【築地市場の移転先?】豊洲の有害物質は人体にどのような悪影響をもたらすのか?

 築地市場がどんなところなのか分かりやすく紹介しているビデオを見つけました。

 このビデオを見ると、築地市場は単なる倉庫やお店ではなく、一つの大きな町であることが解ります。80年以上の歴史を持ち、年間何千億円というお金が動く築地市場は、目に見えない人間関係・信頼関係が基盤となっている場所なのです。銀座などからも歩いて買い付けに行けることから利便性も高く、近年は世界中から観光客が訪れています。

 施設の老朽化が指摘されていますが、現状の運用をしながら同時並行で改修工事を行うことは十分に可能です。築地市場利用者たちの意見をロクに聞かないで無理やり豊洲へ移転させようとしている理由は、一等地である築地跡地を再開発することで得られる利権であり、自民党政治家や土建業者の都合に過ぎません。移転先の予定地である豊洲市場はとても不便で、無理やり移転させれば廃業する業者が続出し、長年かねて培われてきた築地の食文化・伝統・技術が衰退することは確実です。

写真(豊洲市場) 出典:東京都中央卸売市場

写真(豊洲市場) 出典:東京都中央卸売市場

 豊洲市場の最大の問題は、利便性などの目に見えることではなく、土壌中に環境基準を超えるベンゼン・シアン・鉛・ヒ素・六価クロム・水銀等の有害物質が大量に存在することです。豊洲市場は、東京ガスの工場跡地なので、ガスの製造工程で発生する廃棄物が土壌や地下水を長年に渡って汚染し続けました。

写真(豊洲にあった東京ガスの製造工場)

写真(豊洲にあった東京ガスの製造工場)

 目に見えない汚染は実感しにくく、安全対策がおろそかだと、多くの国民が知らぬ間に健康被害を受ける可能性が高いのです。豊洲で調査した結果、存在が明らかになっている各有害物質が、人体に対してどのような悪影響をもたらすのか、以下にまとめました。

1)ベンゼン
 吸引すると白血病などを発症し、死亡する可能性がある。WHOからも発癌性があると勧告されている。日本でも厚生労働省が市販の清涼飲料水を調査し、1つの製品で70ppbを超える濃度が検出されたため、自主回収を要請したことがある。

2)シアン化物
 摂取すると中毒作用を起こす。消化管粘膜の腐食、血液に対する作用、酵素活性の阻害、呼吸中枢の麻痺などが挙げられる。具体的な症状としては、吸入・内服後、数秒~1分程度で、失神、痙攣、呼吸麻痺が生じ、死亡する。自殺の手段としても用いられることが多い。

3)鉛
 皮膚と接触したり食事を通して取り込まれると、腹痛・嘔吐・伸筋麻痺・感覚異常症などの様々な中毒症状を起こす。さらに溶血性貧血・ヘム合成系障害が起こり、免疫系が抑制されたり、腎臓へも悪影響が及ぶ。遺伝毒性も指摘されている。食事や吸引により、骨に最も多く蓄積する。体内に取り込まれた鉛の半減期は、生体全体で5年、骨に注目すると10年程度である。

4)ヒ素
 ヒ素およびヒ素化合物は WHOの下部機関IRACより発癌性があると勧告されている。飲み込んだ際の急性症状としては、消化管の刺激によって、吐き気、嘔吐、下痢、激しい腹痛などがみられ、場合によってはショック状態から死に至る。1955年の森永ヒ素ミルク中毒事件や、1998年の和歌山毒物カレー事件が有名だ。慢性症状としては、剥離性の皮膚炎や過度の色素沈着、骨髄障害、末梢性神経炎、黄疸、腎不全などが挙げられる。

5)六価クロム
 六価クロムの毒性は極めて強く、二クロム酸カリウムの致死量は約0.5~1グラムである。六価クロムが皮膚や粘膜に付着した状態を放置すると、皮膚炎や腫瘍の原因になる。多量に吸入すれば呼吸機能を阻害し、長期的には肺癌につながる。長期間摂取し続けると、肝臓障害・貧血・大腸癌・胃癌などの原因となる。

6)水銀
 有機水銀は無機水銀に比べ毒性が非常に強い。特にメチル水銀の中枢神経系に対する毒性は強力で、日本で起きた水俣病の原因物質である。厚生労働省は、キンメダイやカジキ、マグロなどの魚類、クジラ、イルカなどの海棲哺乳類に含まれる水銀が胎児の発育に影響を及ぼす恐れがあるとして、妊娠中かその可能性のある女性は、魚介類の摂取量や回数を制限するように注意を喚起している。金属水銀が気化した場合には肺から吸収されやすく、ヘモグロビンや血清アルブミンと結合し毒性を示す。このため水銀を含有する物(蛍光灯・体温計など)を焼却するのは危険である。

まとめ:
 上で述べた通り、各種有害物質による土壌汚染は、取り返しのつかない健康被害を起こす可能性があります。最低限の対策もせず、情報を隠蔽し、強引に汚染地豊洲への移転を進めるのは犯罪行為なのです。

参考リンク:
土壌汚染(ウィキペディア)

以上

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