イギリス:ガーディアン紙の記事紹介
イギリスのガーディアン紙が2017年2月3日付の記事で、福島原発事故現場における高線量の実態を報道しました。
以下にリンクを貼ります。
Fukushima nuclear reactor radiation at highest level since 2011 meltdown
このガーディアンの記事では、2011年3月のメルトダウン事故発生以来、確認された空間線量最大値が更新されたと報道しています。
毎時530シーベルトと聞いてピンとこない人は下図を参照してください。
毎時530シーベルトは、すぐそばに人が居たら1分もしないうちに死に至る危険な状況です。
高線量箇所が見つかった場所のイメージ図を下に貼ります。
福島原発の廃炉は40年で完了するか?
ガーディアンの記事によると、東京電力は事故を起こした原発の廃炉には約40年かかると言っているようですが、現実味がない数字と言わざるを得ません。
人間が近づいて作業できるレベルまで線量が下がるには何百年、何千年かかるか分かりません。
人間の代わりにロボットが作業すればいいのかもしれませんが、そんな技術を実現する目途は経っていません。
記事によると、東京電力は下写真のようなサソリ型ロボットを遠隔操作して、事故原発の圧力容器内を調査する意向ですが、電子部品で構成されているため1000シーベルトの被ばく線量が限度なのです。
今回発見された毎時530シーベルトの環境下では、2時間したら故障してしまうことになります。
実は、あまりの高線量のため、現場の詳細調査すらままならず、福島原発事故から6年近くが経った現在でも現場の状況を正確に把握できていないのです。
状況が分からなければ具体的な対応策や実行計画やスケジュールを検討することもできません。
東京電力が発表する廃炉見通しは、単なる願望だと思った方がいいでしょう。
溶融核燃料は原子炉建屋の外に出てないか?
2011年3月の事故で冷却システムが使えなくなった福島原発では核燃料が溶融し、それが圧力容器を貫通しました。
その溶融核燃料と思われる物質の写真が下です。
ガーディアン記事によると、「放射性物質は原子炉建屋の外には漏れてない」と東京電力は主張しています。
状況が良く分かっておらず調査が必要と言っておきながら、漏れていないと断言できるのはナゼでしょうか?
原形をとどめない核燃料がメルトアウトし、地下水脈に到達している可能性は極めて高いと考えた方が良いでしょう。
危険な溶融核燃料を安全に取り出し保管し、事故原発を安全に解体し、更地にするにはどうすればいいのか、誰にもわかりません。
人類が経験したことがない、前人未到の領域だと言わざるを得ないのです。
福島原発事故の処理にかかる費用は誰が負担する?
2016年12月、日本政府は、福島原発事故処理にかかる費用を再度算出し直しました。
廃炉、周辺地域の除染、賠償、そして放射性廃棄物の保管など、トータルで21.5兆円かかると発表しました。
2013年当時の目論値から倍増しているのです。
健康被害も含め悲惨な状況が今後ますます明らかになるにつれ、必要な金額がドンドン膨張することは間違いありません。
原発事故に無関心で、疑うことを知らない素直な国民たちは、税金や電気料金で後始末費用を支払わされても文句を言わないでしょう。
原発マフィアは、国民を舐めきっています。
奴隷は搾取の対象ですから。
この記事を読んでいる人たちが生きている間に、福島原発事故の後始末が終了することはありません。
まだ、生まれてもいない後の世代が、負の遺産を背負うことになります。
遠い将来、後の世代が歴史書を編纂する時、我々世代の行為をどのように記述するでしょうか?
少なくとも、「有能な総理大臣が美しい日本を我々に残してくれた」とは書いてくれないでしょうね。
最後に:
2023年現在、福島原発事故に伴い発令された原子力緊急事態宣言は、未だに解除されていません。
深刻な事故は、現在進行形で続いており、状況の把握すらままならない。
それなのに、原発使用期間の60年への延長をしようとしたり、新規増設を目論むなど、原発マフィアの暴走は止まりません。
原子力発電所をはじめ、あらゆる分野で同じ失敗を繰り返すことが当たり前になっています。
当然、暮らしにくさは改善されず、自然と人口が減る結果になるのです。
おそらく、日本という国家が22世紀を迎えられることはないと思いますし、今世紀中に福島原発の廃炉が完了することもないでしょう。
原発という不合理なものを作り、取り返しのつかない事故を起こし、そこから学ぶことが出来ない愚かな人間。
そんな人間の存在を自然界は許さないでしょうから、遠くない将来淘汰される運命にある、と私は考えています。
以上