【ホームレスへの一斉弾圧が全米で開始される】ホームレスを排除・抹殺すれば貧富の格差問題が解決するのか?

写真(寒さに凍えるホームレス:アメリカ)

 1%による99%の搾取がひどいため、貧富の格差が極限まで進行したアメリカ。病院で治療を受けただけで破産してしまうなど、もはや、安心して暮らすことが不可能になってしまったアメリカ。かつては存在した分厚い中間層が総崩れして下流化し、多くの人が貧困にあえいでいるアメリカ。当然の帰結として、大量のホームレスを生んでいるのですが、そのアメリカで、政府当局によるホームレス排除・抹殺作戦が開始されました。

 下に関連記事のリンクを貼ります。

America Has Unofficially Declared War on the Homeless

 上記リンク先の邦訳を以下に記します。

邦訳始め
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全米で、警察当局によるホームレスへの取り締まりが強化されている。コートや毛布を奪い取り、路上生活者たちは寒さや雨から身を守るすべがなくなっている。

サンディエゴ市に雇われた作業者によってホームレス野営地が一掃されている様子がビデオに撮影され、それがMichael McConnellさんのフェースブックページに最近掲載された。「繁華街のホームレスを抹殺していくために1週間に一回定期的に実施している作業であり、事前にお知らせを掲示している、というのが市当局のコメントだ。」

デンバー市の警察官たちが、ホームレスから毛布・寝袋・テントを没収している様子がビデオに撮影されてしまい、警察当局は弁解の文書を公開する羽目になった。警官たちは、ホームレスたちが法律違反を犯した証拠として物品を取り上げており、気温が零下の状況下でも容赦なく執行された。

ビデオは、ACLUという団体のフェースブックページに掲載された後、ネット上で拡散していった。その後すぐに、デンバー市長、デンバー市委員会、市の担当者に対して公開書簡が送付された。その書簡には、市当局者たちがホームレスの命を危険にさらす行為を粛々と実行していることが綴られており、さらに、次の3つの即時要請項目が記されている。

1)毛布など、ホームレスにとって必須の物品を、警察が没収しないようにすること。

2)デンバー市でのキャンプを禁止する法律を冬季の間は執行停止にし、ホームレスを犯罪者扱いする行為は止めて、別の手段を模索すること。

3)警察・市の職員・民間警備会社などの手段を問わず、ホームレスを組織的に一掃する行為をやめること。

コロラド州当局のホームレスに対する乱暴な振る舞いがやり玉に挙がったのは今回が初めてではない。2016年2月、デンバーの法律学校が「ホームレスを犯罪者扱いすると高くつく」と題した報告書を発表した。「ホームレスがやむにやまれず公共の場で物乞いしたり、野宿を行ったり、寝そべる行為を犯罪と認定する法律であり、ホームレスを狙い撃ちにしている」と書かれている。

ロサンゼルス市もホームレスの取り締まりに力を入れており、2016年9月に、野宿者を一掃する市独自の施策を導入した。「ホームレスに積極的に手を差し伸べる」チームと名付けられたのは皮肉でしかないが、彼らの任務は路上生活者の数を減らすことである。しかし実際には、恵まれない人たちを犯罪者に貶めているだけなのだ。

ある男性がシェルターにたどり着こうとして不法侵入で起訴されたが、2016年夏にマサチューセッツ州にあるACLUという団体が弁護して勝訴を勝ち取った。ACLUで弁護士を務めるJessie Rossmanは、次のように述べている。

「本日、“ホームレスというだけでホームレスを罰することは許されない”と州の高等裁判所が全会一致で認めたことは、今後にとって大きな意味を持つ。」

反ホームレス法は残酷であり、憲法違反であり、彼らをさらに苦しめ、自立への道をより困難にしてしまうものだ。路上生活をしている者から毛布や服を取り上げる行為は、どのような法律でも正当化できないし、表情一つ変えずに命令に従う様には寒気を覚える。
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邦訳終わり

 強欲で野蛮な新自由主義を跋扈させて、その結果として大量に発生したホームレス。彼らを抹殺すれば問題解決するのでしょうか?社会の問題点から目を背けても、社会の構造的欠陥は温存されたままなので、同じ問題が拡大再生産されるだけです。現実を直視して原因を突き止め、対策を実施しなければ進歩はありません。アメリカ社会は衰退・消滅するしかないのでしょうか?

 アメリカの権力支配構造は日本よりはるかに強固であり、民主的に見える選挙で体制を変化させることは実質不可能な状態です。当然のことながら、大手マスコミは権力層にとって都合の悪いことは報道しません。日本は本当に、アメリカの言いなりになっていて良いのでしょうか?アメリカの後を追っていれば、日本も確実に衰退・消滅します。

 ホームレス排除政策は、死刑制度存続と共通する部分があります。

 何か事件が起こった場合、本当の原因を直視した上で再発防止策を行う。この地道な繰り返しをせずに、暮らし易い社会を実現することはできません。死刑制度への賛成は、「臭い物に蓋」「見て見ぬふり」という安易な姿勢の表れであり、人間社会の進歩にはつながりません。時間・お金・手間がかかる検証・改善作業を積み重ね、暮らし易い社会の実現のために努力することを避けるべきではありません。同様に、ホームレスの問題も無視するのではなく、直視するべきだと思います。

 ホームレス排除政策へ賛成すること、ホームレスという存在を無視することは、社会問題を放置し悪化させることにつながります。このままだと、1%以外の99%がホームレス化するかもしれません。今回紹介した記事はアメリカの事例ですが、日本も他人事ではありません。自分には関係ないと勘違いしている人たちは、自分自身の首を絞めていることに気付くべきでしょう。

以上

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