安倍総理大臣の解散選挙記者会見は、このように理解すべし!

 2017年9月25日、安倍総理は衆議院の解散選挙に先立ち、記者会見を行いました。会見内容の全文は、下記リンク先をご覧ください。

2017年9月25日 安倍内閣総理大臣記者会見

 任期満了を待たずに急な解散選挙をする以上、有権者を納得させる理由が必要です。その理由を安倍さんは2つ述べています。要約すると・・・

1)消費税を今後10%に引き上げた増収分のうち、五分の一を社会保障に当てる予定だったが、その割合を増やしたい。

2)北朝鮮へ「毅然とした」対応をしている自分を頼もしいリーダーとして認めて欲しい。

 これらが衆議院解散選挙をする理由だそうです。あなたは納得できますか?共同通信の調査では64%が解散反対だそうです。(賛成は23%)

 そもそも消費税のアップ分は、全額社会保障に使うことが決まっています。

消費税を8%に上げたときの政府広報

 一部しか社会保障に回していない現状がおかしいし、公約違反です。「約束と異なる新しい判断」というウソをついてはいけません。少子高齢化対策に使う金額を増やしたいという考えは、改めて国民に信を問う事柄ではありません。わざわざ政治空白を作り、数百億円をかけて選挙をする理由になりません。本当に少子高齢化対策をしたいなら、安定多数を確保している現体制で遠慮なく実行すればよろしい。奨学金に苦しんでいる若者たちは、高等教育の無償化を歓迎するでしょう。憲法を改正する必要もありません。総理のやる気次第なのです。海外に何十兆円も無駄金をばら撒くのをやめて、予算をねん出すべきです。やらないのは、やる気がないからです。

 そもそも消費税自体、逆進性が大きく、弱者いじめの税制です。弱い所から搾り取って社会保障対策に当てるという考えが間違っています。内部留保を400兆円以上溜め込んでいる大企業から徴収し、再配分するのが正しい方法です。

図:大企業の内部留保額の推移(2016年度まで) 出典:赤旗

 2)の北朝鮮対応についても、解散選挙をする理由にはなりません。安倍さんの会見を何度聞いても意味不明です。

 安倍総理は、北朝鮮のミサイルが日本を狙っていると主張していますが、恐怖を煽っている最中に総理本人が花見やゴルフを楽しみ、原発再稼働を進めているのですから説得力がありません。

写真(北朝鮮の危機を煽る一方で、喜び組と花見を楽しむ安倍総理夫妻) 出典:朝日新聞

 それでも、Jアラートでダンゴ虫ポーズをさせて、「対話よりも圧力」というキャンペーンは功を奏し、内閣支持率アップにつながっています。その意味で、安倍総理にとって北朝鮮は非常に有難い存在です。成功している従来のプロパガンダをそのまま続ければいいと思うのですが、わざわざ解散選挙をする理由は何でしょうか?自分のやっていることに自信がないのでしょうか?国民の中には「圧力や挑発よりも対話を!」と主張する人がいますが、少数派なのですから恐れる理由はないはずです。

 以上述べた通り、1)の消費税使い道変更も、2)の北朝鮮対応も、解散選挙を行う理由にはなりません。選挙を有利に進めるためのリップサービスに過ぎません。では、安倍総理がこの時期にどうしても解散選挙をしたい本当の理由は何でしょうか?それは、臨時国会で森友・加計学園問題の追及を避けるためです。

 2017年6月以降、安倍総理は、野党側からの臨時国会開催要求を無視し続けてきました。この憲法違反行為をした理由は、森友・加計学園問題の追及を避けるためです。それ以前の国会開催中には、森友・加計学園問題の追及を受け、マスコミも報道しために、内閣支持率が大幅に低下しました。2017年9月末から始まる臨時国会に出席したら、再び追及を受け、北朝鮮キャンペーンで盛り返した支持率が再び下がってしまいます。支持率が低いときに選挙をしたら、惨敗することは確実なので、解散することも出来なくなってしまいます。だから、所信表明演説も代表質問もせずに冒頭解散するしかないのです。

 2007年、安倍総理は内閣支持率が30%を切ったところで退陣表明を行い、仕事を投げ出しました。所信表明のわずか2日後のことです。この時の悪夢を再現したくないので、安倍さんは常に支持率のことで頭が一杯です。内閣支持率を上げること自体が目的化した政治家というのも哀れなものです。

 安倍さんは記者会見の中で、森友・加計学園問題に触れています。「選挙は論戦の場なのだから、野党は選挙中に批判すればいい」という趣旨のことを述べています。つまり、選挙に勝てば信任を受けたことになるので、以後、森友・加計学園問題の質問は受け付けないということでしょう。

 そして、選挙の勝敗ラインについては、自民+公明で過半数の233議席だと述べています。325議席から90議席減らしてもOKとは随分と甘い目標ですね。勝敗ラインを低くしておけば、議席数を減らしても、退陣論が自民党内から出てくるのを抑えられますし、「とにかく勝ったんだから、みそぎは済んだ」と野党に言い訳をし易くなります。姑息なことばかり考えているのが良く分かりますね。

 会見の中で安倍総理は、小池百合子氏が立ち上げた希望の党について、好意的な感想を述べています。核武装・憲法改正・靖国参拝・歴史改竄など、反動右翼同士、価値観を共有しているのですから当然です。自民党が議席を減らしても、希望の党が批判票の受け皿となり議席を確保すれば、自民党と連立して政治運営をすることも可能になります。安倍さんにとっては憲法改正が最大の関心事なので、維新の党も含めた改憲勢力で三分の二を確保できればOKなのです。

 今回の記者会見では、憲法改正については何一つ触れていませんでした。しかし、自民党の公約の目立たないところに潜り込ませることは間違いありません。そして、選挙で多数派を確保した後は、社会保障や教育のことなどそっちのけで改憲に邁進し、戦前回帰の野望を成し遂げようとするでしょう。下写真のように前科がありますから。

憲法改正の公約が支離滅裂の安倍総理

 会見の最後の方で安倍総理は、「少子高齢化、緊迫する北朝鮮情勢。まさに国難とも呼ぶべき事態に、強いリーダーシップを発揮する。自らが先頭に立って、国難に立ち向かっていく。これが、トップである私の責任であり、総理大臣としての私の使命であります。・・・この解散は国難突破解散であります」と述べました。

写真(国難突破解散を表明する安倍総理)

 大企業ばかりを太らせ、格差を拡大し、子育てしにくい世の中にしたのは、安倍自民党です。北朝鮮を挑発して、ワザと危機を作り出しているのも安倍自民党です。安倍さん自身が国難の原因なのです。国難を突破するための一番確実な方法は、安倍内閣の退陣であることは間違いありません。

以上

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