テレビ芸人の顔黒塗り問題に対する日本人の反応が冷たいのはナゼか?

 お正月のテレビ番組で放送されたこの映像が、世界中で物議を醸している。この芸人は顔を黒く塗ることで、アメリカの有名俳優を真似たそうだ。日本人の典型的な反応は次の通り。

「海外の人は過剰反応し過ぎなんだよ」
「人種差別の意図はない」
「日本人だけで楽しんでるんだ。干渉するな」

 しかし、世界は違う見方をしている。

「日本人に人種差別の意図があるかどうかは問題ではない」
「黒塗り顔は、長い歴史の中で人種差別とみなされるようになった」
「ブラックフェイスを見ると、自分が軽んじられているように感じる人が大勢いる」
「ブラックフェイスを登場させたいならば、本物の黒人俳優を使えばよい」
「金髪や高い付け鼻などによる白人の真似もNG。ステレオタイプを不愉快に感じる白人は多い」
「日本は世界中から注目されており、2020年には東京オリンピックも開かれる。そこで非常識な演出がされないか心配だ」

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 要は、自分ではない他者の視点を取り入れられるか、他者の気持ちに共感できるか、ということがポイントなのだ。日本人には、自分と異なる考えを許容する心の余裕に乏しいのではないか?

 ご存知の通り、日本の教育は問答無用の上意下達方式であり、上の言うことに素直に従う訓練が最も重視される。個人の尊厳を踏み潰された鬱憤は、当然のことながら自分よりも弱い存在に向けられる。学校や職場でのいじめは、陰惨極まりない。日本人は、いつからこんな蛮族になったのか?

 儲けは大企業が独占し、社員に分配しようとしない。消費税などで庶民から搾り取って、豊かな者へ配分するという最低な政策を行っている。親分であるアメリカ様の言うがままに高額のポンコツ兵器を大量に購入する一方で、不十分な生活保護費をさらに削減する。政治家による明確な弱者いじめである。これで暴動が起こらないのが不思議だ。いくら何でも、想像力が無さすぎないか?

 日本では、「自力で生活できない人を政府は助けるべきではない」という考えに同意する人がとても多い。あのアメリカよりも多いという異常さだ。

 日本には、自分の目先の損得勘定しか興味がない人間がいかに多いか解るだろう。

「弱者のことなんて知ったこっちゃない!」
「自己責任だ!」

 こんな空気が蔓延したら暮らしにくい社会になるのは当たり前だし、庶民は結束できずバラバラになる。他者の気持ちや立場に無関心ということは、社会や政治への無関心にもつながる。権力層への批判が弱くなるので統治権力にとっては好都合だろう。

 こんな国のこんな国民たちは、こういう人物を長期間、内閣総理大臣として認めてきた。

写真(秋葉原の街頭演説で微笑む安倍総理) 出典:ロイター

 この人物が進めている憲法改正は、個人として尊重されることを否定する内容だ。他者への想像力を欠く人間は、自分の尊厳にも無関心なのである。奴隷根性が染みついた者が悪徳政治家のたくらみに気付くことはできまい。

 ブラックフェイス問題に対する日本人の冷たい反応と、憲法改正などの不穏な動きは一見、無関係に思えるかもしれない。しかし、根っこではしっかりとつながっているのだ。物事の表層ではなく、本質的なところに目を向けることが大切だと改めて感じる。

以上

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