ふがいない民主党に期待してはいけない。日本共産党が中心となって、無党派層の関心を呼び起こせ。

 憲法違反の安保法制を安倍政権が強引に成立させる過程で、日本は実質無法国家になってしまいました。政治的な議論をする枠組み・土台が壊されてしまったのです。安保法制を廃止し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を撤回するには、安倍政権を引きずりおろさねばなりません。そのため日本共産党は、次の国政選挙で野党共闘をするよう呼びかけをしています。

 2016年夏の参議院選挙における民主党と共産党の選挙協力に関して、産経新聞が2016年1月15日付の記事を書いています。下記リンク先の記事を読んでみました。

民主vs共産 参院選協力に破談の兆し 協議すら入れず…連合会長は「共産排除」明言 いらだつ志位委員長

 要点をまとめると次のようになります。

・民主党:岡田代表の考え:
「共産党と協議する気は全くない。」
「共産党は候補者擁立を自主的に断念しろ。」
「共産党から応援を受けようものなら、既存の大切な民主党支持者を失ってしまう。」

・民主党の強力な支持団体である連合の神津会長の考え:
 「共産党が勝手に民主党の候補者を応援するのは構わない。」
 「しかし、共産党と協力することは許さない。」

・共産党の志位氏は、14日の記者会見で、「(候補者の)一本化を本気でやるならば、真剣な協議としっかりとした合意が必要だ。協議抜きの一本化はできない」と強調した。

 安倍政権の応援団を自認している産経新聞は、共産党と民主党は破談状態であると報じています。小躍りして喜んでいる様子が目に浮かびます。

 野党が共闘し国民連合政府(仮称)を実現するために、日本共産党の志位委員長は他の野党に対して様々な譲歩を行っています。

①国民連合政府が実現した場合、共産党として閣僚ポストを要求することを条件にしない。
②日米安保条約に関わる問題は凍結し、これまでの条約と法律の枠内で対応する。
③日米安保条約第5条では、日本に対する武力攻撃が発生した場合には(日米が)共同対処をするということが述べられている。日本有事の際には、連合政府として、この条約にもとづいて対応することとする。
④日本に対する急迫・不正の主権侵害など、必要にせまられた場合には、改悪前の自衛隊法にもとづいて自衛隊を活用することとする。
⑤民主党の前原誠司議員からシロアリ呼ばわりされても、反論を控えた。

 共産党にとって上記①~⑤は、かなりの譲歩といえます。安倍政権を引きずり降ろし、安保法制を廃止し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を撤回するという目的を何が何でも達成したい・・・ 志位委員長の並々ならぬ情熱を感じます。

 しかし、志位委員長がこれだけの譲歩をする価値が民主党にあるのかどうか、大いに疑問です。理由を以下に述べます。

1)集団的自衛権一つとってみても、党内の見解がバラバラである。

写真(安保法制に関して民主党内で意見が割れている) 出典:朝日新聞

写真(安保法制に関して民主党内で意見が割れている) 出典:朝日新聞

2)幹部クラスの人間が日本会議の考えに賛同している。
 「日本会議に賛同しながら戦争法に反対?言葉や行動に一貫性がない国会議員たち」

3)安倍政権の暴走を止めようという熱意に欠け、国会での追及が甘い。
https://www.youtube.com/watch?v=TmqQ6QNyyOo

4)連合のような御用組合集団に操られ、権力とは無縁の一般庶民の声にはあまり耳を傾けない。(連合は実質、経団連と運命共同体です)

5)地方選では、自民党と相乗りしている。→支離滅裂で信じがたい。

6)岡田代表のような苦労知らずのボンボンを代表に選んでいる。(岡田氏はイオングループ創業者の御曹司)→修羅場に弱く、決断力がないのも頷けます。

 民主党は野党第一党ですが、反安倍政権に賛同する多くの市民の期待に応えるだけの実力・熱意を持っていません。維新の党は、安倍自民党と親和性があり、第二自民党と呼んでも差し支えない体質です。党首の松野頼久さんは日本会議への賛同者です。

 安保法制(=戦争法)に対して危機感を持つような善良な市民は、民主党や維新の党に期待してはいけないと思います。現状では、日本共産党が野党の中心になって、夏の参議院選挙対策を進めるべきです。

 シロアリ呼ばわりされても、じっと我慢するのは間違っています。民主党にそれだけの利用価値はありません。共産党が最近になって発揮し始めた柔軟性は素晴らしいと思いますが、志位さんらしく毅然とした態度は保つべきです。そのうえで、何千万人という無党派層に対してアピールするために知恵を絞って頂きたい。無党派層の関心を呼び起こし投票率がアップすれば、野党が複数人立候補しても共倒れにはなりにくくなります。元々、自民党は大した得票率ではありませんので。

図(2014年の衆院選における自民党獲得票数と棄権者数の比較) 出典:数値は総務省集計データ通りだが、図自体の出典は不明

図(2014年の衆院選における自民党獲得票数と棄権者数の比較) 出典:数値は総務省集計データ通りだが、図自体の出典は不明

 今日の政治的危機を招いたのは安倍自民党ですが、最大の原因は約半数の棄権者です。棄権者という政治的無関心層が愚かな政治家を生み、その暴走を許しているのです。安保法制への危機感を訴えるだけでは無関心層のほとんどは目を覚まさないでしょう。もっと、生活に直結した問題を取り上げながら、一人でも多くの有権者に振り向いてもらえる方法を考えてほしいと思います。

参考リンク:
【ふざけてる?】「生活の党と山本太郎となかまたち」という政党名について考える。

以上

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