【東京電力元幹部3人を強制起訴】世界中が注目する裁判で事実の詳細を明らかにせよ

写真(強制起訴される東京電力元幹部3人)

写真(強制起訴される東京電力元幹部3人)

 福島第一原子力発電所の事故を巡って、検察審査会に「起訴すべき」と議決された東京電力の元幹部3人が、業務上過失致死傷の罪で強制起訴されました。今後の裁判では、原発事故を引き起こすような巨大な津波を事前に予測することが可能だったかどうかが最大の争点になります。

 東京電力元会長の勝俣恒久被告(75)、元副社長の武黒一郎被告(69)、元副社長の武藤栄被告(65)の3人は、福島第一原発が津波で浸水する可能性について予測できたはずなのに適切な措置を取らなかったとして、業務上過失致死傷の罪に問われています。

 原子力利権集団の力があまりに強大なため、大手マスコミをはじめ調査報道がほとんどありません。国民の関心も薄れる一方です。

 原子力村内部の癒着を表す相関図を以下に示します。拡大したい場合は図をクリックして下さい。+(プラス)マークの虫眼鏡が表示されたら、それで再度クリックします。

出典:原子力村の住民一覧

出典:原子力村の住民一覧

 3人の被告人たちは全員無罪を主張する見込みです。彼らの見苦しい言い訳ばかりが取り上げられており、辟易していると思います。

 そこで今回は、福島原発告訴団の主張を紹介したいと思います。

参照リンク:
「福島原発告訴団」

 まずは、福島原発告訴団の告訴宣言から一部引用します。

引用始め
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福島原発事故は、すでに日本の歴史上最大の企業犯罪となり、福島をはじめとする人々の生命・健康・財産に重大な被害を及ぼしました。原発に近い浜通りでは、原発事故のため救出活動ができないまま津波で亡くなった人、病院や福祉施設から避難する途中で亡くなった人、農業が壊滅し、悲観してみずから命を絶った農民がいます。

このような事態を招いた責任は、「政・官・財・学・報」によって構成された腐敗と無責任の構造の中にあります。とりわけ、原発の危険を訴える市民の声を黙殺し、安全対策を全くしないまま、未曾有の事故が起きてなお「想定外の津波」のせいにして責任を逃れようとする東京電力、形だけのおざなりな「安全」審査で電力会社の無責任体制に加担してきた政府、そして住民の苦悩にまともに向き合わずに健康被害を過小評価し、被害者の自己責任に転嫁しようと動いている学者たちの責任は重大です。それにもかかわらず、政府も東京電力も、根拠なく「安全」を吹聴した学者たちも誰一人処罰されるどころか捜査すら始まる気配がありません。日本が本当に法治国家かどうか、多くの人々が疑いを抱いています。

生命や財産、日常生活、そして「健康で文化的な最低限度の生活」さえ奪われた今、すべての人々がそれを奪った者への怒りを込めて、彼らの責任を追及し、その罪を認めさせなければなりません。そのために、最も深刻な被害を受けている福島でまず私たちが立ち上がり、行動しなければなりません。告訴団を結成した理由もここにあります。
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引用終り

 また、福島原発告訴団は、検察審査会への上申書の中で、強制起訴の理論的根拠として次の4項目を挙げています。

1)電力会社の高い注意義務を認めた。
2)まれな自然現象も考慮しなければならない。
3)原子炉が浸水すれば致命的であることはわかっていた。
4)東電役員被疑者らには具体的な予見可能性があった。

参照リンク:
20150925 上申書_第一検審_(3)第五検審議決の論理

 初公判は来年以降になる見込みですが、裁判の行方は予断を許しません。憲法を平気で蹂躙する安倍政権の元、三権分立が揺らいでいるため、裁判官が政権の圧力に屈しないか心配です。隠ぺいされてきた沢山の事実が裁判を通じて明らかにされることを期待しています。

 この裁判は、多くの海外メディアも注目しています。記事リンクの一部を以下に紹介します。( )内は私の邦訳です。

CNN:
「Former TEPCO bosses indicted over Fukushima meltdown」(東電の元幹部が福島原発メルトダウンの責任を問われ起訴される)

ABC News:
「3 Ex-Execs of Utility Charged in Fukushima Disaster」(東電の元幹部3人が福島原発事故を巡って起訴される)

BBC News:
「Fukushima disaster: Ex-Tepco executives charged with negligence」(福島原発事故:東電元幹部が業務上過失で起訴される)

The Express Tribune:
「Former TEPCO bosses indicted over Fukushima disaster」(東電の元幹部が福島原発事故を巡って起訴される)

the guardian(ガーディアン):
「Former Tepco bosses charged over Fukushima meltdown」(東電の元幹部が福島原発メルトダウンの責任を問われ起訴される)

REUTERS(ロイター通信):
「Former Tepco execs indicted over Fukushima nuclear disaster」(東電の元幹部が福島原発事故を巡って起訴される)

 福島原発事故により、世界中の人々が大迷惑をこうむっています。そのせいで、この裁判は世界から注目されているんですね。

 もしも、事実の追及が中途半端だったり、原子力利権集団側に寛容な態度をとったら、世界に対して恥の上塗りをすることになるでしょう。

 政治家の動きも含め、みんなで目を光らせる必要がある思います。

以上

コメント

  1. 古舘 茂 より:

    東京電力の3名の裁判は当然です。
    しかし当時の原子力保安委員会のメンバーは、今、何処で、何をして居るのですか?。
    「大津波が来る可能性があります。」と言う意見に、「寝た子を起こすような事を言うな。」と、怒鳴った人の事です。
    全員、首になっていればいいのですが、何処かに天下ってひっそりと暮らしているのなら、テレビカメラの前に、引っ張り出して、当時又は現在どんな気持ちで給料を、受け取っているのか聞きたい。

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