「黒いカラスを黒」と言ってしまい、権力と対峙することになった前川さん。彼を守るためには、どうしたらいいか?

 ファシズムの初期症候の中に、「身びいきの横行と腐敗」という項目がある。

図(ファシズムの初期症候)
出典:ローレンス・W・ブリット起草/米国・ホロコースト博物館展示パネルより

 政界を揺るがす森友学園・加計学園問題は、まさに、身内への利益誘導、国家の私物化に他ならない。

1)加計学園問題とは?
 加計学園問題とは、ある大学の獣医学部新設を巡り、首相官邸が権力を盾に取り、各省庁に対して、ごり押しを行っていた疑惑である。

 安倍総理の「腹心の友」である加計孝太郎氏が代表を務める加計学園。その学校法人が愛媛県今治市に新たな獣医学部を新設したいと考えた。しかし、馬・牛・犬・猫などは減りつつあり、獣医師は不足しておらず、文部科学省が認可を出す状況にはなかったのである。

 にもかかわらず、「官邸の最高レベルが言っていること」、「これは総理のご意向」などの文言を内閣府が用いて、認可を急ぐよう文部科学省へ催促していたことが判明した。官邸の圧力を裏付ける内部文書の存在が明らかになったのだ。

 「総理のご意向」によって、認可されるべきではない獣医学部の新設が、政治の力を背景にごり押しされる。しかも、許認可を申請しているのは首相の「腹心の友」だ。「総理のご意向」を理由に行政が歪められている状況は、まさしく権力の腐敗であり、ファシズムの一端を象徴している。有権者が政治に無関心で、お任せ民主主義が横行していると、「政治主導」は権力者の暴走を招くのだ。

 特に加計学園のケースは、土地の取得や助成金などで愛媛県や今治市から133億円の税金が拠出されることになっている。しかも、大学は一度認可されれば毎年、私学助成金の名目で多額の税金が投入されることになる。安倍総理のお友達のために、何十年にも渡って、合計いくらの税金が無駄遣いされることになるのだろうか?全国民が詳細な経緯に関心を持つのは当然のことだ。

写真(男たちの悪だくみ) 出典:安倍昭恵氏のフェースブックより

2)事実を明らかにした前事務次官の前川氏
 2017年1月に天下り問題の責任を取る形で文部科学省の事務次官を辞任した前川氏の主張を様々なメディアから抽出し、以下にピックアップした。

・文部科学省内の関係者は全員、証拠となる圧力文書の存在を知っている。しかし、官邸の意を汲んで虚偽の報告をしたのだ。
・「存在は確認できなかった」という虚偽回答を文科省が行った。これが、今回証言しようと決心したきっかけだ。
・あるものをないことにはできない。露骨に行政が歪められている状況を、見て見ぬふりはできない。
・大学の設置認可を安易に行うと、何十年に渡って国民の税金を浪費することにつながる。
・自分が、強大な権力に歯向かうヒーローのように描かれたくない。私は、行政の意思決定の過程がおかしいという事実を指摘したに過ぎない。「安倍政権打倒!」なんてことは一言も言ってない。
・退職した立場の私は証言できても、現職の後輩官僚たちが証言するのは難しいだろう。
・行政官僚というものは表では政治を立てつつ、自分たちに与えられた権限の範囲内で、国民のためになる政策を実行する「面従腹背」の精神が必要だ。官僚は、国民から選挙で選ばれた政治家を尊重しなければならないが、身も心も売り渡してはならない。

参考ビデオリンク:

写真(記者会見する前川氏) 出典:中日新聞

3)追い詰められた政権側が考えていることは、前川氏の逮捕・口封じ
 前川氏の証言は、当たり前の事実を指摘したに過ぎないが、政権に与えるダメージは計り知れない。保守的な官僚機構の出身者が、政権の意向を忖度しない発言をするのは極めて異例だ。キャリア何十年という新聞記者でも前代未聞という表現を使っている位だ。

 記者会見での菅官房長官は追い詰められ、冷静さを失い、前川氏の人格攻撃を行うしかなくなってしまった。政権側としては、一刻も早く前川氏の口封じをしなければならない。権力の犬と化した警察に命令して、前川氏を逮捕するタイミングを伺っているだろう。

 政府の広報誌と化したマスコミを使い、ターゲットをスキャンダルまみれにしている。事実かどうかなんてことはどうでもいい。政治に無関心な愚民が下ネタに反応し、ヤツは悪人だという雰囲気を醸成すればいいのだ。加計学園問題の関心が薄れたところでお縄にして、社会的生命を絶ってしまえばいい。米軍との密約をスッパ抜き、総理大臣を激怒させた新聞記者が逮捕された事例が過去にもある。「問題のすり替え」や「でっち上げ」という悪魔のノウハウは、今でも健在だ。

4)前川氏を守り、真実を守り、政権を追い詰めるにはどうしたらいいか?
 暴走した安倍政権は、証拠隠滅のために手段を選ばない。前川氏の逮捕を防ぐには、多くの国民が関心を持ち続けるしかない。でっち上げのスキャンダルに関心を持つのではなく、国家の私物化という権力者の犯罪に関心を持ち続け、声を上げ続けることだ。権力の監視役を放棄した御用マスコミの姿勢を批判しなければならない。政府は、国民を愚か者とみなし、バカにしているのだ。

写真(安倍総理と世耕弘成内閣官房副長官) 出典:自由民主党 参議院議員 世耕弘成オフィシャルサイト

 共謀罪の導入により戦前の暗黒社会を再現したくないならば、国民は、「お任せ民主主義」などという安易な姿勢を改めねばならない。

追加情報:
 前川氏の人柄や素性の一端を示す、下記ブログ記事を見つけた。これを読めば、前川氏の人格を批判する資格は、安倍内閣の誰にもないことが分かるだろう。賛同して頂けたら、是非、拡散して頂きたい。

キッズドア 渡辺由美子 オフィシャルブログ:【「あったものをなかったものにできない。」からもらった勇気】

以上

タイトルとURLをコピーしました