大企業の内部留保が膨れ上がっているのに社会が劣化しているのはナゼか?

 2017年9月1日、財務省は2016年度の法人企業統計を発表しました。その結果、大企業(金融・保険業を含む、資本金10億円以上)の内部留保が、はじめて400兆円を超えたことが判明しました。

図:大企業の内部留保額の推移(2016年度まで) 出典:赤旗

 アベノミクス(安倍政権下での経済政策)が成功した一例と言えましょう。恩恵にあずかった大企業経営者たちは、今頃ホクホク顔でしょう。政治献金額を増やした甲斐がありましたね。

写真(2014年:自民党へ献金した企業・団体トップ20) 出典:朝日新聞

 安倍政権は、「企業の税負担を減らせば、設備投資や賃金は増える」などと言って、法人実効税率を引き下げ、政権発足時の37.0%から2016年度は29.97%へ引き下げました。その他の優遇税制は数え切れず、実質法人税を払ってない企業も多いのです。

利益を出しても法人税を払わないトヨタ 出典:赤旗

 利益を溜め込んでばかりで税金を払わないため、各企業の内部留保額は膨大な金額になっています。

図:上場企業内部留保額ランキング  出典:日刊ゲンダイ

 その一方、肝心の従業員給与は伸び悩んでいます。

図(企業の内部留保と従業員給与の推移) 出典:東京新聞

 物価上昇を考慮すると、従業員の実質可処分所得は低下傾向にあります。労働組合が弱く、従業員個人個人が自己主張をしない風土も、企業経営者を増長させる原因になっています。

出典(赤旗)

 各種税金や保険料、医療費負担、電気代など公共料金の増加も、庶民の家計には痛いものです。さらに、非正規写真の比率も高まっています。

非正規労働者の増加 出典:赤旗

図(年齢階層別平均年収) 出典:赤旗

 その結果、しわ寄せは特に若い世代に行き、20代で貯蓄ゼロの割合が劇的に増えました。

 教育に金をかけたがらないドケチ国家として有名な日本では、奨学金という名のサラ金が若者世代を苦しめています。こんな状態で、一般庶民の消費が増える訳がありません。減る一方です。結婚、子育て、住宅・車購入・・・、すべてに響くのです。

 消費が減って困るのは企業側です。税収も減りますので国も困るでしょう。自業自得です。目先の損得勘定しか考えてないから、こうなるのです。

 税金というのは応分負担が原則です。収入・財産が多い人・企業にたくさん払ってもらわねばなりません。様々な社会資本を利用して儲けている訳ですから、税金を払うのは当然です。しかし、悪徳富裕層たちは税金逃れの方法に悪知恵を絞っています。

図(租税回避の仕組み)出典:朝日新聞

図(世界のタックスヘイブン)

 全世界で、何千兆円というお金が法の網をかいくぐっているか見当もつきません。社会資本へのタダ乗りを許してはなりません。放置しておくと貧富の格差がますます拡大し、人間社会が根本的に存続不可能になります。

 話を戻しましょう。経団連に所属するような大企業経営者たちは、安倍政権と癒着してうまい汁をすすり、喜んでいるのかもしれません。しかし、それは近視眼的な愚行であり、自らの首を絞めるものです。

 今こそ、哲学が必要な時代はないのではないでしょうか。

以上

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