 安倍総理は、東京オリンピック招致活動のために、「福島原発はコントロールされている状態だ」と言いましたが、信用してはなりません。

 大手マスコミは上辺だけの復興の演出を手伝うのではなく、生命の危機に直結する情報を積極的に流してほしいものです。

以上

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